カルチャー
2014年12月19日
忘年会、肝臓の悲鳴は副腎疲労となって現れる!
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【10】
文・本間龍介
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「毒の渋滞」が不調の元凶!


 2014年も残すところあと少し。忘年会ラッシュの方も多いのではないでしょうか?
 アルコールと言えば誰でも「肝臓」が気になるところです。

 肝臓については、「アルコールを分解してくれる臓器」といったあいまいなイメージしか持っていない人も少なくありません。
 確かにアルコールの解毒もしますが、薬も体にとっては毒の一種ですし、重金属、化学合成物質、排気ガスといった無意識に体内に取り込んでしまっている毒など、体に入ってきたすべての毒は肝臓で無毒化されて、尿や胆汁を通じて体外に排出されます。

 私たちは、アルコールに関しては「お酒に弱い」と自覚できるので、意識的に飲まないという選択ができます。
 しかし、それ以外の毒に関しては、解毒が苦手な物質だと知らぬままに、多量に摂ってしまうケースもありえるのです。

 仮に、肝臓で処理できない量の毒が入ってくると、「毒の渋滞」を招いてしまいます。
 高速道路の料金所と同じく、スムーズに流れているうちは問題ないのですが、渋滞を起こすと厄介です。

 というのも、解毒すべき物質が順番を待ちきれずに、肝臓という関所を通らずに、フラフラと体のあちこちへと出て行ってしまうのです。
 すると、体内で毒が行き着いた先で炎症を起こすなど、さまざまな不調の元凶になります。

 ETCでも、車の量が多ければ、サッと通り抜けできません。ですから、毒の量をできるだけ減らす必要があるのです。

肝臓の驚くべき解毒システム


 肝臓には、フェイズ1、フェイズ2と呼ばれる2段階の解毒システムがあります。
 フェイズ1ではシトクロムP450と呼ばれる酵素が必要になりますが、この量は遺伝的に決まっています。
 シトクロムP450にはいろいろな種類がありますが、人によって、どのタイプが多く、どのタイプが少ないといった個人差があります。アルコールに強い/弱いといった体質も、こうした酵素の量が左右するのです。

 シトクロムP450の量は後天的に変えることはできませんが、自分に不足している酵素を調べれば、その酵素を要する物質は体内に入れないようにするといった先回りのケアが可能です。

 ちなみに、DeNAとYahoo!が遺伝子検査サービスをスタートさせましたが、今後は遺伝子の個人差についてを調べることで、その人の体質に合った薬やサプリメントを処方したり、病気の予防に役立てたり、「オーダーメイド医療」が可能になってくるでしょう。

肝臓における解毒システム ※クリックすると拡大

 さて、毒の大半は脂溶性ですが、尿や胆汁に流すには水溶性に変える必要があります。そのために、フェイズ1で化学分解し、フェイズ2で水溶性に変える仕組みになっています。

 たとえば、体温計に使われている水銀を誤飲しても、吸収されずに体外に自然と排出されます。
 しかし、魚の中に取り込まれた水銀が、食物連鎖のなかで濃縮されて、メチル水銀という脂溶性の物質になるとよくありません。
 水銀に限らず、重金属が脂溶性の物質に形を変えると、脳や神経など、体内の脂肪組織に取り込まれて体に悪影響を及ぼすのです。

 ある意味、肝臓もストレスと戦い続けている臓器と言えますが、肝臓をサポートすることが副腎の負荷を軽減します。
 毒をできるだけ体内に入れずに肝臓の負担を減らすこと、そして、肝臓がしっかり機能する状態をキープして、体内に毒が巡らないようにすること、これらが副腎疲労の予防改善にもつながります。

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「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。