カルチャー
2014年8月21日
知らないと損する年金リテラシー
~女性が気をつけるべき「離婚分割」
[連載] 知らないと損する年金リテラシー【4】
監修・浜田裕也
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 「厚生労働省 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、離婚件数は平成14年に28万9836組と最高値をつけたあと減少を続けていますが、平成25年でも23万1000組と年間23万組以上の離婚が発生しています。また「厚生労働省 平成21年度離婚に関する統計の概況 離婚の年次推移」によると、男女ともに30代の離婚率が最も高く、次いで20代と40代となっています。

 離婚分割が始まった当初は「熟年離婚」が流行りましたが、最近は30代~50代のいわゆる「現役世代の離婚分割」の相談が増えてきているように感じています。

 離婚後は何かと女性の方が収入の面で不利になることが多いので、今回の知識は必ず持っておいて欲しいと思います。

 なお、離婚分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類がありますが、夫婦二人の年金の加入状況によって異なります。詳しい制度の説明は最寄りの年金事務所で聞けます。

離婚分割で気をつけるべきポイント


 離婚分割をするためには以下のような条件があります。

・平成19年4月1日以降に離婚していること
・離婚後2年以内に年金事務所で離婚分割の手続きをすること

 離婚分割の制度が始まったのは平成19年4月1日からなので、それ以前に離婚をしている方の場合、そもそも離婚分割の手続きはできません。また、離婚分割の手続き(本当は標準報酬改定請求といいます)は、離婚後2年以内に行わなければなりません。したがって、既に離婚をしてからかなりの日数が経ってしまっている場合、早めに手続きをする必要があります。

離婚分割の流れはどうなっている?


 離婚分割の手続き(標準報酬改定請求)をするまでの流れは、原則として以下のようになります。

(1)離婚前に年金事務所で情報提供の請求をする
(2)夫婦で離婚分割の按分割合を話し合う
(3)離婚する
(4)離婚後2年以内に年金事務所で離婚分割の手続きをする(標準報酬改定請求)
※手続きに必要な書類は必ず事前に年金事務所で電話をするなどして確認してください。

●(1)離婚前に年金事務所で情報提供の請求をする

 離婚分割の手続き(標準報酬改定請求)は離婚後2年以内にしなければならないので、できれば離婚前に年金事務所で情報提供の請求手続きをするようにしてください。離婚をしてしまうとその後の生活のことで頭がいっぱいになってしまい、心に余裕がなくなってしまう人が多いように感じるからです。心に余裕がなくなると、ちょっとしたことでイライラしてしますよね。中には、年金事務所で離婚分割の説明を受けても頭にうまく入っていかなかったり、ひどい時には窓口で言い争いになってしまったりするという方もいました。離婚分割の請求をするまでの道のりは長いですから、時間と心に余裕をもって行動していただきたいと思います。

 さて、ここから情報提供の請求のお話に戻ります。情報提供とは、離婚分割の按分割合を決める際の資料のことです。弁護士を代理人として分割の話し合いを依頼したり、家庭裁判所で調停や審判の申立をしたりする場合、必ず情報提供の資料を求められます。この情報提供の資料は、年金事務所で請求をしてからご自宅に郵送されるまで2~3週間とやや時間がかかります。私が受けたご相談の中には「3日後に調停があります。情報提供の資料を今すぐにでも作成してください」というものがありました。しかしさすがにそれは無理な相談なので、調停の日程を先延ばしにしていただくことをご提案しました。そのことをお伝えした時の相談者の怒りっぷりは凄まじいものがありましたが、いくら騒いでも駄目なものは駄目なのです。

 話し合いに必要な情報提供の資料は手元に届くまでやや時間がかかるので、予め時間に余裕をもって請求しておくことを知っておいてください。なお、情報提供の請求は夫婦どちらか一方からでもすることができます。

●(2)夫婦で離婚分割の按分割合を話し合う

 情報提供の資料が届いたら、夫婦で離婚分割の按分割合を話し合いで決めます。夫婦で話し合いがうまくいかない場合、弁護士に依頼したり、家庭裁判所で調停や審判の申立てをしたりすることになります。

 按分割合が決まったら、公正証書や調停の調書、審判書など公的な書類に按分割合を記載してもらい証明書として本人が持っておくことになります。

●(3)離婚する

 できるだけ心に余裕を持たせるため、離婚は夫婦での必要な話し合いが済み、按分割合を記載した書類が揃った後にすることが望ましいでしょう。なお離婚届を提出した後、戸籍に離婚日の記載がされるまで少し時間がかかります(遅い場合でも1週間~10日くらいでしょう)。戸籍に離婚の記載がされるまでの間、年金事務所で離婚分割の手続き(標準報酬改定請求)に必要な書類を確認しておくとよいでしょう。

●(4)離婚後2年以内に年金事務所で離婚分割の手続きをする(標準報酬改定請求)

 離婚後、必要な書類を揃えたら年金事務所で離婚分割の手続き(標準報酬改定請求)をすることができます。離婚後は何かとバタバタしてしまいますから、何度も足を運ばなくてもいいように必ず事前に年金事務所で必要書類を確認しておきましょう。この離婚分割の手続き(標準報酬改定請求)も夫婦どちらか一方からでもすることができます(夫婦一方からでも請求できるかどうかは、必ず事前に年金事務所で確認をしてください)。

 また、離婚分割後の年金の見込額は50歳以上の方であれば年金事務所で試算してくれます。50歳未満の方の場合、年金事務所では試算できませんから、インターネットにある「ねんきんネット」で自分で試算をすることになります。

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転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話
浜田裕也 監修



【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。