カルチャー
2014年10月2日
知らないと損する年金リテラシー
~年金を上乗せできる「加給年金」の申請方法
[連載] 知らないと損する年金リテラシー【10】
監修・浜田裕也
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配偶者が65歳になるまで年額約38万円が上乗せされる


 最近、テレビや新聞、雑誌などのメディアで年金の話が取り上げられることも多くなり、皆さんの中にも「加給年金」という上乗せの年金についてご存じの方も多いと思います。

 加給年金がもらえる方(一般的には夫)が厚生年金または共済年金に20年以上加入している、配偶者(一般的には妻)が年下である、などいくつかの条件を満たす必要はありますが、原則として配偶者が65歳になるまで年額約38万円が上乗せされる年金が加給年金です。非常にありがたい仕組みだと言えるでしょう。

 ただ、実務では加給年金をもらうための証明書(添付書類)をめぐってのトラブルも数多く発生しています。私のケースでも次のようなことをおっしゃるご相談者が過去に何人もいらっしゃいました。

「私の(夫の)住民票に妻の記載もあるじゃないか! これで結婚していることがわかるはずだろう? なぜ戸籍謄本も必要なんだ?」
「さっきからうちの妻は働いていないと言っているじゃないか! 妻に収入はないから所得証明の書類なんて必要ないだろう」

 添付書類をめぐってこうした主張をされるケースが意外と多くあります。

 そこで、今回は加給年金の条件を満たした方が、ご自身の年金請求時にどのような添付書類を提出すればよいのかご紹介します。皆さんの中にも将来、加給年金がもらえる方がいらっしゃるはずです。無用なトラブルや言い争いをおこさないためにも今回の知識もぜひ持っておいて欲しいと思います。

加給年金をもらうための証明はちょっと複雑


 加給年金をもらうためには、原則として以下の3つのことを証明する必要があります。

(1)結婚していること
(2)生計同一関係であること
(3)配偶者の年収が850万円未満または所得が655万5千円未満であること
※今回は話をわかりやすくするため事実婚の場合は除いています。

 実際には老齢年金の請求時に添付書類を提出することで証明できます。それでは、以下でそれぞれの証明方法(添付書類)をみていきましょう。

(1)結婚していること


 加給年金をもらうためには、まず婚姻関係を証明しなければなりません。結婚していることの証明は戸籍謄本ですることができます。戸籍謄本には婚姻日と婚姻した相手方の名前が記載されているので、婚姻関係にあることが証明できるのです。
 なお、住民票では「現在の住所」しか証明できませんので、今の妻と婚姻関係にあるかどうかまではわかりません。仮に妻と離婚していても、離婚後も元妻と同居し、かつ元夫が世帯主である場合、世帯全員の住民票を取ると元妻の記載もされてしまうのです。そのようなケースがあるため、住民票だけでは婚姻関係は証明できないことになっています。 以上のことから「世帯全員の住民票に妻の記載もあるから、この住民票で結婚していることが証明できているはずだ」という主張は通らないことになります。

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転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話
浜田裕也 監修



【監修】浜田裕也
学習院大学理学部数学科卒。大学卒業後、塾講師(対象の生徒は小・中学生。数学と理科を担当)を経てファイナンシャルプランナー(CFP)へ転身。ファイナンシャルプランナーとして活動を続ける中、社会保障、特に年金制度に興味を持ち始め社会保険労務士の資格も取得。その後、社会保険労務士会の業務委託で年金事務所にて年金に関する相談も受けるようになり、相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請手続きの進め方のアドバイスには定評がある。老後の生活設計や将来の年金額のシミュレーションなどの記事が「週刊東洋経済」や「プレジデン」トなどに掲載されるほか、監修として『日本でいちばん簡単な年金の本』(洋泉社 第3章監修)、『転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話』(SB新書)などがある。