カルチャー
2014年6月25日
9割の医師が知らない!?  「ふくらはぎ」をもむと万病が防げる本当の理由
[連載] 『医者と薬を遠ざける「ふくらはぎ」習慣』より【2】
文・小池弘人
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「ふくらはぎ」は東洋医学的にも「ツボ」の要所


 それでは、なぜふくらはぎをもむことで、万病が防げるのでしょうか?

 ふくらはぎを含む下腿には、ツボ(経穴)がたくさん存在します。ツボは東洋医学において、体を健康にする治療のポイントともいえます。ですからツボをもみ押しなどで刺激することで、体内の臓器は活性化され、血流も促進されます。

 また、東洋医学でいう「気・血・水」の巡りもよくなります。

 「気・血・水」は人間の体を構成する3つの基本要素で、気=生命エネルギー、血=血液、水=体液となります。さまざまなツボの刺激になり、この「気・血・水」がよく流れることが、ふくらはぎの問題の根本的解決につながるのです。

 「気」が通るルートは左右の下腿それぞれに6本あります。これが「経絡(けいらく)」です。ふくらはぎをさすったり、もんだりすることで、それらの流れがよくなり元気が出てきます。

 逆にその流れが滞ったりすると、痛みやこりなどの不調が出てきて、ひどければ病気にいたると考えられます。

 西洋医学的にいえば、ふくらはぎは体の下にあるので水分が溜まりやすい位置ですが、静脈に溜まった水分を押し上げる筋ポンプの働きをもっているのが「ふくらはぎ」といえます。

 ちなみに「筋ポンプ」という表現をしましたが、こうした筋肉の収縮にともなうポンプ的な機能は、ふくらはぎに限ったことではありません。多かれ少なかれ、すべての筋肉に共通しています。

 しかし、ふくらはぎがとくに強調されるのは、なんといっても立っている状態でいちばん下にあるという位置的な問題のためです。

 そして、この筋ポンプの作用を助けるよう、ふくらはぎをもんだり、さすったりすることは、同時にツボを刺激することで、気の流れをよくすることにもつながるのです。

ふくらはぎをもんで血流を改善する


 ふくらはぎをもむことでのいちばんの効能は、血流の改善です。

 では、血流がよくなった結果、体にはどういいのでしょうか? 主な効能として次のようなことが挙げられます。

 ・代謝が活発になり、体温が上がり、冷えやむくみが解消される
 ・免疫力が高まり、病気にかかりにくくなる
 ・自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスがよくなる
 ・全身の細胞に酸素や栄養分が行き渡ることで、臓器の老化を遅らせる
 ・肌のハリがよくなり、くすみなどがなくなる美容的な効果がある

 血流がよくなると、全身に温かい血液が行き渡るため、体温が上がり冷えにくくなります。流れがよいため、むくみなどの滞りも解消します。

 末端組織に行き渡った血液は、新鮮な酸素と栄養分を供給し、老廃物などの不要物を受け取ります。この代謝機能が高まるため細胞が活性化し、全身の健康状態も美容効果もアップします。同時に免疫力も高まり、病気にかかりにくくなります。そうすると当然、リンパ球をはじめとした免疫細胞も体のすみずみまで行き渡るわけです。

 自律神経のバランスがくずれて交感神経が優位になると、血管が収縮し血流が悪くなりさまざまな不調が出てきますが、心身ともにリラックスすると副交感神経が優位になり、血流はよくなっていきます。つまり、血流がよい状態とは、自律神経のバランスがとれ、免疫力がアップした状態のことなのです。

 このように見ていくと、1つひとつの個別の効果ではなく、相互に結びついて現れてくることがわかります。

 つまり、健康のカギは血流が握っているのです。流れのよい川の水は腐ることはないのです。

 逆にいうと、むくみや冷え、さらにはさまざまな病気も血流がよくないことから起こるのです。そして、血流不全はいろいろな病気の根源となるのです。

※「ふくらはぎイズム」を検索すると、著者・小池弘人 先生指導の動画解説が見られます

(第2回・了)





医者と薬を遠ざける「ふくらはぎ」習慣
縮退で考える健康・社会・生き方
小池弘人 著



【著者】小池弘人(こいけ ひろと)
1970年東京都生まれ。1995年群馬大学医学部医学科卒業。博士(医学)。日本統合医療学会指導医、日本内科学会認定医、日本臨床検査医学会臨床検査専門医など。2003年に統合医療の世界的権威アンドリュー・ワイル博士率いるアリゾナ大学統合医療プログラムのアソシエイトフェローに選出。2007年に小池統合医療クリニックを開設。現在、同クリニック院長、群馬大学医学部非常勤講師。漢方、鍼灸といった東洋医学などを通して、現代医療における代替医療の可能性を探究している。とくに監修として関わった『「ふくらはぎをもむ」と超健康になる』(マキノ出版)がベストセラーとなり、これまであまり関心を持たれてこなかった「ふくらはぎ」に医師の立場から光を当てることで、「ふくらはぎ習慣」の火付け役となった。著書に『決定版 新ふくらはぎ習慣』(扶桑社)、『ふくらはぎ「もみ押し」健康法』(静山社)などがあり、共著に『病気が逃げていくふくらはぎ力』(世界文化社)などがある。近著は『医者と薬を遠ざける「ふくらはぎ」習慣』(SBクリエイティブ)。



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