スキルアップ
2017年4月13日
なぜ超富裕層は、現金があるのにローンを組むのか
文・加谷 珪一
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金融マンが目安にする「7%・10年・2倍」の法則


 では、金利の魔法を最大限に生かすにはどうすればよいか。
 金利が持つ時間的な側面をフル活用したのが、いわゆる複利効果を狙った投資だ。
 投資の世界ではよく、長期投資のメリットが主張されているが、複利効果はまさに長期投資の醍醐味と言ってよいだろう。複利効果は時間が経てば経つほどその効果が大きくなってくる。最終的には直感で得られる数字とはかなりかけ離れた驚くべき結果が得られるはずだ。

 例えば、100円を5%の利回りで運用すると、1年経過すると105円になっている。ここで得られた5円をそのまま再投資に回せば、次の年には105円の5%、つまり5・25円が返ってきて金額は110・25円になる。これを長期にわたって繰り返すと、想像よりも遙かに大きな金額に育っていく。

 このケースでは...

・10年再投資を続けると、資産は約1.6倍
・20年再投資を続けると2.7倍

にもなっている。ただ再投資を繰り返しているだけで、これだけの規模に資産は膨れあがってくるのだ。

 複利の投資でどのくらい資産が増えるのかというのは、7%の金利で10年という期間を目安にするとよい。これは多くの金融マンが日常的に活用している方法である。
7%の金利で10年間、複利で運用すると資産規模は約2倍となる。逆に、10%の金利で7年間の運用でも約2倍となる。とにかく7%で10年間、もしくは10%で7年間運用すると2倍になると覚えておけばよい。これに加えて5%の場合には14年間で2倍と暗記しておけばよい。

 これらの感覚が理解できていると、何%の運用でどの程度の利益になるのか、計算機を使わなくても、おおよその数字を推定することができるようになる。例えば、3.5%で10年間ということになると、7%で10年間の投資の半分くらいなので、1.5倍程度ではないかと推測できる(実際は1.41倍)。5%で期間が20年ということになると、2倍よりも大きく3倍よりも小さそうだといったところだ(実際は2.65倍)。

知らないと老後に1900万円の差がつく!


 実際に投資をする場面ということになると、まとまった額を一気に投じるというよりも、毎年一定金額ずつ投資を積み上げていくケースが多いかもしれない。それでも期間が長期になれば、複利で投資する効果は相当なものになる。

 例えば毎年100万円を30年間積み立てるというケースを考えてみよう。

 毎年100万円で30年間なので何もしなければ、30年後には金額は3000万円になっている。本当にこれだけの貯金ができれば、それはそれでなかなか素晴らしいことだが、あくまでただの貯金であり、当然のことながら、貯めた分の効果しかない。

 しかし毎年投資した100万円が3%で運用され、運用益がすべて再投資に回されると仮定すると30年後に投資金額はいくらになっているだろうか。

 さすがにこれは感覚的に求めることができないのでエクセルで計算してみる。

 すると、4900万円になる。

 何もしない場合と比べて1.6倍だが、金額が金額なので両者の差は極めて大きいと考えてよいだろう。老後の備えということであれば、1900万円の差はかなり大きい。複利の効果が得られるのは、最初の方に投資した金額のみだが、それでも期間が長くなると、複利の効果が大きくなってくることが分かる。

 実は資産家の多くはこうした複利の効果をフル活用している。
 時間が経過すればするほど、知らず知らずのうちに資産が増えてくる。一定以上の資産があれば、無理にリスクのある運用をしなくても、金利の力を借りるだけで、さらに資産を増やすことが可能となるのだ。

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最強のお金運用術
最強のお金運用術 富裕層だけが知っている 1%の金利の魔法
加谷 珪一 著



加谷珪一(かや・けいいち)
著者略歴、経済評論家。1969年仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、金融、経済、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っており、ニューズウィーク日本版(電子)、現代ビジネスなどで連載を持つ。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。著書に「ポスト・アベノミクス時代の新しいお金の増やし方」(ビジネス社)「新富裕層の研究 日本経済を変える新たな仕組み」(祥伝社新書)「お金持ちはなぜ、『教養』を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)「お金は「歴史」で儲けなさい」(朝日新聞出版)「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)「株で勝ち続ける人の常識 負ける人の常識」(KADOKAWA)などがある。