カルチャー
2015年10月13日
うつ病になる三大原因──性別や性格にも差があるってホント?
[連載] マンガでわかるストレス対処法【2】
文・野口 哲典
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仕事や人間関係、お金や生活に対する不安など、現代人は誰もが何かしらのストレスを抱えて生活している。こうしたストレスを無くすことは難しく、ストレスと向き合って、受け流すことが重要だと『マンガでわかるストレス対処法』の著者・野口哲典さんは言う。今回は、ストレスよって引き起こされる「うつ病」について見ていこう。


ストレスとうつ病


ゆううつな気分を長引かせてはいけない

 うつ病は代表的な精神的ストレス性関連疾患である。

 うつ病は「心の風邪」といわれるように、誰でもかかる可能性がある。特に先行きが見えにくく、ストレスや不安の多い現代社会では、うつ病になる人が増加している。

 一時的に気分が落ち込んだりゆううつになることは、それほどめずらしいことではない。

 失敗したときや悲しいときなど、落ち込んだ気分になったり、なにもする気が起こらないことは誰にでもある。そのためたんなる一時的な抑うつ感なのか、本当のうつ病なのかを見分けることは難しい。

 一時的な抑うつ感と、うつ病の最大の違いは、ゆううつな気分の継続期間と身体的な症状である。

 うつ病になると、長期間(目安としては2週間以上)ほとんど毎日のようにゆううつ感や気分が重く落ち込んだ気分になり、さらに不安、無気力といった気持ちが続くようになる。

 またうつ病になると、身体的にもさまざまな症状が現れるようになる。具体的には、睡眠障害、倦怠感や疲労感、頭痛、食欲や性欲が低下するなどの症状だ。

 これらはストレスによる自律神経失調症の症状でもあり、こうした症状を放置しておくと、うつ病に発展する可能性もあるのだ。

 また、ストレス障害や不安障害などは、同時にうつ病もともなっていることが多い。

どうしてうつ病になるのか?


うつ病になる原因

 うつ病になる原因には、大きく3つの場合がある。

 1つめは体質的、遺伝的にうつ病になりやすい人が発症するもので内因性うつ病という。特に理由もなくうつ病になるものと、精神的なストレスがきっかけでうつ病になるものがある。

 2つめは精神的ストレスや環境の変化などが直接のきっかけとなって起こるものだ。これを心因性うつ病という。

 3つめはほかの病気や飲んでいる薬などが原因でうつ病になるものだ。これを身体因性うつ病という。

 身体因性うつ病の原因となる病気には脳梗塞後遺症、更年期障害、アルツハイマー型認知症や、女性の場合は月経前の気分的な落ち込みなどがある。

 一般的に女性のほうが男性よりもうつ病にかかりやすい。これは月経や妊娠、更年期など女性ホルモンの分泌のバランスがくずれることで、うつ病になりやすくなると考えられているからだ。

 内因性うつ病や心因性うつ病になる原因は、慢性的なストレスや不安などさまざまな要因が関係していると推測されるものの、まだ明確にわかっているわけではない。

 とはいえ、うつ病に効果のある薬の作用から、特に神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの働きが低下したり、バランスがくずれることが、うつ病と深く関係しているのではないかと考えられている。というのもセロトニンには精神を安定させる作用、また適切な量のノルアドレナリンにはやる気をアップさせる作用があるからだ。

 ノルアドレナリンが過剰になると不安や恐怖を感じる不安障害になる可能性があるが、要するに、これらがバランスよく働くことで精神が安定し、やる気もでるのである。

 そのためうつ病の治療薬は、セロトニンやノルアドレナリンの働きを高める作用のものが主流になっている。

 ちなみにもともともっているストレスや不安に対する耐性や性格などによっても、うつ病になりやすい人とそうでない人がいると考えられている。たとえば性格的に、まじめで責任感の強い人のほうが、うつ病になりやすいといわれている。

(了)





マンガでわかるストレス対処法
原因がわかれば解決策はおのずと見えてくる!!
野口哲典 著



野口哲典(のぐち てつのり)
1958年愛知県生まれ。東海大学卒。市場調査会社を経て、ライターとして独立。執筆活動だけでなく、確率などをテーマにした講演もこなす。おもな著書に、『知ってトクする確率の知識』『数学的センスが身につく練習帳』『数字のウソを見抜く』『みんなが知りたい男と女のカラダの秘密』『マンガでわかる確率入門』『身体に必要なミネラルの基礎知識』『マンガでわかる神経伝達物質の働き』『マンガでわかるホルモンの働き』(サイエンス・アイ新書)や『判断と選択に役立つ〈数〉の法則』(河出書房新社)、『「成功法則」を本気で科学する』(ベストセラーズ)、『入門 統計学はこんなに役立つ』(宝島社)などがある。
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