カルチャー
2014年4月7日
女性のほうが高いUAEの大学進学率。仕事もオシャレも楽しんでます!
[連載] 住んでみた、わかった! イスラーム世界【4】
文・松原直美
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世界から年間1000万人を呼びこむ都市ドバイ。世界一の高さを誇るビル、街中どこでもつながるWi-Fiなど、先端的な近未来都市である一方で、そこに暮らす人々はイスラームの教えに忠実に生きていた! 古来からの習俗を尊重しつつ、超近代的な生活をしている奥深いイスラームの世界を、『住んでみた、わかった! イスラーム世界』の著者・松原直美が紹介します。


UAEでは女性の方がむしろ向学心旺盛


 「イスラーム女性たちの学習意欲や学歴がこんなに高いとは思わなかった」。アラブ首長国連邦(UAE)の国立大学で日本語を教えていた私は、英語を流暢に操りながら自分の意見を堂々と述べる女子学生たちを目の前にして思わずこう言ってしまいました。

 「ほとんどの外国人はそう思っているようです」。若いUAE人女性たちは苦笑しながら答えました。「イスラームには『すべての教徒は知識を得るべき』という教えがあり、UAEでは女性の教育が奨励されているんですよ」。女子大生たちの説明を証明するかのごとく、UAEでは女性のほうが向学心旺盛で、高校卒業時に行う一斉テストでは女子の得点が男子の得点よりはるかに勝っています。大学進学率も女性のほうが高く、高校3年生の実に9割以上が大学に出願します。近年は大学院に進学する女性も増えてきました。

 学業を終えると、多くの女性が就職します。現在UAEの公務員は半分以上が女性です。「イスラーム教徒の女性は外で働かず家にいる」と思っていた私は、女子学生たちに「大勢のUAE人女性が働いているので驚いた」と正直に告白しました。すると彼女たちから「イスラームの開祖である預言者ムハンマドが最初に結婚したハディージャは有能な商人でした。アラビア半島の女性は石油が発見される前の貧しい頃、井戸から水を汲んできたり家畜の世話をしたりして外でも働いてきたんですよ。『勤労する者は称えられる』というイスラームの言葉もあります」と教えられました。

 ただしイスラームには「女性は見知らぬ男性と知り合わないほうがよい」という教えがあるので、女性だけの職場に勤務したり、コンピュータを駆使して在宅で事業を営んでいる女性も多く見られます。

 このように女性の高学歴化と社会進出が華々しいUAEでは、これらの現象が女性の晩婚化や少子化の原因のひとつになっています。

子育てが一段落した後に大学に入ることも


 「多産は女性の美徳」として、イスラームでは元来出産が奨励されています。出産は人類の未来をつなぐだけでなく、イスラーム教徒の数も増やすからです。

 「兄弟姉妹は何人ですか?」と学生たちに質問すると、たいてい10人前後の数字を答えます。学生たちの母親が娘だった時代、女性は10代前半で結婚していたので、20年以上に渡り子供を生み続けていました。

 現在、UAE政府が推奨する結婚最低年齢は男女ともに18歳ですが、それ以下の年齢でも「本人の了解と親の承諾があれば結婚できる」そうなので、中学校を卒業した時点(UAEでは14歳)で結婚する女性もいます。また、高校卒業と同時に結婚する女性も少なくありません。このように若くして結婚した女性の場合、子育てが一段落した時点で再び学校や大学に通い出すこともあります。

 たいていのUAE人家庭ではメイド(家政婦)やナニー(乳母)を雇っているので、女性が子育てをしながら学業を続けたり、仕事を続けたりすることが困難ではない環境ができあがっているのです。

 子供の数にも変化が生じてきています。晩婚化が進んだことに加え、近年は教育にお金をかける夫婦が増えてきたので、1980年代生まれの女性の子供の数は2~5人程度です。
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住んでみた、わかった! イスラーム世界
目からウロコのドバイ暮らし6年間
松原直美 著



【著者】松原 直美(まつばら なおみ)
1968年東京生まれ。上智大学経済学部卒業。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻博士後期課程退学。タイの公立高校日本語講師を経て、ドバイへ2006年に移動。UAE国立ザーイド大学にて日本語指導と空手道の初代講師として、2007年~2012年まで勤務。UAEでは茶道の振興にも携わった。現在はロンドン在住だが、UAEと日本の架け橋となるべく活動を続けている。著書に『住んでみた、わかった! イスラーム世界』がある。 ブログ「ドバイ千夜一夜」(http://blogs.yahoo.co.jp/dubai1428)は、2007年から連載をはじめ、もう少しで1000回を数える。