カルチャー
2015年8月12日
「糖質ゼロ」「ノンカロリー」..."ゼロ食品"は厳密には"ゼロ"ではない
[連載] 体を壊す食品「ゼロ」表示の罠【1】
文・永田 孝行
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食品表示の「ゼロ」は、「ゼロとみなしましょう」の意味だった!


 「ダイエットしてみようかな...」――ふとしたきっかけで、自分の体型の劣化を目の当たりにして、その気になった経験のある人は、男女問わず多いのではないでしょうか。
 まさに今夏を迎えるにあたって、ダイエットに挑戦した人、あるいは、まさにダイエットに挑戦している真っ最中だという人も少なくないでしょう。

 さて、ダイエットにほんの少しでも関心の目を向けたことのある人ならば、「糖質制限食」といった食事法や、「糖質ゼロ」あるいは「カロリーゼロ」を売りにしたダイエット向けの食品について、見聞きしたことがあるのではないかと思います。

 とくにここ数年は、「○○ゼロ」を大々的に打ち出した食品がたくさん出回るようになりました。「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」をアピールしている発泡酒のテレビコマーシャルなどもよく見かけます。
 そこで、今回はこうした「ゼロ食品」「ゼロ飲料」にまつわる食品表示の裏側について、簡単にご紹介したいと思います。

 まず一つ、大前提として押さえておきたいのは、いわゆる「ゼロ食品」は、厳密には「ゼロ」ではないということ。より正確に言えば、「〈ゼロ〉と見なしてもいいでしょう」と国に認められた食品です。

図1●ゼロ・無・ノンなどの表示基準 ※クリックすると拡大

 「ゼロ」と表示できる基準は食品表示法で決められています。詳しくは図1としてまとめたとおりですが、カロリーなら5キロカロリー未満、糖質なら0.5g未満、脂質なら0.5g未満(いずれも食品100g当たり、飲料100ml当たり)であれば、「ゼロ」と表示してもOKというルールになっています。ちなみに、「ゼロ」以外にも「無」「ノン」といった言葉は同様の意味で使います。

 もちろん、こうした決まり事は、別に消費者の目をごまかそうとしているわけではありません。要するに「このぐらいであれば、誤差の範囲内」という考え方なのです。

 とはいえ、「ゼロ」を売りにしている食品は、正確には「ゼロ」であるとは限りません。その事実からすれば、単純に「ゼロだから」と安心して、カロリーゼロ飲料や糖質ゼロ飲料をガブ飲みしたり、カロリーゼロ食品、糖質ゼロ食品を食べすぎたりするのは、賢明な行動とはいえないでしょう。

 もっとも、ゼロ食品であれば、1回で摂取するカロリーや糖質の数字自体は、それほど気にする必要はありません。表示と実際の数値がかけ離れているわけではなく、100g当たり、100ml当たりで計算すれば、「ゼロ」に近いのは確かです。
 ですから、よほど過剰摂取しないかぎり、カロリーや糖質の摂取量についてめくじらを立てなくていいと思います。

 ちなみに、「ゼロ」に準じて「低い」「控えめ」と表示できる基準もあります。表現としては、「低」「控えめ」「少」「ライト」「ダイエット」などが、同じ意味合いで使われます。こちらも食品表示法で具体的な定義が決められています(詳しくは図1を参照)。

 いずれにせよ、食品の特徴を形容する言葉が、一体どんな定義のもとで使われているのかを知っていれば、似たような商品群から、自分が本当に望んでいる商品を選別できるでしょう。

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体を壊す食品「ゼロ」表示の罠
永田 孝行 著



永田孝行(ながた・たかゆき)
1958年愛知県名古屋市生まれ。東京大学大学院医学系研究科で肥満と代謝を研究。 生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値 (グリセミック・インデックス) に着目して実験・研究を重ねた後、2001年に「低インシュリンダイエット」を提唱し、ブームを巻き起こす。また2003年には特異的な体脂肪分解のメカニズムを解明し、部分痩せを可能にする著書『10 days ポイントダイエット』を国内外で出版。これまで60冊近くを出版し、書籍販売総数は500万部を突破。主な活動としては健康保険組合や企業を通して社員の健康・保健指導や生活習慣病予防と改善対策における食品の研究開発、健康コンサルタント、さらには講演活動や雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。主な著書に『低インシュリンダイエット』(新星出版社)、『なんで太るの?』(角川書店)など。