カルチャー
2015年1月23日
えっ?マッサージや整体は「首こり」には逆効果
[連載] 体の不調は「首こり」から治す、が正しい【4】
文・三井 弘
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IT化がもたらした「首をいじめる生活」


 近年、首を悪くする人が急増しているのはどうしてなのでしょうか。
 一番の要因は、労働・生活環境の変化にあると私は考えています。

 労働環境で言うと、昔のような肉体を使う仕事は減り、今は椅子に座って作業するデスクワークが中心です。
 座った姿勢での作業は、おのずと首を下に向けた「屈曲」姿勢になります。この「屈曲」姿勢を取り続けることは、最も首への負担をかけてしまうのです。

 さらに、長時間の「屈曲」を余儀なくさせているのがIT化の進行です。

 私たちの生活はいまやパソコン、ゲーム機、ケータイ・スマートフォンなどのデジタルツールと深く結び付いています。
 試しに、こうした機器を使うとき、どのような姿勢になっているかをちょっとイメージしてください。実際にやってみていただいても結構です。

 どうでしょうか? 首が前に出て、なおかつずっと下を向いていませんか?
 つまりデジタルツールの登場と普及で、現代人は下を向く時間が長くなってしまっているのです。
 なかでも首の健康を最も脅かしているのがパソコン作業と言ってよいでしょう。

 ゲーム機やケータイ・スマートフォンなどは、「疲れたな」と思えばいつでも自由に姿勢を変えることができます。座っていて疲れたら寝転がってみたり、使うのをいったんやめたりと、自分自身で使う時間や姿勢をコントロールすることができます。

 ところが仕事でパソコンを使う場合は、なかなかそうはいきませんね。数時間もパソコン画面に向かって作業し続けるなんてことがざらにありますし、人によっては十何時間もパソコンをのぞき込んだままの姿勢が続くこともあります。

 そのような首をいじめる生活が毎日続けば、首はたちまち悲鳴を上げてしまいます。
 こうしたものがなかった時代の人たちと比べ、IT環境が進んだ今は長時間同じような姿勢を取り続ける場面が圧倒的に増えています。
 これが現代人の首を悪くしている一つの元凶であることは間違いありません。

 「首を悪くする=スポーツや事故が原因」とのイメージがあるかもしれませんが、実は首をいじめる生活習慣がジワジワと原因をつくっているのだということを、これを機にぜひ知ってほしいと思います。

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体の不調は「首こり」から治す、が正しい
三井 弘 著



三井 弘(みつい ひろし)
1943年、岡山県岡山市生まれ。1970年、東京大学医学部を卒業。同整形外科入局。1977年より三井記念病院勤務。1984年「三井式頚椎手術器具」を開発。三井記念病院整形外科医長を経て、現在、三井弘整形外科・リウマチクリニック院長。専門分野は脊椎、関節(人工関節)。日本リウマチ学会評議員。著書に『体の痛みの9割は首で治せる!』(角川SSC新書)、『首は健康ですか?』(岩波アクティブ新書)など多数。