カルチャー
2016年3月25日
【プロが教える野球観戦術】一流選手ほどスコアボードの「情報」を活用している
[連載] プロ野球 見えないファインプレー論【4】
聞き手・SBCr Online編集部
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2016年プロ野球がいよいよ始まる。華麗なプレーや記憶に残るプレー、記憶に残る数字だけが野球のすべてではない! 走塁や打撃、守備などの一見平凡そうなプレーにも勝因は潜んでいる――。野球解説者があまり語らない、こうした「見えないファインプレー」について、プロで長年二塁手として活躍し、現在は解説者・評論家およびWBSCプレミア12の守備・走塁コーチなどを務め、『プロ野球 見えないファインプレー論』(SB新書)を刊行した仁志敏久氏に、プロのプレーの奥深さを語っていただいた。


スコアボードには情報が詰まっている


現在は「侍ジャパン」コーチとして、スコアボードを活用する仁志氏(撮影:SBクリエイティブ)

 イニングとイニングの間の「プレイボール」がかかっていない状態、あるいはゲーム中のタイムがかかっているときを「ボールデッド」と言いますが、このボールデッドのときに選手は何を考え、実際に何をしているのか? ここにも隠れた準備があります。

 私にとって重要な存在だったのが、実はスコアボードです。両チームの打順や名前、点数、カウント、現在のイニングなどを教えてくれるだけなく、風の強さや方向も、旗の流れでわかります。ピッチャーの球速も出ますし、バッターの打率ももちろん表示されます。

 私はよくこのスコアボードを試合のポイントポイントで見ながら、頭の中で情報を整理するのが習慣になっていました。
「次のバッターはあの選手だから、ひょっとしたら代打であの選手が出てくるかも」というように、流れを予測することもあります。情報が整理出来れば落ち着いて試合状況を確認出来ますし、状況への対応能力やプレーの精度が高まることも期待出来ます。

 特に、私たちが若手の頃は、どこのチームもレギュラーの顔ぶれ、打順、ポジションがだいたい固定されていたものなのですが、最近はどのチームもメンバーがくるくる変わり、誰が出ているか、瞬時にはわからなくなることもあります。

 私は2013年から「侍ジャパン」の内野守備・走塁コーチを務めているのですが、代表チームですから、レギュラーシーズンのように選手と毎日一緒にいるわけではありません。例えばサードコーチャーをしているときなどに、一瞬「このバッター何番だっけ」とわからなくなることも正直あります。

 もちろん、打順も守備も頭の中に当然入っている基本情報ではあるのですが、試合に集中していると、たまに整理出来なくなるときがあるのも事実です。
 特に下位打線については、セ・リーグなら9番にピッチャーがいるため、そこをある種の基点にしながら無意識に打順を把握する癖もついているのですが、DHになってしまうと「打者」ばかりが続くために、「今現在、何番バッターが打席に立っているのか」が一瞬わからなくなってしまうこともあります。

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プロ野球 見えないファインプレー論
仁志敏久 著



仁志 敏久(にしとしひさ)
1971年茨城県生まれ。常総学院高校では準優勝1回を含む甲子園3度出場。早稲田大学では主将としてチームを牽引し、主に遊撃手として活躍。日本生命を経て、1995年にドラフト2位で読売ジャイアンツに入団。1996年に新人王をはじめ、ゴールデングラブ賞を4回獲得するなど、二塁手レギュラーとして活躍。2007年に横浜ベイスターズ(現、DeNAベイスターズ)へ移籍。2010年に米独立リーグ・ランカスターへ移籍、同年引退。現在は、野球評論家として「すぽると」をはじめテレビ、ラジオでの解説、雑誌等での寄稿を行う。また、指導者としてジュニア世代育成、講演会などを積極的に行う。2014年8月にU12全日本代表監督に就任。2015年7月には第1回WBSCプレミア12の日本代表内野守備・走塁コーチに就任。著書に『プロフェッショナル』(祥伝社)、『反骨』(双葉社)など多数。