カルチャー
2014年10月21日
えっ? 女性向け保険でなくても基本保障は同じ
[連載] 保険選びは本当にカン違いだらけ【2】
文・鬼塚眞子
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「女性向け保険だから女性は安心」は本当?


 出産に伴うリスクや子宮筋腫など女性特有の疾患に備えた女性向け医療保険について、広告などで目にする機会が増えました。
「女性向けだからより安心できるの?」「普通の保険と何が違うの?」など、特定の商品を挙げて質問されることも少なくありません。
 以前と比べて、認知度も高まっているように思います。

 ただ、カン違いされる人が多いのも事実です。女性向けの医療保険は「標準的な医療保険に各社所定の女性特有の疾患になった場合、保障を上乗せする」のであって、女性向けの保険を選ばないと給付金がでないというわけではないのです。

 また、子宮の病気や乳がんなど女性特有の疾患については保障を上乗せする分、保険料も高くなっています。この点も注意が必要でしょう。

 そうなると、あえて女性向け保険に加入するかどうかのポイントは、あなたにとって、差額に見合った保障が必要かどうかになります。
 パンフレットの中には、「男性より女性のほうが約1.3倍患者数が多い」「乳がん患者数は30代後半から増える」などの文言をよく見かけます。

 不安を言えば切りがありませんが、現実の生活も大切です。差額を考慮して女性向け保険を選ぶのもひとつの選択肢としてありだと思います。
 もちろん月300~400円という負担額の差は人によって価値判断は分かれますが、女性向け保障が1日につき5000円上乗せされるなら、選択肢のひとつとして検討してみたいと考える人もいるでしょう。

 後述しますが、がんの場合は治療費以外に、女性ならではの出費が必要となるケースもあります。
 また、夫が育児や看病を一手に担う場合、妻が病気になると外食代など何かと諸費用がかかります。「数百円の保険料の上乗せで済むなら保障は手厚いに越したことはない」と考えることもできます。

 ただ、「男性よりも女性のほうが患者数は多い」というだけで、それが女性向け保険を選ぶ直接の理由につながるとは限りません。
 繰り返しますが、女性特有の疾患にかかった場合、標準タイプでも保障されるということを覚えておきましょう。

女性は自分を後回しにせずがん保険を検討してみる


 女性は30代からがん年齢を迎えていると言われます。実際、私の周囲でも30代半ばや40代前半などまだ若い年齢でありながら、がんが発見されたという話を耳にします。

女性の部位別がん罹患率 ※クリックすると拡大

 とくに乳がんは、女性にとって最もかかりやすいがんであることが知られています。国立がん研究センターのデータによると、20代後半からほかのがんを大きく引き離して、患者数が増加しています。

 乳がんは罹患率の高さに比して、早期発見に伴い生存率が高いと言われます。ただし、治療期間が長引くため、治療費が高額になりがちです。
 抗がん剤で髪がなくなればウィッグをつけたり、人工乳房を再建したり、専用の特殊な下着にしたりと、治療中はさまざまな費用がかかります。
 治療中の収入減や、家事負担の外部サービス(外食、クリーニング代など)の利用も含めれば、長期間の闘病生活は金銭的にも大きな負担となっていきます。

 もしそういったがんリスクにきちんと備えたいというのであれば、女性向け保険よりもがん保険を優先すべきです。
 がん保険は、一時金(診断給付金)が支給されるタイプが最近の潮流です。入院日額による計算ではなく、まとまった保険金でがんにかかるさまざまな諸費用に即座に対応できるという点では、治療の選択肢も増えるというものです。なお診断給付金は100万円以上の商品が主流です。

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保険選びは本当にカン違いだらけ
20年後に後悔しない保険常識
鬼塚眞子 著



【著者】鬼塚眞子(おにつかしんこ)
大手生保会社の営業職、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。保険業界と商品に精通し、保険営業とFP資格のある、日本では稀有な存在の保険ジャーナリストとして知られている。2010年、保険業界活性化を図るため、保険のすべてのチャネルを横断する「オーツードットコム 保険業界の明日を考える会」(現、トリプルA)を主宰。マスコミ出演、執筆、講演、相談で幅広く活躍中。近著は『保険選びは本当にカン違いだらけ』(SB新書)