カルチャー
2016年4月15日
日本の組織に欠けている「ダイバーシティ」って何?
[連載] 自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう【6】
本当は身近なところから始められるダイバーシティ
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少子化、老老介護、孤独死、待機児童問題など、数多くの難題を抱え「課題先進国」となってしまった日本。こうした混迷の時代でも、自分の半径5mの世界から変えていくことが結局は早く世界を変えることにつながる。日本の未来と、今後の私たちの働き方について、出口治明 氏と島澤諭 氏に語っていただく好評連載6回目!(出典:『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』)


「出戻り」人材が会社を強くする!?


出口 日本の大企業では「出戻りは認めない」など、純血主義に近い考え方があるように感じます。でもいったん外の世界に出た人が戻ってくるのは、その企業にとってはチャンスです。
 ライフネット生命でも、一度辞めた人がまた戻ってくるケースが多々あります。外の世界でチャレンジするために出ていったけれど、「やはりライフネットが向いている」と思って戻ってくる。しかし、日本の伝統的な大企業では、そういう事例はほぼ見当たりません。役所でも、先生のように外で勉強した人をまた戻せばいいのですが。

島澤 私自身は戻らないと思いますが、確かに大事だと思います。ただし、処遇や評価はなかなか難しい。他の企業の人に話を聞いても、辞めたあとの経験が違うので、評価しにくいというのはあるようです。

出口 出戻り社員は、まずは辞めたときのランクに戻せばいい。悪かったら落とせばいいですし、良かったら上げればいいのではないでしょうか。

島澤 役所であれば、課長ポスト以上に空きが出たら、給料や待遇を明示して各所から応募できるようにするのも面白いと考えます。例えば、経済産業省から内閣府の課長ポストに応募があるかもしれませんし、民間企業から応募があるかもしれません。

出口 出戻り社員もそうですが、大きな失敗を経験したことがある社員も、実は企業にとっては大きなプラスとなる可能性を秘めています。失敗というとマイナスのイメージでとらえがちですが、アメリカではむしろ過去に失敗や挫折を経験した人のほうが信頼されます。
 例えば、アメリカのベンチャーキャピタルでは、どんなに才能があっても、過去に大きな失敗を経験したことがない人には投資しないと言われています。どうやれば失敗するのかの経験則がないことが怖いのだそうです。一方、日本の社会では一度大きな失敗をすると、再び這い上がっていくのが困難です。

島澤 失敗しても再チャレンジできる環境は、もっと整えていくべきですね。

出口 仮に日本で行き詰まっても、海外で頑張ればいいのです。「海外で働く」というとハードルが高そうなイメージがありますが、言葉の壁さえクリアすれば、意外とどうにかなるものです。大きく失敗した人物でも、優秀であれば「出資の価値あり」と判断されます。
 企業の経営者の中には、「国内を固めてから海外に出る」と言う人もいますが、そもそもビジネスは「儲かれば出ていく」「儲からないなら出ていかない」というだけの話ですから、チャンスがあればすぐに進出すればいい。「最近はグローバル社会だから」と言う人もいますが、人間の歴史で考えたら、経済の世界はずっと以前からグローバルなので、日本企業が稼いでいく道はいくらでもある。なかには「日本企業の未来は真っ暗だ」とネガティブに考える人がいますが、そんなことはまったくないと思っています。

島澤 求められるのは、海外でもうまく対応していける力ですね。

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自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議
出口治明・島澤諭 著



出口治明(でぐち・はるあき)
1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。日本興業銀行(出向)、生命保険協会財務企画専門委員会委員長(初代)、ロンドン事務所長、国際業務部長などを経て、2006年に日本生命保険相互会社を退職。東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを経て、現在、ライフネット生命保険株式会社・代表取締役会長兼CEO。

島澤諭(しまさわ・まなぶ)
東京大学経済学部卒業。1994年、経済企画庁(現内閣府)入庁。2001年内閣府退官。秋田大学教育文化学部准教授等を経て、2015年4月より中部圏社会経済研究所経済分析・応用チームリーダー。この間、内閣府経済社会総合研究所客員研究員、財務省財務総合政策研究所客員研究員等を兼任。専門は世代間格差の政治経済学。