カルチャー
2014年7月23日
知らないと損する年金リテラシー
~会社員からフリーランスになった際に必要な年金の切り替えとは?
[連載] 知らないと損する年金リテラシー【1】
監修・浜田裕也
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年金事務所で年間1000件を超える相談を受けて感じること


 年金事務所は47都道府県にいくつあるかご存じでしょうか? 答えは、312カ所。年金に関する様々な問い合わせ、疑問について対応する場所です。私の仕事のひとつに、社会保険労務士会の業務委託による年金事務所でのお客様対応があり、相談件数は年間1000件を超えます。

「え? こんなに年金が少ないの? これじゃあこれからの生活が大変だな......」

 これは私が実際にお客様からいわれてしまった言葉です。

 相談の中には「将来の年金額を教えてほしい」というものがよくあります。50歳以上の方であれば、年金事務所で将来の年金額の試算をしてもらうことができます(50歳未満の方はインターネットの「ねんきんネット」から自分で試算することができます)。

 65歳以降の老齢年金額は、夫婦合わせて月額20万円もらえれば多いほうで、場合によっては夫婦合わせても月額15万円、いや10万円にも満たない方々も意外と多くいらっしゃいます。

 どうしても現役の頃の収入と比べてしまうので、試算した将来の老齢年金額を見て「え? これだけ?」という反応をしてしまうのは仕方がないことだと思います。

 中には「こんな金額ではとてもじゃないが生活できない。貯金もないのに、これではひどいじゃないか」とお怒りになるお客様も...。確かにおっしゃることはごもっともなのですが、老後のお金の準備は自己責任の部分が大きいと思います。厳しい言い方になってしまいますが、早めに将来の年金額を知っていれば何かしらの対策は立てられたでしょう。さらにいうと、将来もらえる年金はどの年金制度(国民年金、厚生年金、共済年金)に加入していたかにもよりますが、結局はご自身やその配偶者が選んだ人生の道のりの結果なのです。

 老後の収入のメインは年金になる方がほとんど。「一生働くから問題ない」と若いうちはいえるかもしれません。しかし、実際の相談現場では、60歳以降に仕事がなかなか見つからなかったり、たとえ仕事が見つかったとしても月収5万~6万円ほどの仕事しか見つからなかったりする方も中にはいらっしゃいます。そのような場合、やはり頼りになるのは公的年金。そして老後のために準備しておいた貯蓄です。

「年金の切り替え」「離婚分割」「夫が死亡した場合」など注意すべきポイントは多い


 どのような方でも老後のお金の知識や準備は必要ですが、特に転職をしたことがある人、フリーランスや自営業者、女性(おひとりさまや離婚経験者含む)の方々は注意しなければいけないポイントがあります。

 今回の連載では、「年金の切り替え」「離婚分割」「夫が死亡した場合」など、年金事務所で受ける相談として多い内容をもとに、注意すべきポイントを紹介していきます。

 ちなみに下記は、普段の相談の中で、質問内容としてよくあるものをまとめたものです。

[会社員(転職者など)の場合]
1)会社員からフリーランスになる時の年金の手続きは?
2)会社員だが、国民年金の保険料を払ったことがない。大丈夫?

[フリーランス、自営業者の場合]
3)フリーランスをやめて会社員になることにした。年金はどうなる?
4)どうしても国民年金保険料を払えない。どうすればいい?

[女性(おひとりさまや離婚経験者含む)の場合]
5)離婚した場合、夫の年金を分けてもらえるそうだが、どれくらいもらえる?
6)万が一、夫が死んだら、夫の年金はどこにいく?






転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話
浜田裕也 監修



【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。
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