スキルアップ
2015年3月31日
どうしてあなたの話は伝わらないのか──カリスマ現代文・講師が教える「論理的に話す力」
[連載] 出口汪の論理的に話す力が身につく本【1】
文・出口 汪
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「なぜわかってくれないの?」が起こる理由


先生:よく、会社の中間管理職が、「最近の若いヤツは、何もわかってない」って嘆いているよね。その一方で、若い社員は、「課長は俺たちのことをちっとも理解してくれない」って憤慨してる。

学校でも一緒で、教師は生徒のことを「ちっとも言うことをわかろうとしない」って怒り、生徒は教師のことを「俺たちのことなんか、全然わかってない」って感じている。

──私も中学生の頃とか、先生や親がわかってくれないって、思ってました。会社でも、「ウチの課長は......」みたいな話、聞くことがあります。

先生:恋人同士だって、こんな感じの喧嘩をすることってあるよね。「何で俺のことをわかってくれないんだよ」、「どうして、もっと私のことをわかろうとしてくれないの」って。ちょっとしたことが原因で、そんな喧嘩になって、気まずくなってしまうことがある。ゆいちゃんもそんな経験あるんじゃない?

──ノーコメントです! 恋人同士は置いておくとして、友達同士でもありますよ。友達だと思うから、余計に、「何でわかってくれないの?」って、腹が立っちゃうっていうか、悲しくなっちゃうっていうか...。

先生:お互いが他者意識を持っていれば、こんなことにはならないはずなんだ。基本的に、人間は主観でしかものを捉えることができない。そして、その主観が正しいと、根拠もなく信じ込んでいる。ここが落とし穴なんだよ。

じゃあ、どうすればいいか。

一度、相手の立場に立って、考えてみればいいんだ。ゆいちゃんが上司の言うことを納得できないとしたら、自分を上司の立場に置いてみるといい。そうすれば、何で上司がそう言うのかが次第にわかってくるはずだよ。自分の言うことを上司が理解してくれないときも一緒だ。

きっと、なぜ理解されないのか、どんな言い方をすればわかってもらえるか、だんだん見えてくるはずだから。

──相手の立場に立って考える、ですか......。

先生:うん。恋人同士の例を出したけど、男と女は永遠に理解できないなんて言われることがあるよね。でも、それは、男は男の視点でしかものを見ず、男の論理でしか考えない。女性も一緒で、いつだって、女の視点でしか見ないし、女の論理で考えてしまう。だからなんじゃないかな?

──でも先生、社会に出て、いろいろな人とコミュニケーションを取るためには、自然に身についた他者意識や論理だけではダメで、自分で意識して身につけなくてはいけないんですよね。






出口汪の論理的に話す力が身につく本
出口 汪 著



出口 汪(でぐち ひろし)
1955年東京都生まれ。東進衛星予備校講師、出版社・水王舎を経営。受験生たちの熱い支持を受け続けている、大学受験現代文の元祖カリスマ講師。宗教家・出口王仁三郎の曾孫。関西学院大学文学部博士課程修了後、代々木ゼミナール、旺文社のラジオ講座などで爆発的人気を博し、伝説の講師となる。また、論理力を養成する画期的な言語プログラム「論理エンジン」を開発し、現在、私立を中心に全国250校以上の小中高で導入されている。
主な著書に『出口汪の新日本語トレーニング』(小学館)、『現代文レベル別問題集』(東進ブックス)、『出口汪のシステム現代文』シリーズ(水王舎)、『奇跡の記憶術』(フォレスト出版)、『出口 汪の論理的に考える技術』(小社刊)など多数があり、その累計部数は600万部を超える。
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