カルチャー
2017年9月1日
健康寿命を延ばす、正しい「歯の磨き方」とは?
文・豊山とえ子(歯科衛生士)
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歯磨きでは歯をきれいにすることはできない


 「自分は、毎日歯を磨いているから大丈夫」と言う人も多いでしょう。しかし残念なことに、日本人のほどんどの人が行っている歯磨きだけでは、歯はきれいになりません。実際に、「72%の外国人が、日本人の口臭にがっかりしたことがある」というデータも存在するくらいです。しかも歯磨きは、歯をすり減らし、歯肉が傷だらけになり、デメリットもたくさん産んでしまいます。

 では、歯磨きの代わりに何をすればいいのか? 細かく挙げていけばきりがありませんが、代表的なものに絞ればそれほどではありません。

 まずは、歯ブラシだけを使うのをやめること。実は歯ブラシで洗浄できる部分は限られており、歯全体の半分程度なのです。

 そこでぜひ用意したいのが、フロスと歯間ブラシ。フロスとは細い糸状のものです。これらによって、歯ブラシでは届きにくい汚れが落とせます。

 それほど虫歯や歯周病がない健康な人なら、1日1回、寝る前にフロスと歯間ブラシで洗浄した後に、歯ブラシを使えば十分です。歯ブラシを使う前にフロス、歯間ブラシを使うのは、歯ブラシによる磨きすぎ(歯を傷めること)を防ぐのが理由です。慣れれば、全工程が2分で終わります。

 それ以外では、ランチやおやつの後に『リカルデント』などのガムを口にし、口の中の食べかすを除去すればOKです。

歯ブラシの正しい使い方・タイミングを知っている人は限られている


 歯ブラシの使い方を間違っている人も非常に多いです。強い力でゴシゴシと磨くのは間違いで、毛先が歯に当たるくらいの力加減で小刻みに歯ブラシを動かすのが正解です。「磨く」という発想でいくと、このようにしてしまいがちです。

 正しくは「磨く」のではなく、歯垢の除去「プラークコントロール」なのです。

 理想は電動歯ブラシを買うこと。人の手では絶対に無理なスピードで振動するため、歯ブラシを当てる時間が大幅に短縮できます。

 歯垢洗浄液もお勧めです。歯垢がある部分が赤く染まるため、そこに集中的に歯ブラシを当てることができるからです。

 また、ここ最近、私が経営するクリニックに「食後すぐに歯ブラシを使ったらいけないんですよね?」と聞かれます。これは、ある人には正解ですが、そうではない人はやめてください。

 食後すぐに歯ブラシを使ってはいけない」と言われるのは「トゥースウエア」という歯の表面に大きな穴が空きがちな人。食後は口の中が酸性になり歯の表面が柔らかくなるのですが、すぐに歯ブラシを当ててしまうと歯が弱ってしまうのです。

 逆に、虫歯がある人や歯垢が残りがちな人は、食後すぐに歯ブラシを当てるべきなのです。

肉を食べると、口がきれいになる!?


 口をきれいで健やかにするには、食事も大事です。健康というと野菜のイメージがありますが、実は肉をしっかりと摂ることが欠かせません。なぜならば、口を洗浄する唾液の酵素の材料となるたんぱく質が、肉から摂取できるからです。

 肉の中でもベストなのは、牛肉。というのは、亜鉛と鉄分も豊富であるから。亜鉛は口腔内に必須の栄養素であり、鉄分は歯の象牙質に欠かせない成分です。

 魚にもお勧めがあり、鉄分豊富なマグロ、歯の石灰化に欠かせないビタミンDが多いサケが真っ先に挙げられます。

 果物だとリンゴでしょう。リンゴをかじればリンゴの食物繊維が歯を洗浄しますし、唾液がたくさん出るからです。歯のくすみを除去するキシリトールの多いイチゴも覚えておきましょう。

 野菜なら、セロリ。繊維質が多いため、よく噛むことで唾液が活発に分泌します。

 最後に、レシピも1品だけご紹介しておきます。「簡単ビーフシチュー」がそれ。牛肉を効率よく摂れ、糖類を材料や調味料に一切使用しないことから、歯垢が残りにくいという特徴があります。文字通り、調理がとても簡単ですよ。

●簡単ビーフシチュー
【材料】(材料はいずれも、皆さまのお好みの量で)
牛肉、赤ワイン(なくてもOK)、人参、玉ねぎ、セロリ、エリンギ、カットトマト缶、コンソメ顆粒、デミグラスソース缶、クレイジーソルト

【作り方】
1.牛肉を炒め、赤ワインを入れて火を止める
2.別のフライパンで、人参、玉ねぎ、セロリ、エリンギを炒める
3.2に1を入れてカットトマトを入れて煮込む(水は少し入れてもよい)
4.煮えたらコンソメを入れて少し煮て、デミグラスソースを入れてさらに煮込む
5.最後にクレイジーソルトで味を調える

 以上を実践すれば、歯をはじめ口の中が、今までよりもずっときれいになるはずです。特にフロスは一度使うと、歯ブラシしか使ってこなかった時と比べて、歯のきれいさは大きな差があり、口臭がだいぶ減ることから、ずっと手放せなくなります。

 正しい口腔ケアをすることで、あらゆる病気を予防・改善して、健康で長生きを目指してください。

(了)
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長生きしたけりゃ歯を磨いてはいけません
豊山 とえ子 著



豊山 とえ子(とやま とえこ)
歯科衛生士。1959年、宮城県登米市生まれ。日本女子衛生短期大学卒業。削らない歯科治療をする聖母歯科医院を、夫とともに経営。歯科衛生士として活動するだけでなく、歯科業界へ向けて、歯科医療や歯科経営のコンサルティングも行っている。歯科学会、雑誌への寄稿は多数ある。ホワイトニングコーディネーター(日本審美歯科学会)、日本顎咬合学会認定歯科衛生士(日本顎咬合学会)、第二種滅菌技士(日本医療機器学会)、第二種歯科感染管理者(日本・アジア口腔保険支援機構歯科感染制御推進機構)。LDA理事、株式会社T*SIS代表取締役も務める。