スキルアップ
2015年9月18日
「真夏日はアイスが売れない!」って本当?──2軸で見るとデータ分析はさらに深まる!
[連載] できる人のデータ・統計術【2】
文・柏木 吉基
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 前回は、「データ分析とデータ整理は、根本的に違う!」と題して、データ分析では「2軸で見る視点」が重要であることを解説しました。今回は、具体例を使いながら、より詳しく見ていきましょう。


アイスクリームはなぜ売れる?


 2015年夏も非常に暑い猛暑日が続きました。こういう時は冷たいアイスがさぞやたくさん売れるだろうと思いました。そこで、過去からのアイス類の売上推移を調べてみます(出典:日本アイスクリーム協会)。

図1

 これを見ると、ほぼ年々増加傾向にあることが分かります。でも、「どのカテゴリーも増えていますね」以上のことはここからは読み取れません。多くのケースはここで止まってしまいます。

 でも、更に掘り下げて、より深い情報を取ろうとする場合、「アイス」の販売に影響する要因とは一体何なのか、を知る必要がありますよね。

「どんなことが関係するのだろうか?」この自分への問いかけが仮説となり、最初に必要になります。
 例えば、「地域ごとに消費の傾向があるのではないか」と考えれば、どんな地域で消費が多いのかを調べようということになります。
 全国の政令都市の内、消費額上位の都市を並べると次のようになりました(平成24~26年平均:総務省)。

図2

「北陸地方が多いのかな?」というくらいは推測できるでしょうか?でもその他は特に顕著な特徴は読み取れません。

 これらは「データを整理」しただけに過ぎません。「データ整理」の特徴は、「売上高」や「経費」など1種類のデータ(軸)で語られることです。結果をサマリーするにはこれで足りますが、分析(深掘り)をして、さらに"使える"情報を引き出すには、もう一つのデータ(軸)と組み合わせ、その関係性に着目することで、数字を眺めるだけでは分からなかった、裏の意味が次々と浮き出てきます。
 特に、恐らく多くの人がよく行い、そこで止まってしまっている1軸だけのデータ整理との比較をすると、その違いがよくわかります。

 そこで、「アイスクリームは子供の食べ物だ」という固定観念のある私は、先のデータに、新しい1軸(県別の子供人数の割合)を加えて散布図にしてみました。(出典:総務省)

図3

 先の仮説が正しければ、右肩上がりの傾向がみられるはずでしたが、どうもそのようには見えません。やはり固定観念だったのかもしれません。これだと、「子供が多いところのほうが売れる」とはいえなそうです。確かに思い返すと最近のアイスは子供向けよりも大人仕様のものが多い気がします。

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それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術
柏木吉基 著



【著者】柏木吉基(かしわぎよしき)
データ&ストーリー代表。多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授。 横浜国立大学・亜細亜大学 非常勤講師。 神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒後、日立製作所入社。2003年MBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部等を経て2014年独立。グローバル組織の中で、社内変革プロジェクトのパイロットを務め、経営課題の解決、新規事業の提案等、データやロジックを組織の意思決定に活かした数多くの実績と経験を持ち、これらを強みに活動している。現在、大手百貨店やメーカー、地方自治体などへの企業研修や実務で成果を出せるデータリテラシー定着のためのコンサルティングやスキル育成サポートを行なう。大学や大学院での実践的なビジネス授業も英語・日本語で展開している。世界120か国、旧東海道500キロを踏破。 著書に『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(SBクリエイティブ)など。