カルチャー
2014年10月28日
ちょっと待って! 解約すると損するあなたの"お宝保険"
[連載] 保険選びは本当にカン違いだらけ【3】
文・鬼塚眞子
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必要な保障額は子どもの独立後「減っていく」のが常識


 保険にはいろいろな種類があります。
 ただ、子どもが小さい30代や40代のうちは、優先度としては死亡保険が最も高くなります。生活資金や学費など、万が一の際の必要保障額が大きいのはこの時期だからです。

必要死亡保障額の変化 ※クリックすると拡大

 逆に言うと、必要保障額は子どもの独立によって大きく軽減します。
 つまり、いつまでも同じ必要保障額を確保しようとする、というのは保険料のムダになります。
 とくに「末子の独立」は必要保障額を減らせる絶好のタイミングです。

 それにもかかわらず、実際には5000万円以上の高額な保障額を50代、60代になっても変えずに掛け続け、見直すタイミングを見逃している人も多くいます。

 気をつけたいのは「定期付終身保険」という商品です。これは一生涯の保障が続く「終身保険」をベースに、一定期間の死亡保険の保険金を「定期保険」として上乗せするタイプの保険です。

 ただし気をつけたいのは、上乗せ部分の定期保険はおよそ10年や15年、20年といったタイミングで契約が自動更新されることです。年齢とともに死亡リスクは高くなるので、支払う保険料も更新のたびにアップしていきます。

 なお、これも更新のたびに保険料がアップされるとはいえ、先述のお宝保険に加入している人も多いと思います。その場合は安易に解約をしないことです。
 すでに子どもが独立しているなら、必要保障額が減っていることを踏まえて、上乗せの定期保険の部分を減額や解約を検討しましょう。あるいは先述の「払済」にするという方法もあります。

 実際に、お宝保険時代の定期付終身保険に加入していた人で、解約金よりも払済にした死亡保険金額のほうが多かったという例もありました。
 加入時期や加入商品により、払済にすれば死亡保険金が多くなるかどうかはまったく異なります。誤解のないようにしてください。

(第3回・了)





保険選びは本当にカン違いだらけ
20年後に後悔しない保険常識
鬼塚眞子 著



【著者】鬼塚眞子(おにつかしんこ)
大手生保会社の営業職、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立。保険業界と商品に精通し、保険営業とFP資格のある、日本では稀有な存在の保険ジャーナリストとして知られている。2010年、保険業界活性化を図るため、保険のすべてのチャネルを横断する「オーツードットコム 保険業界の明日を考える会」(現、トリプルA)を主宰。マスコミ出演、執筆、講演、相談で幅広く活躍中。近著は『保険選びは本当にカン違いだらけ』(SB新書)
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