カルチャー
2015年2月12日
貯蓄性保険の保険料値上げ・販売中止の続出でどうする?
[連載] 保険ぎらいは本当は正しい【10】
監修・横川由理 文・長尾義弘
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いよいよ4月から保険料が上がる!?


 日銀の金融緩和の影響で、長期金利の金利が下がっています。
 それが、保険料にも関係しているのをご存じですか?

 現在、生命保険の標準利率は1%ですが、2015年4月から0.5%に下がってしまいます。
 改定は、2013年4月以来、2年ぶりです。

 この標準利率は、予定利率を決めるうえで参考にする利率のことです。
 予定利率が下がってしまうということは、貯蓄性のある保険の保険料が上がるということなります。

 国債の金利が下がると、契約者に約束した予定利率を下回ってしまう可能性が高くなります。保険会社は、貯蓄型の生命保険を販売中止にしたり、保険料を値上げしたりする動きが出てき始めました。

 明治安田生命が個人年金保険の取扱を中止、第一生命は養老保険を販売中止。
 ソニー生命は、養老保険と一部の学資保険の販売停止。
 また一部の保険会社は、一時払いの終身保険の保険料値上げなどなど。

 バブル当時に人気のあった終身保険や年金保険などは、保険会社のお荷物にもなっている状態です。
 契約者にとっては、予定利率の高い時代に入っている年金保険、終身保険はお宝ですが、低金利時代の貯蓄型の保険は、魅力が薄れています。

 とくに、これから2015年4月の改定にあわせて保険料が上がるとますます魅力がなくなってきます。
 しかし、この予定利率が下がっても、影響の少ない保険もあります。

 それは、貯蓄性のない保険。つまり、定期保険などの掛け捨ての保険がそうです。

 掛け捨てというのは、戻ってこないので、損をしているという印象を持ってしまうのですが、損なことはありません。
 死亡保険では、定期保険とか収入保障保険がそうです。

 貯蓄型の保険よりも保険料は安いです。一定の期間は保障を得ることができます。
 満期の時期がきますので、保険を見直すいいキッカケにもなるのではと思います。

 貯蓄型の保険、掛け捨ての保険、どちらを選ぶというよりも、貯蓄と保険を分けて考えたほうがいいということです。

 こんな低金利の時代に、保険に貯蓄性を持たせるのは、そもそも無理があります。
 そんなに都合のいいものはありません。

 もちろん、変額保険などは、運用しだいで増える商品もありますが、減るリスクも伴うものです。

保険はインフレに弱い!


 保険は、超長期の固定金利の商品です(なかには変動金利を採用している保険もありますが)。予定利率が0.5%の保険に入ると、その予定利率がずっと続きます。

 保険は、20年、30年、場合によっては40年の長期に渡る商品です。
 今の低金利が、これから20年、30年続くと言うのは考えにくく、いつかは金利も上昇していくはずです。何年後かに金利が上昇していっても、契約時の予定利率は変わりません。

 また、金利が上昇するときには、物価も上がっていくことが多いです。物価が上昇するということは、円の価値は下がってしまいます。

 もし、毎年2%のインフレ(物価上昇)になった場合、保険金が30年で約半分になってしまいます。
 ちょっと信じられないですが、冗談ではなく本当の話です。

 たとえば、お葬式代のつもりで300万円の終身保険に入っていたら、インフレで30年後には600万円に値上がりしていた。300万円の死亡保険金では、葬式代が半分しか払えなくなってしまったと言うことになりかねません。

 2%のインフレが毎年続いたと仮定すると30年後には、約半分に減り、40年後には40%の価値になります。
 保険は、インフレには弱いのです。

 今後、2%のインフレが続くのか、それともデフレに戻るのか? それとも激しいインフレになるのか?
 いずれにしても、低金利時代に加入する長期の固定金利の商品には注意が必要です。

(第10回・了)
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保険ぎらいは本当は正しい
横川 由理 監修/長尾 義弘 著



【監修者】横川由理(よこかわゆり)
FPエージェンシー代表、CFP、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。著書に『50歳から役に立つ「お金のマル得術」』『老後にいくら必要か?』『アベノミクスで変わる「暮らしのお金」の○と×』(以上、宝島社)など多数。監修には「別冊宝島」の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』などがある。
http://fp-agency.com/

【著者】長尾義弘(ながおよしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』(河出書房新社)などがある。
http://neo.my.coocan.jp/