カルチャー
2017年2月9日
あなたの周りにもいる「他人を平気で振り回す迷惑な人たち」
文・片田 珠美
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いま、職場や家庭、友人やママ友とのつき合い、SNSによる交流などで、周囲を「平気で振り回す人」が増殖している。正論を振りかざす。「あなたのためを思って…」と助言する。話題を巧妙にすり替える。こういう人がいたら要注意と言うのは、『他人を平気で振り回す迷惑な人たち』の著者である片田珠美さん。今回は、精神科医でもある片田さんの元を訪れた相談者の実例を挙げていただきながら、周囲を「平気で振り回す人」の精神構造について語っていただいた。


「自分は悪くない」と思い込んでいる人たち


 他人を平気で振り回す迷惑な人は、どこにでもいる。

 たとえば、知り合いの40代の男性は、会う約束をしていても、自分のちょっとした都合で何回も約束の時間を変える友人に振り回されて困っている。スマホ時代だから相手はそれほど困らないはずと思っているのか、あまり罪悪感を覚えていないように見えるため、よけいに腹が立つという。

 こういうことがあまりにも頻繁だと、ストレスになるので、「約束の時間は、あまり変えないでほしい」とメールでそれとなく注意したこともあるらしい。しかし、「そんなけつの穴の狭いことを言っていたら、出世できないよ」という返信が戻ってきて、それ以来何も言えなくなったそうだ。

 このように、他人をさんざん振り回しておきながら、「自分は悪くない」と思い込んでいて、むしろ相手を責めるのが、こういう人の特徴である。この手の思い込みは、「自分は絶対正しい」という信念につながりやすい。そういう信念にもとづいて、独りよがりの正論を振りかざす人もいる。

 たとえば、「休日に家でゴロゴロしているのはもったいない」「終電まで飲んでいる奴が、翌日いい仕事ができるはずがない」といった正論を持ち出して説教する人は、その典型だろう。この手の正論はたしかに正しいので、反論しにくい。ただ、たまにならかえってストレス解消になることもあるはずなのに、そういう効果など無視して、堕落としかとらえない。しかも、「堕落は悪」という持論にもとづいて説教するので、周りから煙たがられている。もっとも、そのことに当の本人はまったく気づいていないようだ。

「あなたのため...」と振り回す迷惑な人たち


 このように、自分の持論を他人に押しつける人は少なくないが、その際「あなたのためを思って」という殺し文句で、いかにも相手のためを思って助言しているように装う場合もあり、なかなか厄介だ。たとえば、知り合いの20代の女性は、「あなたのためを思って」と言いながら自分の意見を押しつける友人に辟易している。

 困ったことに、いい意見であることはほとんどない。「会社なんか辞めればいい」とか「上司なんて無視していればいい」という類の意見である。こういう意見を聞くと心穏やかではいられない。そのため、「でも、次の職場が決まってないと、なかなか会社を辞められないよね」と反論すると、この友人は自分の意見を否定されたように感じるのか、怒りだすらしい。

 友人であれば、つき合わないという選択肢もあるが、職場の上司や同僚ではそういうわけにはいかない。自分が確認した書類なのに「見たこともない」としらを切ったり、自分が指示した案件なのに「知らない」と言ったりする上司は、どこにでもいる。あるいは、連絡事項をきちんと伝えたはずなのに、「聞いてない」と言いだす同僚もいるだろう。

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他人を平気で振り回す迷惑な人たち
片田 珠美 著



片田 珠美(かただ たまみ)
精神科医。広島県生まれ。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究。 『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)は話題を呼び、大ベストセラーとなる。『プライドが高くて迷惑な人』『すぐ感情的になる人』(以上、PHP新書)など著書多数。