カルチャー
2014年9月4日
知らないと損する年金リテラシー
~共働きの場合の「遺族年金」はどうなる?
[連載] 知らないと損する年金リテラシー【6】
監修・浜田裕也
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65歳以降、妻の遺族厚生年金の額がぐっと減ってしまう


 前回は妻が専業主婦だった場合の遺族年金のお話をしました。しかし20代~40代の若い現役世代の方は、妻も厚生年金に加入しているような夫婦共働きも多いと思います。そこで今回は、妻も厚生年金に加入していた場合の遺族年金についてお話をしようと思います。

 なお、前回同様少し難しい話になってしまいます。特に「遺族厚生年金」の計算のところはかなり難しいと思います。遺族年金は自分で計算をしようとしてもなかなかうまくいきませんので、50歳以上の方ならば年金事務所で遺族年金の見込み額を試算してもらいましょう(共済年金は各共済組合に相談)。50歳未満の方は、年金事務所等では計算してくれませんので、「事例の夫婦のケースではいくらくらいになるのかな?」という大まかな金額のイメージを持って頂ければそれで十分です。それでは早速みていきましょう。

【夫婦共働きのケース】
夫:36歳 会社員 年収500万円 (勤続13年)
妻:35歳 会社員 年収240万円 (勤続12年)
※妻は60歳まで年収240万円、60歳から65歳までは年収120万円で65歳まで厚生年金に加入できるものとする。子どもはいない

ここで上記の夫が亡くなった場合、年金額は以下のようになります。
※大まかな計算および金額で試算しています。

(妻が65歳になるまで)
遺族厚生年金   年額 約53万円

(妻が65歳になったあと)
妻の厚生年金 年額 約54万円
妻の国民年金 年額 約71万円
遺族厚生年金 年額 約8万円
合計年額 約133万円

妻は働きながらでも遺族厚生年金をもらえる?


 結論から言いますと、妻は厚生年金に加入する働き方をしていても遺族厚生年金はもらえます。なお、妻の収入が極端に高い場合(妻の年収が850万円を超える、または所得が655万5千円を超える場合)遺族厚生年金はもらえないという法律がありますので注意してください。

 しかし、妻の年収が極端に高いというケースは少ないでしょうから、夫が亡くなったあとは「遺族厚生年金と妻本人の給料で生活をするようになる」と考えておけばよいと思います。

 それではここから遺族厚生年金の金額をみていきましょう。今回のケースの夫が亡くなった場合、遺族厚生年金を本来通りの計算式で計算すると年額約27万円。しかし実際には遺族厚生年金として年額約53万円がもらえます。一体これはどういうことなのでしょうか?

 その理由は「厚生年金に加入中の方が亡くなった場合、厚生年金の加入期間が25年(300カ月)に満たないときは25年加入したものとみなして遺族厚生年金を計算しますよ」という法律があるからです。したがって、今回のケースの遺族厚生年金は13年で計算するのではなく25年で計算してくれるのです。

 厚生年金の加入期間が極端に短いと遺族厚生年金の金額はとても少なくなってしまいます。しかし「25年(300カ月)のみなし」を適用することによって遺族厚生年金はある程度の金額になります。残された遺族への配慮といえるでしょう。

 なお、会社員の夫が亡くなった当時妻が40歳以上であれば、妻が65歳になるまで「中高齢寡婦加算」という手当が加算されるということは前回学びました。今回のケースでは夫死亡当時、妻は35歳。残念ながらこの妻には中高齢寡婦加算は支給されません。

 以上から、夫が亡くなったあとの当面の収入は、遺族年金約53万円と妻の給与収入240万円を合わせて約293万円。月額にすると約24万円になります。夫婦共働きのときの収入と比べると半分以下ですが、このケースでは子どもはいないので、妻ひとりであれば何とか生活できる金額だと言えるでしょう。

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転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話
浜田裕也 監修



【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。