カルチャー
2015年10月6日
通勤電車で、突然下痢に...。その理由は?
[連載] マンガでわかるストレス対処法【1】
文・野口 哲典
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仕事や人間関係、お金や生活に対する不安など、現代人は誰もが何かしらのストレスを抱えて生活している。こうしたストレスを無くすことは難しく、ストレスと向き合って、受け流すことが重要だと『マンガでわかるストレス対処法』の著者・野口哲典さんは言う。それでは、ストレスによって、どんな症状が引き起こされるのだろうか。今回は、トイレにまつわるストレスの症状を取り上げ、そのメカニズムを見ていこう。


ストレスでトイレが近くなるのはなぜか?


神経性頻尿のメカニズム

 緊張などのストレスでひんぱんにトイレ(尿意)へ行きたくなることがある。こうした何度も排尿したくなる症状を頻尿という。

 平均的な1日の排尿回数(昼間起きているとき)は7回前後である。これが1日8回以上になると頻尿の可能性がある。

 頻尿になる原因は、中年男性では前立腺肥大症、女性では膀胱炎など、さまざまなものが考えられる。

 そして、身体的には異常がなく、精神的ストレスによる頻尿を神経性頻尿(心因性頻尿)という。

 一時的な緊張による神経性頻尿は、緊張がなくなれば頻尿の症状もなくなる。たとえば好きなことをしているときや睡眠中は、特に尿意を感じることもなくなる。

 しかし、ひんぱんにトイレへ行きたくなることを気にしすぎると、日常でも電車内や会議中などで、「トイレへ行きたくなったらどうしよう」という意識が強く働き、それがストレスとなって頻尿になってしまうことがあるのだ。

 膀胱は大脳と自律神経系によってコントロールされている。

 交感神経が活動しているときは膀胱が拡張し尿をため、副交感神経が活動しているときは膀胱が収縮し排尿をうながす。これは緊急事態の際や運動をしているとき排尿を抑制し、逆に休憩しているときに排尿できるようにするためだ。

 ところが緊張などのストレスにより自律神経の働きにくるいが生じると、副交感神経が優位になり、排尿を抑制すべきところで膀胱が収縮したり、それほど尿がたまっていないのに尿意を感じるなど過敏になってしまうことがあるのだ。

ストレスでお腹の調子が悪くなるのはなぜか?


過敏性腸症候群のメカニズム

 病院へ行き検査をしても特に異常が認められないのに、慢性的な下痢や便秘、腹部の痛みやガスがたまりやすいといった不快感が繰り返し起きるような症状を過敏性腸症候群という。

 この過敏性腸症候群もストレスによる自律神経の乱れが大きな原因だと考えられており、特に先進国の20代から40代の若い年齢層で多いのが特徴だ。

 過敏性腸症候群の症状には、大きく3つのパターンがある。

 1つめは男性に多い下痢を繰り返す下痢型だ。2つめは女性に多い便秘を繰り返す便秘型。3つめは下痢と便秘が交互に現れる交代型である。

 大腸は胃や小腸で消化されてきた食べ物に含まれている水分を吸収する役割がある。水分の吸収が不十分だと下痢になり、逆に水分を吸収しすぎると便秘になる。

 過敏性腸症候群の下痢は、ストレスよる自律神経からの信号が大腸に伝わり大腸の運動が増加することで、内容物が大腸を通過する時間が短くなり水分が十分に吸収されないことで起きる。

 この下痢には、満員の通勤電車内にいるときや会議の最中など、下痢になると困るという状況が逆にストレスになり、突然、下痢の症状が生じるというやっかいな面がある。文字どおり腸が過敏になり、少しの刺激でも症状がでるようになってしまうのだ。

 一方、過敏性腸症候群の便秘もストレスなどによる自律神経の乱れから、下痢型とは逆に大腸の運動が減少することで、内容物の停滞時間が増加した結果、水分が吸収されすぎて、便が硬くなるために起きるものだ。

(了)
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マンガでわかるストレス対処法
原因がわかれば解決策はおのずと見えてくる!!
野口哲典 著



野口哲典(のぐち てつのり)
1958年愛知県生まれ。東海大学卒。市場調査会社を経て、ライターとして独立。執筆活動だけでなく、確率などをテーマにした講演もこなす。おもな著書に、『知ってトクする確率の知識』『数学的センスが身につく練習帳』『数字のウソを見抜く』『みんなが知りたい男と女のカラダの秘密』『マンガでわかる確率入門』『身体に必要なミネラルの基礎知識』『マンガでわかる神経伝達物質の働き』『マンガでわかるホルモンの働き』(サイエンス・アイ新書)や『判断と選択に役立つ〈数〉の法則』(河出書房新社)、『「成功法則」を本気で科学する』(ベストセラーズ)、『入門 統計学はこんなに役立つ』(宝島社)などがある。