カルチャー
2014年8月28日
不動産を買うなら五輪の後にしなさい
[連載] 不動産を買うなら五輪の後にしなさい【1】
文・萩原 岳
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有望or過熱しているエリアはどこなのか?


 2020年夏季五輪の競技場が集まる東京臨海部は、競技場や環状2号線、さらに築地から移転してくる豊洲新市場(東京都中央卸売市場の一つ)の建設が進んでおり、開発ラッシュとなっています。競技場の建設が民間投資を誘発し、周辺の未利用地でマンションなどの建設が相次いでいます。仮設の競技場は大会後に敷地が売却され、さらに開発がヒートアップしています。人口増に合わせて、小学校の増設計画が持ち上がるなど、56年ぶりの2度目の東京五輪を追い風に、この地域だけ高度成長時代の再来を思わせるような工事が進んでいます。

 豊洲新市場のあたりは夕方までダンプやブルドーザーが走り回り、まだ開通していない環状2号の道路が運河を越して銀座方面に伸びています。ライトアップされたレインボーブリッジや東京タワー、スカイツリー、都心の高層ビル群が見渡せ、前途洋々の未来都市のような様相を見せています。

 すでに品川方面まで含めた東京湾岸エリアでは、過去20年間に5万戸以上のマンションが供給されましたが、これから五輪のある2020年に向けて、現在計画が判明している物件だけでもゆうに1万戸以上あるといわれています。

 前回の五輪(1964年)の選手村があった代々木は、五輪をきっかけに工場の街から住宅地へと変貌を遂げました。五輪に合わせ、大きな道路がつくられ、青山や表参道の発展の基礎が築かれました。五輪を機に、地価もどんどん上がっていく地域になったのです。

 今回の開発エリアは湾岸部の五輪主会場の周辺です。五輪でマンション開発競争に火が付き大量供給で需給バランスが崩れる懸念もありますが、まだ期待が先行しているようです。

 住宅仲介の野村不動産アーバンネットが5月、投資用不動産サイトノムコム・プロの会員を対象とした不動産投資に関する意識調査を実施した結果、「買い時だと思う」が1年前の前回調査に比べ15・7ポイント減少し42・3%に、「買い時はしばらく来ないと思う」が前回調査より15・5ポイント増加し41・3%という結果となりました。1年後の不動産価格の予測は、「上がる」が51・5%と前回調査に比べ14・0ポイント減少したものの、「下がる」の9・9%を大きく上回り、不動産価格は「上がる」と半数以上の方が予測しています。

 投資先としてこれから有望だと思うエリアの1位は品川・泉岳寺エリアで、山手線の品川~田町駅間に新駅ができる計画があることで注目されます。2位~4位は東京五輪開催で期待が高まっている東京湾岸エリア晴海・勝どき・月島エリア、豊洲・東雲エリア、有明・お台場エリアというランキングです。

湾岸(勝どき、晴海、月島、豊洲...)の開発状況を現地を歩いて調べてみた


 五輪の主会場周辺の勝どき、晴海、豊洲、辰巳、有明、青海地区で、五輪に向けて大型マンションがどれだけ建つか、現地を歩きながら調べてみました。

 最近、銀座と並んで地価上昇が著しい中央勝どきエリアでは、大型再開発ラッシュです。勝どき地区は運河に囲まれ倉庫エリアでしたが、2000年に勝どき駅ができて以来、タワーマンションが目立ち始めました。勝どき駅の1日当たりの乗降客数は8万人超と開業年の3倍に増加しています。中央区にあるため、地価も高く、大規模な新築マンションの価格は70平方メートル換算で6000万円以上、江東区の豊洲より1000万円程度は高くなっています。現時点ではさらに上がっているでしょう。

 「勝どき東地区再開発 A1・A2棟」(56階建て、2720戸、2020年完成)は全国最大級のマンションとなり、しかも完成が五輪の年なので、投資熱が向けられる超大型物件になるはずです。勝どき地区の倉庫街でも、地権者により大規模マンションを建てる再開発計画が進んでいます。それもB棟(29階建て、500戸、2024年完成)と合わせた3棟で総戸数は3000戸に達する規模です。2期に分けて開発し、全体の完成は2025年度になる見通しです。勝どき駅から地下道を新設し、敷地内に新しい駅出入り口もできます。総事業費は1000億円を超えそうで、価格もかなり高騰するでしょう。

 また、「勝どき・ザ・タワー」(53階建て、1420戸)は1棟の戸数では現在国内最大級のマンションとなり、昨秋に着工されました。都営住宅などの跡地を再開発し、2016年の完成を目指します。高さは178メートルで、建物の形状は3方向に伸びるY字型。低層部に区の施設や店舗などが入る予定です。

 晴海トリトンスクエアがある晴海地区では、民間活力の導入で、五輪向けの選手村(1万7000人収容)が建てられ、五輪後はマンションになります。住友不動産は選手村近くに、大型の温浴施設(スパ)付きの超高層マンションを開発。52階建ての建物2棟(「ドゥ・トゥール ベイシティ晴海」1450戸)は運河沿いの再開発地区に建設され、上層階から選手村を見下ろせるような立地です。完成は15年9月の予定。

 このほか、晴海では「晴海二丁目計画」(49階建て、1120戸、2017年完成)、「ザ・パークハウス晴海タワーズ ディアロレジデンス」(49階建て、861戸、2017年完成)、「ベイシティ晴海 B棟」(33階建て、350戸、2015年完成)などがあります。

 月島では、「キャピタルゲートプレイス・ザ・タワー」(53階建て、702戸、2015年完成)、「月島一丁目西仲通り地区再開発」(35階建て、490戸、2018年完成)、「月島三丁目地区再開発」などがあります。

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不動産を買うなら五輪の後にしなさい
不動産鑑定士がこっそり教える売買のコツ
萩原 岳 著



萩原 岳(はぎわら がく)
千葉県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役。不動産鑑定士。在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産鑑定士など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。