カルチャー
2015年1月29日
「今、保険を解約すると損ですよ」のホンネ――保険会社の営業トーク
[連載] 保険ぎらいは本当は正しい【6】
監修・横川由理 文・長尾義弘
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保険業界にもある本音と建前


 どんな業界でも、必ず営業トークというのは存在します。
 保険業界も例外ではありません。
 ですから、キチンと建前と本音を知っておく必要があります。

 ここでは代表的な営業トークの一部を紹介しましょう。

建前:「私が一生涯サポートします」
本音:「私が勤めている間はサポートします」

 国内保険会社の営業員は保険会社の社員ですが、でも個人事業者なのだというのをご存知ですか? しかも離職率は非常に高いのです。
 だから、担当者がずっと同じという可能性は低いでしょう。
 また、ネット保険の場合、電話の向こうで親切に説明してくれるこの人に連絡をすればいいと思いがちです。でも、彼らは電話対応のスタッフであって、あなたの担当者ではありません。

建前:「今、解約をすると損ですよ」
本音:「成績に響くから、今は解約しないでください」

 たしかに貯蓄性の保険は、早期に解約すると解約返戻金が少なくなって損をする場合もあります。しかし、掛け捨ての定期型の保険なら、いつ解約しても同じです。
 困るのは営業員のほうで、成績が下がりペナルティとなってしまうこともあるのです。

建前:「新しくいい保険が出ました。今までの保険よりお得ですよ」
本音:「契約転換をしてください。私にとっては得になります」

 十中八九、保険の転換を勧めています。新しい保険に変えることで営業員の成績になりますし、保険会社にとってはありがたいことです。
 しかし契約者にとっては、多くの場合、損につながりますので気をつけてください。

建前:「この保険が人気で一番売れています」
本音:「会社が一番売りたい保険です」

 来店型の保険ショップでは、よくこう言って勧められます。裏を返せば、「手数料が高いので、利益率が高い商品です」、または「キャンペーン期間の商品で、ショップごとに販売競争をしている商品です」ということかもしれません。本当に自分の望んでいる商品かよく考えましょう。

 親切に見える言葉の裏には、こんな本音が潜んでいるかもしれません。すべての営業員がこうだとは思いたくないのですが、賢い契約者になりましょう。

(第6回・了)





保険ぎらいは本当は正しい
横川 由理 監修/長尾 義弘 著



【監修者】横川由理(よこかわゆり)
FPエージェンシー代表、CFP、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。著書に『50歳から役に立つ「お金のマル得術」』『老後にいくら必要か?』『アベノミクスで変わる「暮らしのお金」の○と×』(以上、宝島社)など多数。監修には「別冊宝島」の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』などがある。
http://fp-agency.com/

【著者】長尾義弘(ながおよしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』(河出書房新社)などがある。
http://neo.my.coocan.jp/
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