カルチャー
2015年10月8日
「オタク」で「しつこい」──男の子の特性を知って男子育児の「しんどさ」を解消!
[連載] うちの息子ってヘンですか?【2】
文・小崎 恭弘
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まとめ:オタク道を究めさせよ! 学ぶ力は遊ぶ力から育まれる


 男の子は、自分の目の前にあるものがすべてです。過去や未来、他人からすすめられたものにも、一切興味がありませんし、気にもしません。

 なぜって? それが男の子だから。そこに理由はありません。もう、そういうものなんです。象に「なぜ大きいの?」と問うようなものです。「象だから!」。これ以外に答えられません。

 お母さんたちは、よく息子に「なぜそんなことするの?」と聞いていますが、私が代わりに答えましょう。「男の子だから!」

 男の子は、興味の範囲や内容も、とても狭いです。そして偏っています。お母さんからしたら、何が良いのか、楽しいのかさっぱりわかりません。そして、いつになればコレら(例:ダンゴムシを100匹並べる、電車しりとりを続ける)が終わるのかもわかりません。たぶん本人にもよくわかっていないのだと思います。

 ですから、ある程度のところで見切りをつけさせ、その次のことができるように配慮してあげましょう。そのときのコツは、突然の変更を強いないこと。「あと○回で終わりだよ」などと少し前に知らせる、あるいは「ここまでねー」と気持ちの区切りをつけさせることです。

 そして、好きなものをうまく使うこと。オタクにはオタクの対応法でいきましょう。

 例えば、電車好きな男の子には、「おもちゃの電車で遊ぶ→線路で実際の電車を見る→路線図を見せる」といった具合です。路線図で、今日見た電車はどこの路線のどこの駅のものかを教えてみてはいかがでしょう。

 あるいは、「電車好き→電車を工作する→電車以外の工作」と、作る楽しさを引き出し、指先の器用さを育ててみてはいかがでしょう。

「うちの子、こんなに電車好きで大丈夫?」「昆虫好きで大丈夫?」などと心配する必要はありません。例えば、電車好きの男の子はそれをテーマに自分の世界を作り、おもちゃを集めたり、遊んだりしながら、認識力を高め、自我を形成し、知識を吸収して、学びの土台を積み上げていきます。

 学ぶ力は遊ぶ力から育ちます。また、興味関心の幅が狭いということは、別の見方をすると、そのことに深い関心を寄せ、集中力はあるということです。その子の得意な分野をうまく引き伸ばしてやりましょう。






うちの息子ってヘンですか?
男子育児のしんどさが解消される本
小崎 恭弘 著



【著者】小崎 恭弘(こざき やすひろ)
大阪教育大学教育学部 准教授。元保育士。1968年兵庫県生まれ。兵庫県西宮市公立保育所初の男性保育士として12年間、園児たちの保育に携わる。その間には、3人の息子の父親として育児休暇を3回取得。 自身も3兄弟の長男であり、高校生の頃から野外活動の「キャンプのお兄さん」として、幼児や小学生男子ともどっぷりかかわってきた「男の子のプロ」。NHK Eテレ『すくすく子育て』ほか、テレビや新聞、雑誌などでも活躍中。年間60回ほどの講演では、笑いあふれる漫談ふう育児指南を披露し、大人気を博す。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。著書に、『男の子の本当に響く叱り方ほめ方』『思春期男子の育て方』(以上、すばる舎)、『わが家の子育てパパしだい!―10歳までのかかわり方』(旬報社)など。
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