カルチャー
2015年12月1日
薬で死にたくなければ、従来の健康・医学常識を疑え!
[連載] だから医者は薬を飲まない【6】
文・和田 秀樹
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副作用があるからといって、薬を嫌う人は珍しくありません。ところが、一時的な薬を飲むのを嫌うのに、長期的に飲まなければならない血圧の薬などを飲んでいる人はけっこういます。これでは薬と副作用に対してズレた考えをしている、と言わざるを得ません。また、従来の健康・医学の常識にダマされないためには、インターネットから正しい情報を得るなど、正しい対応ができるようにしたほうがいいでしょう。このことについては、拙著『だから、これまでの健康・医学常識を疑え』(ワック新書)、『だから医者は薬を飲まない』(SB新書)などでもふれてきました。今回は、どうしたら薬の害に侵されず、薬を味方につけることができるようになるのかについて説明します。


薬を嫌う前に、薬を飲む意義を知っておく


 「なるべく薬は飲みたくない」と言う人は、けっこういます。症状として出るか否かにかかわらず、薬には必ず副作用があるからでしょう。このような人がいるのは、当然のことだと思います。

 実際、風邪を引いても風邪薬を飲まない、熱があっても熱さましを飲まない、咳が出ても咳止めを飲まない、という人がいるわけですが、どういうわけか、そういう人が血圧の薬をずっと飲んでいたりするのです。こういうケースは、薬の飲み方をよく知らないか、あるいは副作用についての考え方がズレているか、そのどちらかだと思います。

 副作用のリスクだけを見ると、風邪薬のように一時的に飲むもの、長く飲み続けることのない薬というのは、副作用も一過性のものだと言うことができます。つまり、飲まなくなったら、副作用も出ないということです。

 また、風邪薬は市販薬にしても処方薬にしても、強い副作用が出ることは、ほとんどありません。もっとも、体質なのか、確率的なものなのかわかりませんが、何万人に1人くらいの割合で、死につながるような重篤な副作用が出ることもあるのですが、基本的にはあまり心配しなくていいでしょう。

 つまり、風邪薬のようにすぐにやめられる薬というのは、あまり怖くはないと言うことができるわけです。

副作用が怖いのは、長期間飲み続けなければならない薬


 風邪薬など、一時的に飲む薬の副作用はほとんどないのだとしたら、熱があるのに熱さましを我慢する、咳が出るのに咳止めを我慢する、あるいは下痢をしているのに下痢止めを我慢するということが、どれほど意味があるのかという話になるわけです。

 一方、血圧の薬はどうでしょうか。たしかに血圧の薬を飲んでいると、血圧は下がるし、将来的にも体に良い影響を与えるのかもしれません。ところが、肝臓が悪くならなくても、体がだるくなるなどの副作用が出やすいはずです。また、血圧の薬は飲まなくなると、また血圧が上がるので、ずっと飲み続けなければなりません。

 いまのところは副作用による体への負担をあまり感じていなくても、5年、10年と飲み続けたらどうでしょうか。長い年月が経ったときにどんな副作用が出るのか、そういう研究は、ほとんどなされていないのです。

 また、年を取れば取るほど臓器が弱ってきますから、たとえば60歳のときに害のなかった血圧の薬が、70歳になって害が出てくるということも十分あり得るわけです。もちろん、10年経っても害が出ないこともあるでしょう。ですから、一概に危険だと言うことはできません。しかし、安全だと言い切ることもできないのです。

 何も、副作用の危険性ばかりを考えろ、と言っているわけではありません。短期的に服用する薬と長期的に服用する薬に対する考え方が、ちょっとおかしいように思われるのです。多くの人が薬と副作用に対してズレた考えをしているために、薬の飲み方が理にかなったものになっていないと言えると思います。

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だから医者は薬を飲まない
和田秀樹 著



和田 秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪府生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医。和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。著書に『だから、これまでの健康・医学常識を疑え! 』(ワック)、『医者よ、老人を殺すな!』(KKロングセラーズ)、『老人性うつ』(PHP研究所)、『医学部の大罪』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『東大の大罪』(朝日新聞出版)など多数。