カルチャー
2015年1月19日
不安を何でも保険で解消は、大間違い
[連載] 保険ぎらいは本当は正しい【2】
監修・横川由理 文・長尾義弘
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「お金の不安」と必要な保障


 保険の払いすぎを防ぐためには、まず家庭のリスクマネジメントを考えることが大切です。
 ここでのリスクとは、「お金の不安」と置き換えてみるとわかりやすいと思います。

 一般的な家庭におけるリスク(お金の不安)と、それに対応してくれる保険について、いくつか例をあげてみましょう。

 死んだとき、残された家族の生活の不安 →「死亡保険」
 病気になったときの不安 →「医療保険」
 がんになったときの不安 →「がん保険」
 老後の生活の不安 →「個人年金保険」
 要介護状態になったときの不安 →「介護保険」
 子どもの教育費の不安 →「学資保険」
 仕事ができなくなったときの不安 →「就業不能保険」

 お金の不安はほかにもあると思いますし、それぞれの家庭、個人の状況によってさまざまに変わっていくと思います。
 こうした不安は、すべて保険でカバーすることができます。しかし、1つの不安が解消すると、また次の不安が生まれてくるもので、悩みの種が尽きないのが人生というもの。

 それらのすべてを保険でカバーしようとすると、いったいいくらの保険料が必要になるのでしょうか。
 すべての保険に入るのは無理ですし、ナンセンスです。必要以上に保険をかけるのはムダ以外の何ものでもありません。

 そこでポイントになってくるのが「リスクマネジメント」です。

 リスクマネジメントとは、人生において、どこにどれだけのリスクがあり、そのリスクをカバーするために必要な金額はいくらなのかを見積もり、管理することです。リスクマネジメントを行うことで、本当に必要な保障が見えてくるはずです。

保険選びに欠かせない「リスクマネジメント」


 まず、「リスクの保有」を考えていきます。
 たとえば、病気で1週間の入院をしたとします。入院給付金が日額5000円の保険に入っていれば、3万5000円の給付があります。
 しかし、もしこれがなかったらどうでしょうか? 入院費用の支払いが困難になるでしょうか?

 たいていの場合、1週間程度の入院であれば、10万円くらいの預金があれば何とかなります。ほとんどの方は、これくらいの備えは持っているのではないでしょうか。

 何でもかんでも保険に頼るのではなく、貯蓄などで対応できる範囲は、それで対応する。つまり、リスクを自分の中に取り込むのです。これを「リスクの保有」と言います。

 次に、「リスクの移転(転嫁)」です。
 これも例で説明しましょう。
 夫婦と小学生の子どもが2人いる計4人の家庭で、主な収入源は夫の給料です。これから教育費などでお金が必要な時期ですが、子育てのため、妻はフルタイムで働けません。

 このような状況にある妻は、「もし、夫に万一のことがあったら......」と考えるでしょう。こういうときには保険が役に立ちます。
 万一、夫が亡くなったとしても、残された妻が1人で子どもたちを養い、大学まで通わせることができるだけの保険金を受け取れる保険に加入しておけばいいのです。

 これは夫が死亡したときのリスクを保険に移転(転嫁)したことになるのです。

 3つ目は、「リスクの軽減」です。
 たとえば、病気にならないように、毎日の食事に気を遣い、ウォーキングをする。あるいは、毎年定期的にがん検診を受ける。こういった本人の努力で、病気のリスクを軽減できます。

 このように、保険によってリスクを移転(転嫁)することはできますが、すべてをそうする必要はありません。あるリスクは保有しておいてもいいでしょうし、あるリスクは別の方法で軽減することができるはずです。

 こうして、何でも保険に任せるのではなく、リスクを分散して管理するのが、リスクマネジメントです。

(第2回・了)
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保険ぎらいは本当は正しい
横川 由理 監修/長尾 義弘 著



【監修者】横川由理(よこかわゆり)
FPエージェンシー代表、CFP、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。著書に『50歳から役に立つ「お金のマル得術」』『老後にいくら必要か?』『アベノミクスで変わる「暮らしのお金」の○と×』(以上、宝島社)など多数。監修には「別冊宝島」の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』などがある。
http://fp-agency.com/

【著者】長尾義弘(ながおよしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』(河出書房新社)などがある。
http://neo.my.coocan.jp/