カルチャー
2014年6月18日
ミドル&シニアの筋トレは、体力や筋力の衰えを自覚するところからスタート
[連載] 50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ【1】
文・増田晶文
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筋トレで得られる身体を通じての「気づき」


 54歳になる私は、ウエイトトレーニング歴29年目を迎えた。ハンパなく、年季が入っている。

 20代半ばでバーベルの上げ下げの魅力を知り、ほどなく「筋トレ依存症」に罹患。やがてボディビル大会に出場する「筋トレ原理主義者」へと変貌していったのだった。30代半ばから筆で身をたてるようになった。初の単行本『果てなき渇望』の主人公は、筋トレ求道者たちだ。

 ここ10数年、私は週に3回の筋トレを継続している。おかげで身長170センチ、体重が60キロそこそこで、月の3分の1は60キロ以下となる。胸囲98センチ、ウエスト73センチという逆三角形の細マッチョ、メタボ体型とはほど遠い。筋肉のサイズは過剰ではないけれど、各部位を必要充分に発達させている自信もある。スポーツクラブでの体組成分測定値はBMI21を切り、体脂肪率7~8%台。ときおり5%台になることも――。

 そして今回、SB新書から『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』を上梓した。「髪が減っても、筋肉は増やせ」かようなスローガンを叫び、筋トレ説教師となって全国を行脚している。

 筋トレの数多いメリットを列挙しよう。

・スタイルがよくなり、悪い姿勢も改善する。
・ダイエット効果がある。
・健康生活への道案内になる。
・ストレス解消になる。
・アンチエイジング効果が期待できる。
・運動神経、スポーツ経験にかかわりなく効果があがる。

 そして、私がミドル&シニア世代に筋トレをお薦めする最大の理由はこれだ。

・自分の肉体との「会話」ができ、身体を通じての「気づき」がある。

 ウエイトトレーニングでは、筋肉の動きを把握し、刺激に反応できることを重視する。

筋トレもまた内観法、自分との対話として活用できる


 筋トレ参考書を開けば必ず「トレーニングで使う筋肉を意識する」という記述にであう。「ストリクトに」「筋肉の動きに集中する」という表現を使うこともある。ことほど左様に、「筋肉を意識」できるかどうかで、筋トレ成果が大きく違ってくる。

 試しに、力こぶ(上腕二頭筋)をぷっくりさせる動作をやっていただきたい。

 何も考えず、感じず、漫然と動作を繰り返すのと、一回ごとに力こぶを意識し、じっくりと腕を曲げ伸ばしするのでは、筋肉に加わる刺激がまったく違う。筋肉の伸展と収縮。熱っぽさ。筋肉が肥大していく様子。かすかな痛み。さらには手首や肘の感覚の変化......。

 これこそが「自分との対話」のファーストステップにほかならない。

 ビジネスマンは数字や成績、人間関係なんぞには敏感だが、どうも己の肉体と没交渉になりがちだ。ぜひとも身体の言葉に耳を傾け、声をかけてやってほしい。肉体の饒舌さに、きっと驚くことだろう。

 決して大げさな表現ではなく、筋肉との対話をきっかけにして、自分自身といっそう深く通じあうようになれる。座禅やヨーガ、腹式呼吸と同じく筋トレもまた内観法として活用したい。筋肉を鍛えて健康になり、スタイルアップし己も知る――筋トレでミドル、シニアの人生に新たな道が拓けていく。

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50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ
こうすれば愉しく無理せずに続けられる
増田晶文 著



【著者】増田 晶文(ますだ まさふみ)
作家。1960年生まれ。26歳から本格的にウエイトトレーニングを開始し現在進行形、雑誌「Tarzan」でも紹介される。身長170センチ、体重60キロ、体脂肪率5.9%(2014年2月22日時点)。「Number」などの雑誌でトップアスリートやトレーニングコーチたち、さらにサッカーワールドカップ、オリンピックなど国際大会を数多く取材。ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞を獲得。同作品は2000年に書籍化され、「文藝春秋が選ぶスポーツノンフィクション単行本部門第1位」にも輝いた。著書に、『ジョーの夢 新島襄と徳富蘇峰、そして八重』(講談社)、『うまい日本酒はどこにある』(草思社文庫)などがある。近著は『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)。