スキルアップ
2017年2月13日
マツコも納得!みんなが陥る先入観の「罠」
文・小山宣宏(ジャーナリスト)
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お城の大きさが表す日本と外国の戦争観の違い


 さらに読み進めていくと、武田先生が外国で体験した、日本との大きな価値観の違いや「日本で自動販売機を置けるのに、なぜ外国では無理なのか」について、「外国人から見た日本人評」などにも触れており、私たち日本人が普段の生活のなかであまり気づかない点について書かれています。

 とくに「お城」についての考え方の違いは、日本と外国とは顕著で、フランスの研究者を名古屋城に案内したときに、

「ずいぶん小さなお城ですね」と言われました。

 私は「そんなことないですよ。ずいぶん大きなお城じゃないですか」と返したのですが、「こんなに小さいお城では、人がたくさん入らないでしょう」と少し考え込みながら答えます。

 そこで私が、「殿様やその一族が入りますよ」と答えたら、「その程度の人しかお城にいないんですか!?」とたいへん驚かれたのです。
(第2章 「世界と異なるニッポンの常識・非常識」)

 島国の日本と陸続きの欧米。国の位置によって、考え方は大きく変わってくるということを、私たちは理解しておかなければなりません。

マスコミや知識人が発信する情報の罠を見抜く


 そして今の日本では、権威のある組織や著名な学者などが間違った先入観を国民に植えつけているということにも触れています。
 森林の保護、石油の枯渇、地震や火山噴火の予知、血圧の適正値...こうした点についても、武田先生は由々しき事態であると警鐘を鳴らし、世に出回っている情報の真偽についてどう見極めたらいいのかについて、独自の見解を述べられています。

 マスコミや知識人の意見をどうとらえていけばいいか、一般の人には難問ともいえますが、「情報発信者の意図を見抜く方法はある」と、武田先生は断言されているので、その点を考察するやり方さえマスターすることが間違った先入観をなくす近道なのです。

マツコも懸念する間違った情報を生み出すマスコミ


 巻末では現在、テレビや雑誌などで広くコラムニストとして活躍されているマツコ・デラックスさんとの対談を掲載しています。
 そのなかで、第45代アメリカ大統領となったドナルド・トランプが大統領選挙で勝利した要因をどう考えるべきか、アメリカと日本の進むべき道について、これからの世界はどうなっていくことが予想されるかについての討論は、読み進めていくと実に秀逸に分析されていることが分かります。

マツコ 今までは「どうやったらみんなが幸せになれるか」というのを机上の理論のもとに実践してみたんだけど、どれもうまくいかないってことがわかっちゃったワケ。つまり、各国が「どうやったらみんなが納得する平和な世界を造れますか?」というのを議論するのではなくて、「オレはこういうふうにやっていくんだ!」というのを出し合って、そこでみんなが我慢できる社会が始まったのかなという感じよね。

武田 グローバリゼーションと言いながらみんなが苦しんだり、結果が出ていないわけだから、ありのまま生きるのでもいいじゃないかと。時代全体が変わっていく過程に今はあると見て間違いないでしょう。
(巻末対談「武田×マツコ・デラックス」より)

 最後に書かれている「マスコミが取り上げる情報についてどう考えるべきか」については、テレビに数多く出られているお二人ならでは考えに、思わず納得させられます。

「○○だから当たり前」というのは、実は当たり前ではなく、「○○が言っていることは真実なのか?」と疑うことで、間違った先入観を持たなくて済むことを、一人でも多くの人に知っていただけたらと思います。

(了)
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先入観はウソをつく
常識や定説を疑い柔軟な発想を生む方法
武田 邦彦 著



武田 邦彦(たけだ くにひこ)
1943年東京都生まれ。工学博士。専攻は資源材料工学。東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業に入社。同社ウラン濃縮研究所所長、芝浦工業大学教授、名古屋大学大学院教授を経て、2007年より中部大学教授。テレビ番組「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)、CS番組「虎ノ門ニュース8時入り! 」 「現代のコペルニクス」(DHCシアター)などに出演中。著書に 『ナポレオンと東條英機 理系博士が整理する真・近現代史 』(ベスト新書)、 『「正しい」とは何か?』(小学館)、『身近な科学50のウソ』(PHP文庫)など多数。