カルチャー
2014年12月5日
ストレスを調整! 知られざる臓器「副腎」に注目
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【6】
文・本間龍介
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小さくても役割の大きい臓器・副腎


 副腎については、一般にあまり知られていないのが実情でしょう。

 私たちの体の背面には、左右それぞれ腎臓があります。腎臓の位置は横隔膜の真下あたりで、副腎は、その腎臓の上にちょこんと乗っかるように存在する臓器です。
 腎臓は空豆のような形をしていて、大きさは心臓よりやや小さいぐらい。成人の腎臓の重さは、およそ100~120グラム程度です。

 一方、副腎の重さは、一つ3~5グラム程度で、腎臓の20分の1以下。とても小さな臓器であることがわかります。
 正直、副腎は目立たない存在で、副腎が腫れ上がる副腎腫瘍のようなわかりやすいケースを除くと、医学の世界でも、あまり関心を持たれない状況がありました。

 副腎は、位置的には腎臓とくっついていますが、働きとしては、腎臓と直接関係する臓器ではありません。腎臓は泌尿器系の臓器であるのに対して、副腎は生命を維持するために不可欠なホルモンを分泌する内分泌器の一つです。

「副腎」の構造 ※クリックすると拡大

 具体的にはのとおりで、大きく分けると副腎皮質と副腎髄質の二つに区別できます。まんじゅうに例えると、皮の部分が副腎皮質、餡の部分が副腎髄質というイメージです。

 副腎皮質と副腎髄質は、そもそもの発生起源が違っているので、構成する成分も働き方も全く異なります。

 副腎髄質は、発生学的には自律神経の交感神経系の一部。機能的にも共通した性質を持っていて、交感神経と連携しながら生理作用を調整しています。

生命維持に欠かせない副腎皮質ホルモン ※クリックすると拡大

 また、副腎髄質では、アミノ酸の一種であるチロシンから、カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)と呼ばれる化合物を合成して分泌しています。
 これらは、神経伝達物質として、また副腎髄質ホルモンとして、交感神経系の作用を増強する働きがあります。

 交感神経は、しばしば「闘争と逃走の神経」と称されますが、言ってみれば、ストレスに対抗するためのアクセルの役割を担っています。一方、副交感神経は、「休息や修復の神経」で、交感神経にブレーキをかける役回りです。

 体内のあらゆる生命活動をうまく機能させるためにも、そして、社会の中で日常生活を営むうえでも、自律神経の両輪、すなわち交感神経と副交感神経が、時と場合に応じて切り替わることが大切です。

 ノルアドレナリン、アドレナリンは生命の危機や不安、恐怖、怒りを感じたとき、つまりストレスにさらされたときに放出されます。
 以前、連載で紹介したストレスに対する反応にあてはめると、初期段階、すなわち警告反応期の反ショック相にあたるリアクションです。

 一方、ドーパミンはやる気や集中力を高めるホルモンで、脳を覚醒させたり、楽しさ、心地よさといった感情を生み出す働きがあるので、ストレス解消にも深く関係しています。

 セロトニンだけではなく、ノルアドレナリンやドーパミンの不足も、抑うつ症状を招く要因になるので、精神的な安定には、副腎髄質がきちんと働くことも重要です。

 一方、副腎皮質では、コレステロールを原料に、ステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロンなど)を合成し、分泌しています。

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「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。