カルチャー
2015年8月18日
ノンカロリーの人工甘味料と砂糖、選ぶならどっち?――人工甘味料がかえって太るメカニズム
[連載] 体を壊す食品「ゼロ」表示の罠【2】
文・永田 孝行
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「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」などと銘打ったいわゆる「ゼロ食品」は、消費者の美容健康を応援する商品だと見なされています。しかしながら、国内外で「ゼロ食品」にまつわる医学的な研究が進むなかで、ダイエットや生活習慣病の予防には、こうした「ゼロ食品」が有益な結果をもたらさないのではないかという見解がちらほらと挙がっています。  この識見が本当だとすれば、消費者の立場からすると、あるいは、ゼロ食品の開発者の立場からしても、非常に衝撃的な結果だといえるでしょう。はたして、一体どういう理由から「ゼロ食品」が否定されているのでしょうか?


えっ?「ノンカロリー」商品は余計太る!?


健康志向の高まりを受け、飲料・食品業界はさまざまな「ゼロ商品」を発売している。

 「砂糖とノンカロリーの人工甘味料では、どちらが太るでしょうか?」

 こんなふうに尋ねられたら、あなたならどう答えるでしょうか。
 常識的に考えると、大半の人が砂糖だと即答するでしょう。しかしながら、ノンカロリーのはずの人工甘味料のほうが、体重が増えるという驚くべき結果が報告されているのです。

 これは、2008年、アメリカのバデュー大学で行われたラットを使った実験に基づいた話です。簡単に説明すると、ラットを2つのグループに分け、ひとつのヨーグルトには、ノンカロリーのとある人工甘味料を混ぜて、もうひとつのヨーグルトには天然の砂糖の一種を混ぜて、それぞれ2週間にわたって与え続けました。その結果、ノンカロリーの人工甘味料入りのヨーグルトを食べていたラットのほうが、体重の増加が見られたのです。

 ちなみに、その後、ノンカロリーの人工甘味料を与えるのをストップしてからも、体重の増加は止まらなかったとのこと。あくまでも、動物実験の結果ではありますが、人間の場合にも、同じようにあてはまる可能性は十分に考えられます。
 「ノンカロリーのダイエット・ソーダを飲んでいると太る」――これが本当だとすれば、「ダイエット向け」として販売されているのは一体何なのかと、だまし討ちにあったような気分に陥るでしょう。

 さらに、米国糖尿病学会では、2011年に次のような仰天の研究結果が発表されています。これはテキサス大学のサンアントニオ健康科学センターの研究チームによるもので、65~74歳の男女の集団を対象に10年近くかけて行われた調査によって導かれた結論です。

 この調査研究では、ダイエット・ソーダの摂取とウエストの関係について調べていて、ダイエット・ソーダを飲んでいる人たちは、まったく飲まない人たちに比べて、ウエストのサイズが70%以上増加したと報告されています。
 また、毎日2本以上のダイエット・ソーダを飲んでいる人たちは、ウエストが平均4.74㎝増加していて、ダイエット・ソーダを飲まない人たちのおよそ6倍に達していたそうです。

 この調査でウエストを問題にしているのは、ウエストは内臓脂肪をどれぐらいため込んでいるかを知る大切な指標のひとつであり、肥満やメタボリックシンドロームと関係の深い数字だからです。したがって、ダイエット・ソーダを過信するのは、肥満や糖尿病、そのほかさまざまな生活習慣病のリスクを高める恐れがあるということ。これが事実であれば、ダイエット・ソーダとのつきあい方を見直したほうがいいのかもしれません。

 また、2009年、テキサス大学のヘルスサイエンスセンターで行われた大規模疫学調査では、ダイエット・ソーダを毎日飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて、メタボリック症候群の合併リスクが36%、糖尿病の発症リスクが67%上昇するといったレポートもあります。

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体を壊す食品「ゼロ」表示の罠
永田 孝行 著



永田孝行(ながた・たかゆき)
1958年愛知県名古屋市生まれ。東京大学大学院医学系研究科で肥満と代謝を研究。 生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値 (グリセミック・インデックス) に着目して実験・研究を重ねた後、2001年に「低インシュリンダイエット」を提唱し、ブームを巻き起こす。また2003年には特異的な体脂肪分解のメカニズムを解明し、部分痩せを可能にする著書『10 days ポイントダイエット』を国内外で出版。これまで60冊近くを出版し、書籍販売総数は500万部を突破。主な活動としては健康保険組合や企業を通して社員の健康・保健指導や生活習慣病予防と改善対策における食品の研究開発、健康コンサルタント、さらには講演活動や雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。主な著書に『低インシュリンダイエット』(新星出版社)、『なんで太るの?』(角川書店)など。