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2016年12月19日
戦車の「連隊長」に求められる「4つの資質」とは?
文・木元 寛明
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リーダーに求めらる資質は、どのような仕事、業種であっても大きく変わることはありません。それは、戦車連隊を率いる連隊長についても同様です。北海道の機甲科部隊・第71戦車連隊の連隊長までつとめ、『戦車の戦う技術』(サイエンス・アイ新書)を著した、木元寛明氏に、「連隊長に求められる4つの資質」について語っていただきました。


「バカな指揮官、敵より恐い」


 「師団長がいなくても戦争はできるが、連隊長がいないと戦争できない」

 これは陸上自衛隊で冗談めかして言われる一種の戯言(ざれごと)です。とはいえ、本質をついた言葉なのです。

 なぜか?

 理由は、陸上自衛隊の戦い方は戦闘団が基本で、その戦闘団を指揮するのが連隊長だからです。ちなみに、ここでいう連隊長とは、歩兵連隊(普通科連隊)または戦車連隊を指揮する連隊長のことをいいます。

 平時においては、普通科連隊も戦車連隊も、純粋の職種(兵種)部隊として存在しますが、有事には、連隊に他職種部隊を配属してコンバインド・アームズを編組します。

 私が連隊長を務めた戦車連隊の例を紹介します。

 戦車連隊(戦車)に、普通科中隊(装甲戦闘車)、特科大隊(自走砲)、高射中隊(自走高射機関砲)、施設中隊(装甲化工兵)、通信中隊、その他戦闘サービス部隊が配属されて「戦車連隊戦闘団」となり、連隊長は「戦闘団長」として戦闘団全体を指揮します。

 師団長は、戦闘団長に任務を与えて、戦闘の実行を命じます。

 戦闘団長は、指揮下の部隊に直接戦闘を命じます。すなわち、部下に「生命を賭して任務を遂行せよ」と命じるのです。戦闘団長が行動命令にサインすると指揮下の部隊が行動を開始します。それはすなわち、隊員一人ひとりの生死に直結しているのです。

 これはいかなる組織にも共通することですが、組織はそのトップの能力以上のことはできません。すなわち、戦闘団長=連隊長の力量が戦闘団の実力なのです。「バカな指揮官、敵より恐い」という箴言(しんげん)もあります。

連隊長に求めらる4つの資質


 では、連隊長に求められる資質とはいったい何でしょうか?

 これにはいろいろとありますが、私自身の経験から突き詰めて言えば、以下の4点に絞られると思います。

(1)戦術
(2)統率・統御
(3)マネジメント
(4)教養(一般常識)

 順に見ていきましょう。

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戦車の戦う技術
マッハ5の徹甲弾が飛び交う戦場で生き残る
木元 寛明 著



木元 寛明(きもと ひろあき)
1945年、広島県生まれ。1968年、防衛大学校(12期)卒業後陸上自衛隊入隊。以降、第2戦車大隊長、第71戦車連隊長、富士学校機甲科部副部長、幹部学校主任研究開発官などを歴任して2000年に退官(陸将補)。退官後はセコム株式会社研修部で勤務。2008年以降は軍事史研究に専念。主な著書は『自衛官が教える「戦国・幕末合戦」の正しい見方』(双葉社)、『戦術学入門』『指揮官の顔』『ある防衛大学校生の青春』『戦車隊長』『陸自教範『野外令』が教える戦場の方程式』『本当の戦車の戦い方』(光人社)。