スキルアップ
2017年4月28日
プレゼン当日は○○を食べるとうまくいく!──世界のピークパフォーマーが実践する最強食事術
文・石川 三知
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「いま、一流のビジネスパーソンがもっとも注目しているのは『食事』」と語るのは、長友佑都、高橋大輔、荒川静香、ケンブリッジ飛鳥など各界のトップアスリートをサポートし続けてきた栄養学士の石川 三知さん。特に、世の中の食の情報は間違ったものだらけで、「コーヒーで目を覚ます」「栄養ドリンクで力を振り絞る」「空腹で集中力を高める」「甘いものでリラックスする」…などはすべて、脳に悪い習慣といいます。では、いったい何をどうやって食べたらよいのでしょうか。このほど『世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術』を上梓した石川 三知さんに、プレゼンや重要な会議の際に摂りたい食事について語っていただきました。


目的に合わせた「食事術」がハイパフォーマンスを生む


 あなたは昨日のランチで、何を食べましたか。

 覚えていて、すぐに答えられた人はどれくらいいたでしょう。
 半分くらいでしょうか。もっと少ないかもしれません。
 しかし昨日食べた食事は、今日以降のあなたのからだの材料になっています。

 私はこれまでトップアスリートの栄養指導や食のサポートをする機会に恵まれました。2000年のシドニーオリンピックから2016年のリオまで、16年間で計8回のオリンピックで選手村にて仕事をしたり、選手に帯同して食事のサポートをしてきました。

 アスリートは自分のからだを大切にしています。

 彼らは採点やタイムで即座に評価が決まってしまいますが、その試合が自分の調子のよい状態で迎えられるわけではないことを知っているからです。試合とは、自分以外の誰かが日程を決めます。彼らは、試合に自分のピークがくるように合わせていくのです。

 選手は決められた日の決められた時刻に人生最高のパフォーマンスが発揮できるよう、その日、その日によって目的をもってトレーニングに挑んでいます。だからこそトレーニング効果を上げるために、いつ何を食べるかに対して、意識的に取り組んでいるのです。

 エネルギーを生み出す燃料も、筋肉や骨や神経となる材料も、私たち人間は口からとり込むよりほかに手がないからです。ウェイトトレーニングをどんなにやっても、タンパク質を中心とする栄養素が不十分だと筋肉量を思うように増やすことはできません。

「今の自分にはいったい何が足りないのか」
「だから、これを食べればいいんだ」

 そんな「なりたい自分」に合わせた食事術こそがハイパフォーマンスを生むのです。
 では、具体的にハイパフォーマンスを生む食事を紹介しましょう。

プレゼン前日は切り干し大根とキゥイフルーツ


 新規顧客に自社の製品を売り込んだり、社内で企画を発表したり、ビジネスパーソンにとってプレゼンテーションの場は、自分の力をアピールする格好のステージです。結果がそのまま自分の成績や評価に結びつくところは、アスリートの試合に近いといえます。

 試合で勝つために、アスリートはみな必死で練習しますが、実力のあるほうが必ず勝つとはかぎりません。100の力があっても、本番で七割の力しか出せなければ、80の力を100%発揮した選手に負けてしまう。これがスポーツのおもしろいところです。だからこそ、試合に向けてコンディションを整え、状態を上げていくピーキングが大事なのです。

 プレゼンに臨むビジネスパーソンも同じではないでしょうか。

 からだを壊してじゅうぶんな準備ができなかったり、当日体調が優れず、お客さんの前で集中力を欠いたり、途中でエネルギー切れを起こしてしまったりでは、好結果は期待できません。せっかくの努力が水の泡です。自分はどうも本番で力が発揮できないという自覚のある人は、そうならないよう対策を立てて、プレゼンの本番に臨みたいものです。

 食事を工夫するのもそのひとつ。

 たとえば、本番が近づくと緊張感が高まって、お腹の具合が悪くなるというケースは、アスリートにも多く見られます。これは多くの場合、ミネラルバランスの崩れが原因だといっていいでしょう。

 ストレスによって特定のミネラルが消費され、不足すると、神経伝達回路が正常に働かなくなります。すると間違った信号が伝わるため、胃や腸が誤作動を起こしてしまうのです。具体的には、カルシウムが不足すると下痢、マグネシウムが減ると便秘になりやすいです。

 また、眼や首、肩に疲れがたまるのは、ビタミンB群が欠乏している状態です。

 試合前に熱を出す選手もいますが、ほぼ間違いなくビタミンC不足です。原因がわかれば、対策も簡単です。あらかじめ症状から、何が不足しがちかをつきとめ、それを食事で補うようにすればいいのです。

 プレゼンの本番が近づくと下痢をしやすい人は、一週間前から、ジャコや干しエビの入ったふりかけをご飯にかけて食べる。ランチに切り干し大根の小鉢を加えて、カルシウムを多めにとる。
 熱が出るのが心配なら、果汁100%のオレンジジュースやビタミンCたっぷりの果物、あるいはサプリメントなどでビタミンCを積極的にからだに入れる。こうすれば状況は確実に改善します。ぜひやってみてください。

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世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術
石川 三知 著



石川 三知(いしかわ みち)
Office LAC-U 代表。 Body Refining Planner。 病態栄養相談に携わった後、東京工業大学勤務を経て、スポーツ栄養指導を開始(専修大学アメリカンフットボール部)。これまでに、中央大学水泳部、トライアスロン(ナショナルチームを含む)、東海大学陸上競技部短距離ブロック、スピードスケート岡崎朋美選手、陸上男子短距離日本代表チーム、陸上短距離末續慎吾選手・佐野夢加選手、デンソーボート部、新体操日本代表チーム、全日本男子バレーボールチーム、フィギュアスケート荒川静香選手・髙橋大輔選手をサポート。現在は、都留文科大学陸上部、東海大仰星高校ラグビー部、競泳渡部香生子選手を始めとする多くのトップアスリートの栄養指導を行う。著書には、トップアスリートに学ぶ「勝負食!」実践編(講談社エディトリアル)、Dr.クロワッサン老化を遅らせる食べ方(マガジンハウス)、からだの中から美しくなるレシピ(永岡書店)、フィギュアスケーター髙橋大輔を支えてきた食事パターン『身体を引き締める食べ方1:1:2』(マガジンハウス)など。 ターザンの長友選手の食の連載の監修も務める。