ビジネス
2015年1月8日
なぜクラウドは低コストなのに、インテグレーターと企業の双方にメリットがあるのか
[連載] ジャカルタで働く社長のコラム【4】
文・中村 けん牛/協力・吉政 忠志
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クラウド・インテグレーターとして成功するための3つの条件


クラウド・インテグレーターとして成功するために必要な条件は、

1. 「短納期」
2. 「技術力によるコスト圧縮」
3. 「営業力」

の3点であると考えます。

 まず「短納期」について、クラウドベンダーとの提携やソフトウェアメーカーとの一次店契約ができれば、おのずと短納期を実現できる環境を用意できます。しかしそれだけでは足りず、2点目の「技術力によるコスト圧縮」にも関係してきますが、やはり、技術力が高くなければいけません。
 高い技術により、高品質なシステムを短納期で納品できる力が重要です。その際にOSS(オープンソース・ソフトウェア)などを活用できるとコスト圧縮も実現できるため、インテグレーターとしての競争力を高めることができます。まれに「OSSはコストがかかる」という方もいますが、それは技術力が足りないために工数がかかったり、バックエンドサポートが必要になることで、コストがかかると考えています。

 2014年9月にIDC JAPANにより発表された市場データを見ると、2013年の国内プライベートクラウド市場は、前年比42.9%増の4,368億円となりました。そして、2018年には2013年の3.7倍になる1兆6,026億円と予測されています。これは大半のオンプレミス(自社運用)のシステムがクラウド上で構築されていくことを示しています。

 その時代に生き残れ、勢力を拡大していくのは、サーバ環境のみならず、アプリケーションレイヤーも含めてサービスを提供できるクラウド・インテグレーターになるはずです。理由は、短納期・低コストをトータルで実現できためです。恐らく、従来のシステム・インテグレーターが生き残れるのは、ユーザ企業が従来のシステム資産を捨てられない銀行などの超大型システムの領域のみとなり、5年ごとにリプレイスされている大半のシステムは、クラウド・インテグレーターが担当するようになるはずです。

クラウド・コンピューティングの活発なインドネシア市場


 インドネシアのクラウド市場の97%がSaaS利用によるものです(日経ASIA BIZ 2013年11月『インドネシアにおけるクラウドコンピューティングの台頭』より)。これは、日本市場におけるSaaS率の70.6%(BCN 2013年4月『好調が持続するクラウド市場 パブリッククラウド、SaaSがけん引役を果たす』)よりはるかに高い数値になっています。
 一方で近年、インドネシアのインターネット環境は著しく向上しており、オフィスはもちろん自宅からでも快適にインターネットを活用できるようになりました。これによりますます、クラウド利用が高まり、インドネシアでもクラウド・インテグレーターが勢力を増すと考えています。

(第4回・了)





本格ビジネスサイトを作りながら学ぶ WordPressの教科書2
スマートフォン対応サイト編
プライム・ストラテジー株式会社 著



【著者】中村 けん牛
プライム・ストラテジー株式会社 代表取締役。
早稲田大学法学部卒、会計士補。大手証券会社を経て、2002年、プライム・ストラテジー株式会社設立。2005年、ジャカルタにプライム・ストラテジー・インドネシアを設立して以来9年間、ジャカルタでのITビジネスに携わる。執筆した書籍『WordPressの教科書』シリーズは日本、韓国で累計3万部突破のベストセラーに。2015年2月には、SBクリエイティブより『本格ビジネスサイトを作りながら学ぶ WordPressの教科書 Ver4.x対応版』を出版の予定。

プライム・ストラテジー株式会社
http://www.prime-strategy.co.jp/


【協力】吉政 忠志
プライム・ストラテジー株式会社 マーケティングアドバイザー
吉政創成株式会社 代表取締役
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