カルチャー
2014年11月21日
要注意!うつや慢性疲労と間違えやすい「副腎疲労」
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【2】
文・本間龍介
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その症状はうつ病? それとも慢性疲労症候群?


 そもそも、副腎疲労による抑うつ症状と、うつ病はどう違うのでしょうか。
 抑うつ症状に関しては、これといった違いはありません。
 また、副腎疲労とうつ病とは、相互に関係していると考えられます。

 なぜなら、うつ病の人は、うつ病を抱えていることそのものが大きなストレスなので、それだけ副腎疲労が悪化しやすくなるからです。
 また、前述どおり、副腎疲労でも抑うつ症状が現れます。

 とはいえ、副腎疲労は病名ではなく、体の状態、あるいは表に現れている症状を指す概念です。どうしても、私たちは「自分は病気なのか、副腎疲労なのか」と鑑別したくなるものですが、実際のところ、特に分けて捉える必要はありません。

うつとよく似ている副腎疲労 ※クリックすると拡大

 うつ病の人だとしても、あるいは副腎疲労による抑うつ症状だとしても、副腎疲労を取り除くことによって、症状改善の兆しが見えてくるでしょう。
 また、副腎疲労と慢性疲労症候群も非常によく似ています。そして、肝心なのは慢性疲労症候群にあてはまる人は、ほぼ間違いなく副腎疲労を伴っているという事実。「副腎疲労ではない」のではありません。

「AかBか」という話ではなく、うつ病と同様に、慢性疲労症候群と副腎疲労を分けて治療する必要もないのです。慢性疲労症候群の人は、副腎疲労のひどい場合が大半なので、副腎の疲労を取り除くことが、慢性疲労症候群の改善にも役立ちます。

 そして、うつ病、慢性疲労症候群と診断されている人、いずれの場合でも、副腎疲 労の治療は、既存の治療を一切邪魔するものではありません。

 というのも、副腎疲労の治療は、食事をはじめとする生活習慣に対するアプローチなので、薬が増えてしまったり、薬の飲み合わせが問題になる危惧も皆無です。
 実際、副腎の治療を重ねることで、長年苦しんでいたうつ病や慢性疲労症候群の症状から解放される人はたくさんいます。

副腎疲労を疑って改善されるケースは多い


 気分の落ち込みなど、「うつ」らしき症状はいろいろありますが、実は、うつ病という病気は、それほど明確な診断基準がありません。

 ですから、「最近、気分がちょっと落ち込んで、不安感が強くなって......」などと外来で話をすると、サッと抗うつ薬など精神科の薬を出されてしまいがちです。
 こうした診療のあり方は、精神科に限った話ではありません。ほかの病気でも、基本的には似たり寄ったりです。

 血圧が上がったら降圧剤を処方して血圧を下げる。これは、血圧が上がった原因を治療しているわけではありません。
 たとえば、お酒の飲みすぎ、運動不足、栄養バランスが芳しくないなど、何かしらの理由があって動脈硬化を招き、その先に、血圧が高くなるわけです。

 しかしながら、原因には目をつぶって、起こっている現象だけを変えようとする。つまり、「検査の数値の正常化=薬を用いて血圧だけを下げる」という治療を行っているのです。
 要するに、本来の根本的な原因まではアプローチしていないことがほとんど。それが、今の日本の医療のありようです。

 もっとも現状では、外来で一人の患者さんになかなか長い時間を割くことは難しく、ましてや、一日の食事や生活リズムを聞き出して、生活指導をすることまで望むのは酷でしょう。
 決して医師が手を抜きたいわけではなく、たくさんの患者さんが訪れて、彼ら全員に善処しようとすると、そういった治療システムになってしまうわけです。

 とにかく、こうした背景から、「副腎疲労ではないか」と来院される人の多くは、すでに精神科の薬を服用しています。1、2種類にとどまらず、3~5種類もの薬を処方されている人も大勢います。
 そういった人たちに対して、副腎疲労の観点からアプローチをすることで、徐々にではありますが、元気を取り戻すケースはたくさんあります。

 たとえば、7種類くらいの薬を飲んでいた人が、1年足らずで薬を一切飲まなくても大丈夫になった人もいます。
 食事や生活リズムといった生活習慣を改善していくだけでも、当人が驚くほどの変化を得られることが多々あるのです。

(第2回・了)
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「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。