カルチャー
2015年10月8日
「オタク」で「しつこい」──男の子の特性を知って男子育児の「しんどさ」を解消!
[連載] うちの息子ってヘンですか?【2】
文・小崎 恭弘
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特性その2:男の子は戦う


 世界を救うヒーローは基本的に男の子。スーパーマン、ウルトラマン、仮面ライダーにドラゴンボール。ヒロインもいますが、圧倒的に男の子です。なぜなら、男の子は戦う生き物だからです。彼らは全力で戦います。

 息子たちの戦いごっこやヒーローごっこを、ママたちは遊びだと思っているでしょう。違います。本気です。それが彼らの仕事です。職業「戦士」、趣味「戦い」なのです。ウソだと思うなら、ヒーローごっこをしているときの息子の表情、まなざしを見てください。何をするよりも真剣、かなりの本気度だということがおわかりになるでしょう。

行動パターン:見えない敵と戦う


世界を悪の手から守るために戦っている

 誰もいないところで息子がひとりで。なぜだかポーズを決めています。彼には見えています。この世界を滅ぼす何かが。世界が平和なのも息子のおかげです。ジュースぐらいサービスしてあげてください。

まとめ:至福のヒーローごっこは邪魔せず、一緒につき合って遊んで


 強いものに憧れるーーこれは、男の子のごくごく普通の感情です。「強い」から派生して、「大きいもの」「かっこいいもの」「速いもの」「硬いもの」などにも憧れます。

 これらはすべて、男の子の興味の延長線上に存在しています。例えば、電車、バス、トラック、飛行機などの乗り物、ロケット、ロボットなどのメカ、恐竜や虫や動物など。そう考えてみると、男の子の興味の対象が理解しやすいかもしれませんね。

 戦うというのは「乱暴」というのと少し違います。彼らは、明確に敵を意識しています。敵は「悪いヤツ」です。この世界を悪の手から守るために戦っているのです。お母さんは気づいていないでしょうが、彼らがいなければ、この世界は悪の手先だらけになっているのです(男の子の脳内世界)。でも、そうでないのは、彼らが日々、「悪いヤツ」を撃退してくれているから。お母さんたちは、息子に感謝してほしいくらいです。

 空想の世界で遊ぶのは、女の子でも一緒です。セーラームーンになり切ったり、プリキュアになり切ったりして遊びます。でも、男の子のように、空想と現実をまるきり同一視しているわけではなく、また、「空想の世界がすべて」にはなりにくいようです。

 男の子、女の子によらず、子どもが夢中で遊んでいる姿は生き生きとして心から楽しんでいて、それは子どもならではの特権です。お母さんは、そんな特権を守ってやってほしいのです。

 男の子は戦いながら、自分とヒーローを1ミリも区別していません。周りから見てもなり切って見えるのは、男の子たちが本気だからです。

 空も飛べます! 
 光線も出せます! 
 宇宙にも行けます! 

 そんな空想の世界で遊べること自体、すばらしいことだと思いませんか? 自分の大好きなものになり切り、自分の思いどおりの世界で遊べるなんてこと、幼い時代にしか体験し得ない至福の時です。そんな輝かしい時間を、ぜひ大切にしてほしいのです。

「いつまでふざけてるの! 早くお風呂入りなさい!」。そんなことを言ったら、男の子に失礼過ぎます。

 彼らの世界観を大切にして、一緒に遊び、「ヒーローごっこ」に乗ってあげてください。

(了)





うちの息子ってヘンですか?
男子育児のしんどさが解消される本
小崎 恭弘 著



【著者】小崎 恭弘(こざき やすひろ)
大阪教育大学教育学部 准教授。元保育士。1968年兵庫県生まれ。兵庫県西宮市公立保育所初の男性保育士として12年間、園児たちの保育に携わる。その間には、3人の息子の父親として育児休暇を3回取得。 自身も3兄弟の長男であり、高校生の頃から野外活動の「キャンプのお兄さん」として、幼児や小学生男子ともどっぷりかかわってきた「男の子のプロ」。NHK Eテレ『すくすく子育て』ほか、テレビや新聞、雑誌などでも活躍中。年間60回ほどの講演では、笑いあふれる漫談ふう育児指南を披露し、大人気を博す。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。著書に、『男の子の本当に響く叱り方ほめ方』『思春期男子の育て方』(以上、すばる舎)、『わが家の子育てパパしだい!―10歳までのかかわり方』(旬報社)など。
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