カルチャー
2016年2月19日
【プロが教える野球観戦術】野球の醍醐味は「見えないファインプレー」にあり
[連載] プロ野球 見えないファインプレー論【1】
聞き手・SBCr Online編集部
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選手寿命の延びた現代のプロ野球


 特に昨年のシーズン終盤は、40歳を超えるベテラン勢の引退ラッシュが話題を集めました。中日ドラゴンズでは山本昌投手(50歳)、小笠原道大内野手(42歳)、和田一浩外野手(43歳)、谷繁元信捕手(44歳)が引退を決め、さらに北海道日本ハムファイターズの中嶋聡捕手(46際)、オリックス・バファローズの谷佳知外野手(42歳)、東北楽天ゴールデンイーグルスの斎藤隆投手(45歳)、横浜DeNAベイスターズの高橋尚成投手(40歳)、西武ライオンズの西口文也投手(43歳)、そして読売ジャイアンツの高橋由伸外野手(40歳)も現役生活にピリオドを打ちました。
 2000本安打を記録した選手が3人(小笠原、谷繁、和田)も含まれているのも大きな特徴でしょう。しかも、それでもまだ10人近くの40代選手がNPBには残っているのです。もはや40歳までプレーすることは、日本のプロ野球では珍しくない時代になりました。

 また、投手では大谷翔平投手(日本ハム)、藤波晋太郎投手(阪神タイガース)、野手では中田翔選手(日本ハム)や森友哉選手(西武)のように、高卒で入団して1、2年目からすぐに結果を出せるような選手も増えていますが、その背景にも、プロ式のトレーニング方法やスポーツ医科学の浸透などが要因として挙げられるかもしれません。

 プロ野球というのは、ほぼ1年間野球をやり続け、シーズンに入ればほとんど毎日が試合です。春のキャンプやオープン戦から秋にかけての143試合をこなすのですから、とにかく疲労が溜まります。したがって、筋肉を鍛えることも重要ですが、疲れを翌日に残さないことも同じく重要となります。

 つまりは体力の回復と改善。回復とは、疲労物質の乳酸が体外に排出されやすい状態を作ることですから、要するに疲れにくい体に持っていくということです。
 そのためには、マッサージはもちろん、疲労回復や熟睡できるための効果的な風呂の温度や入浴時間、医師と相談して効果的なサプリメントを取り入れることもあります。

 春先に元気だった選手が、シーズンの半ばを過ぎたあたりで疲労が蓄積し、動きのキレが悪くなり、これが原因で調子を落としたり、ケガに繋がったりということはよくあることです。できるだけ疲労を残さず、自分の体をベストに近い状態で維持する。プロの選手にとっては永遠のテーマとも言えることですが、その準備こそが、ファインプレーを生み出す"見えないファインプレー"の一つと言えます。

(了)
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プロ野球 見えないファインプレー論
仁志敏久 著



仁志 敏久(にしとしひさ)
1971年茨城県生まれ。常総学院高校では準優勝1回を含む甲子園3度出場。早稲田大学では主将としてチームを牽引し、主に遊撃手として活躍。日本生命を経て、1995年にドラフト2位で読売ジャイアンツに入団。1996年に新人王をはじめ、ゴールデングラブ賞を4回獲得するなど、二塁手レギュラーとして活躍。2007年に横浜ベイスターズ(現、DeNAベイスターズ)へ移籍。2010年に米独立リーグ・ランカスターへ移籍、同年引退。現在は、野球評論家として「すぽると」をはじめテレビ、ラジオでの解説、雑誌等での寄稿を行う。また、指導者としてジュニア世代育成、講演会などを積極的に行う。2014年8月にU12全日本代表監督に就任。2015年7月には第1回WBSCプレミア12の日本代表内野守備・走塁コーチに就任。著書に『プロフェッショナル』(祥伝社)、『反骨』(双葉社)など多数。