カルチャー
2014年8月13日
「いい人」過ぎると、寿命は縮まる!
[連載] 「いい人」をやめると病気にならない【1】
文・帯津良一
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「いい人」はやはりストレスを抱えやすい


 健康に気を遣い、まじめでいい人なのに、大病をするなんて......。

 あなたの周りにいる働き盛りの人にも、何人かこのような人はいませんか?
 もしかしたら、この記事を読んでいるあなたが、そうなるかもしれません。

 40代、50代ともなれば重要なポストに就き、バリバリ働いている人は多いでしょう。
 ただ、できる人でも、ストレスに悩まされている人は結構います。
 特にまじめでいい人ほど、この傾向が強いと言えます。

 たとえば、働き盛りの40代、いい人AさんとちょいワルBさんがいたとします。

 Aさんは、まじめで努力家なのですが、人間関係を窮屈に考えてしまうところがあります。そのため、上にも下にも気を遣い、本音を言わず、ハメを外すこともありません。
 まじめなので健康にも十分に気を遣い、規則正しい生活を送っています。仕事はできるのですが、主体性をもってやっているわけではなく、上からの命令を忠実にこなしているだけです。

 一方、Bさんは、気ままで楽天的、道徳的に見ると不真面目なところもあるのですが、人望が厚く、趣味や遊びにも精通し、懐の深さがあります。健康には無頓着で、ときにはときめきに任せて好きなものを食べたり、酒を飲んだり、夜更かししたりすることもあります。
 Aさん同様、仕事はできるのですが、上からの命令に常に忠実なわけではありません。ときには信念をもって、自分の意見を押し通すこともあります。それでも情熱をもって仕事をしているため、いい結果が出せているのです。

 これらのことからもわかるように、ストレスに悩まされることが多いのは、いい人Aさんのほうです。
 ストレスがたまってくると免疫力が低下し、病気になりやすくなるのは言うまでもありません。また、過労から過労死につながる危険性があるのも、Aさんのようなタイプです。

 一方、ちょいワルBさんは、仕事もプライベートもときめいているため、ストレスに悩まされることはほとんどありません。ストレスを感じたとしても人生のスパイスとして捉え、困難を乗り切っています。
 そのため、過労が続いても過労死につながる危険性はない、といっても過言ではないくらいです。

「まじめな人」で定年後すぐ亡くなる人は多い


 二人の定年後を見てみると、さらにこの差は開きます。
 いい人Aさんは、定年してからしばらくは解放感があっていいのですが、友人と会う機会が減っていく一方で、ときめく趣味もなく、時間を持て余してしまいます。一日中家でゴロゴロしているため、家族からイヤがられるのも、Aさんのようないい人に多いのです。

 そんなAさんの最大の関心ごとと言えば、健康法を実践することです。
 こうなると、ますますときめくことがなくなってしまいます。健康法もまじめに取り組みすぎてしまうため、かえってストレスになり、病気になりやすくなってしまいます。
 まじめな人で、定年してから7、8年で亡くなる人が多い、と言われているのにも頷けます。

 一方、ちょいワルBさんは、定年後も情熱をもって働き続け、阿吽の呼吸の悪友もたくさんいるため、ときめき続けます。健康法を熱心に実践するわけではありませんが、ときめくことによって免疫力が高まり、結果的に病気を遠ざけているのです。そのため、ちょいワルで長生きの人は多いのです。

健康寿命を伸ばす「ちょいワル」のすすめ


 AさんもBさんも、実際にこれまで接したことのある人物ですが、Aさんはいい人、Bさんはちょいワルの典型的なタイプと言えます。
 ここまで読んで、「どちらかと言うと、私はAさんタイプだな」と思った人は結構いるのではないでしょうか。日本人でAさんのようないい人は多いからです。

 Aさんのようにいい人のなかには、不愉快に思った人も少なくないかもしれませんが、お許しください。これには理由があるのです。
 Aさんのようにまじめで努力家、いい人がストレスに曝されて健康を損ない、長生きできないのを放っておけなかったのです。

 働きすぎたり、人間関係で悩んだり、遠慮しすぎたり、お人好しなため損な役回りを押しつけられたりするいい人に、生き方をちょっと変えれば、ストレスに曝されることなく、健康で長生きできる方法があることを知ってほしかったのです。

 その方法とは、いい人をやめて、ちょいワルになることです。

 つまり、気ままで楽天的、道徳的に見ると不真面目なところもあるのに、人望が厚く、趣味や遊びにも精通し、懐の深さがある人になることです。このちょいワルになる方法ついてこの連載で取り上げようと思います。

 いい人が悪い、と言っているわけでは、決してありません。終身雇用、年功序列が崩壊し、成果主義が重視される今、いい人のままでは病気になりやすく、長生きできないのを心配しているのです。
 いい人で損をすることほど、損なことはありません。あってはならないことです。

 なお、この連載では、いい人の主な定義を「いい人」「まじめな人」「断れない人」としています。
 連載を通して、少しずつちょいワルになることで、ときめきの数が増えてストレスが減り、健康的な日々が送れて、ひいては長生きにつなげられることが実感できると思います。

(第1回・了)
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「いい人」をやめると病気にならない
帯津良一 著



【著者】帯津良一(おびつりょういち)
1936年埼玉県生まれ。医学博士。1961年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科、共立蒲原総合病院外科、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を開設、院長となる。現在、同病院名誉院長、帯津三敬塾クリニック主宰。人間を「有機的総合体」と捉え、西洋医学のみならず伝統医学・民間療法等を体系的に組み合わせて患者自身の自然治癒力を引き出す、「ホリスティック医学」を実践する。全国での講演回数も多く、「長生きにはトキメキが大事」と心・食・気の養生を勧め、聴衆の人気を博している。 現在、日本ホリスティック医学協会理事長、日本ホメオパシー医学会理事長、埼玉大学講師、上海中医薬大学客員教授なども務める。著書に『長生きしたければ朝3時に起きなさい』(海竜社)、『ホリスティック医学入門』(角川oneテーマ21)、共著に『なぜ「粗食」が体にいいのか』(幕内秀夫との共著、三笠書房)、『健康問答』(五木寛之との共著、平凡社)など多数ある。近著は『人生に必要なものは、実は驚くほど少ない』(共著:やましたひでこ、集英社)、『「いい人」をやめると病気にならない』(SB新書)。