カルチャー
2015年6月10日
梅雨の結露と暑さへの対策はどうしたらいい?
[連載] 暮らしを支える「熱」の科学【2】
文・梶川武信
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結露を防ぐにはどうする?


図1 結露が発生する仕組み ※クリックすると拡大

 結露は、空気がより低い温度の物質に触れたときに、水蒸気の温度が下がり、ものの表面に水滴として現れる現象です。

 空気中に含むことができる水蒸気の量は、温度や圧力で変化します。とはいえ、大気の圧力は1気圧と一定なので、温度によって変わるといえます。たとえば、空気1立方メートル中に含むことができる水の量は、25℃のときは約26.1gですが、10℃になると10.14gが限界です。空気中に水分が最大限含まれている状態が湿度100%です。空気の温度が25℃から10℃に下がると、1立方メートルの空気から26.1―10.14≒16gの水が液体となって現れます。

 ある温度での湿度とは、その空気に含まれる水分の量の、許容限界量に対する割合です。湿度が100%になる温度を露点といい、結露が発生します。

 結露は、空気のあるところでは起こる可能性があります。特に湿度が高く、温度差がつきやすく、風通しの悪いところであれば、より結露する可能性が高くなります。注意しなくてはいけないのは、水蒸気は水分子なのでどんな狭いすき間にも入り込めることです。また、温度差があり湿度差もあるところでは、それが浸透する力となって水分子が侵入していく性質があります。

 この結露の性質をよく知ることで、対策を立てることができます。湿度を下げるには、気密性を最大限にして除湿器をつける方法が効果的です。さらにいえば、特定の場所をもっと低い温度に冷やして、集中的に空気から水分を除去する方法や、水分だけを吸収・吸着させてしまうなどの方法があります。逆に、気密性をなくして空気の流れをよくすることでも、温度差がなくなり結露を防ぐことができます。昔の家は風通しがよかったため、現在のような結露問題はなかったといわれています。

暑いときはシャツを着ていたほうが涼しいの?


図2 シャツを着ると放熱効率が高くなる ※クリックすると拡大

 暑い室内で肌をだしたままでいると、汗が皮膚の表面から蒸発するため、蒸発熱がからだの熱を奪って涼しくなります。この汗の膜を絶えずふき取ってやれば、蒸発熱が直接肌を冷やすようになります。拭き取らないと、汗が表面張力で皮膚をおおってしまうため、効率が落ちます。

 シャツを着ていると、汗が繊維の細いすき間にしみ込んで薄い膜になるので蒸発が早くなり、また皮膚の表面の汗の量が少なくなるので、蒸発熱が効果的にからだを冷やします。

 シャツの材質は綿(コットン)素材がいいといわれていますが、その理由は、綿は1つひとつの微細な繊維が中空になっていて、表面がセルロースと呼ばれる分子が鎖状で細長く、しかも互いがねじれているので吸水性にすぐれるという性質があるからです。麻も綿と同様に吸水性にすぐれており、同時に放熱性にもすぐれます。こうした衣服を身につけると、発汗した汗を効率よく吸い取り、蒸発させて、熱をからだから奪うことができるのです。

 電線もビニールで被覆されていますね。もちろん、電気を絶縁して、ふれても安全なように被覆されているわけですが、実は被覆された電線のほうが熱をよく放出するので、電線が熱くなるのを抑える働きもあります。電線は汗をかくわけではないので、放熱のためには電線のままのほうがいいと思われるかもしれませんが、ビニールの被覆は電線の熱を熱伝導というかたちで吸い取り、外気に放出します。被覆すると放熱できる表面積が格段に大きくなるので、放熱効率もよくなります。

(了)
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暮らしを支える「熱」の科学
ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!
梶川武信 著



【著者】梶川武信(かじかわ たけのぶ)
1942年、東京都生まれ。名古屋大学大学院工学研究科修了。工学博士。専門はエネルギー変換工学。通商産業省(現経済産業省)電子技術総合研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所)から湘南工科大学までの42年間、熱電発電など新発電技術の研究開発および大学教育に従事。現在は湘南工科大学名誉教授。著書に『「再生可能エネルギー」のキホン』(SBクリエイティブ)、『エネルギー工学入門』(裳華房)、『海洋エネルギー読本』(オーム社)、『熱電学総論』(S&T出版)など。