スキルアップ
2014年6月4日
ウェブ担当者が事前に考慮すべき3つのポイント
文・高橋 朋代
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 みなさんは、制作会社にウェブサイト制作を発注したことがありますか?

 発注したことがある場合、その制作はスムーズに進みましたか?

 私はウェブデザイナーとして、さまざまなサイト制作を請け負ってきました。今回はその経験を通して、はじめて企業のウェブ担当者となった方に向けて、ウェブサイト制作をする前に考慮しておくべき3つのポイントをお伝えます。

1)社内の意思統一をしておこう ~ウェブサイトでなにを実現したいのか?~


 ウェブサイトは会社の顔としての側面があります。それにともない、経営層や関係各部門の意見を求めることが必要になってくるでしょう。さまざまな意見やアイデアをまとめ、ウェブサイトでどんな成果を出したいのかを考える必要があります。

 できるかぎり事前に社内の意見をまとめておくと、制作会社との打ち合わせもスムーズに進みます。目的が明確であれば、そのためにどんな技術や仕掛け、デザインが必要になるかを、制作者が一緒に考えてくれやすくなります。

 当たり前のことですが、制作会社はクライアントの業務内容に詳しいわけではありません。会社の業務知識と照らし合わせて、ウェブサイトでなにを実現したいのかを考えるのは、社内の人材にしかできないことです。

 最近では、ウェブサイトで成果を出すために、社内にウェブ制作部署を設ける動きも活発になってきました。今後ますます、ウェブ担当者が企業に貢献する役割は大きくなっていくでしょう。

2)意思決定のルールを社内で明確にしよう


 サイトのデザインについてウェブ担当者と連携・確認しながら制作を進めたにもかかわらず、完成間近になり上長から「社のイメージにそぐわない」の一言。そしてデザインのコンセプト作成からすべてをやり直すことに。ウェブ制作を請け負い、そんな経験が何度かありました。

 これは、1)で事前に社内で意思統一していればある程度防げますが、それでも発生することがあります。

 このような問題はなぜ起こってしまうのでしょう?

 それは、社内で誰が確認すれば最終的に公開OKとなるのかという、意思決定のルールと責任の所在が不明確なまま、制作に進んでしまったためです。

 多くの会社にとってウェブサイト制作はイレギュラーな業務のため、どのタイミングで報告するべきかの基準がなく、通常通りのホウレンソウ(報告・連絡・相談)が機能しなくなってしまうことがあります。

 このケースでは、制作のもっと早い段階で、最終決定権者に意見を求めていれば防げたことです。とくにデザインイメージについては、意思統一をしていても、全員でそのイメージを共有するのはなかなか難しいものです。

 最初からやり直しになってしまっては、制作にかかった費用や時間は無駄になります。

 誰がどこまでどの段階でレビューするのかをあらかじめ計画しておくことで、手戻りが少なく、ロスを最小限にとどめられます。

3)公開までのスケジュールを無理なく計画しよう


 小規模な会社の場合、ウェブ担当者に突然任命され、はじめて制作に携わる人も多いでしょう。ウェブ担当者は、実際の制作は制作会社に依頼します。実際に自分が作るわけではなく何度か打ち合わせをする程度だろうと、日常の業務をこなしながら兼任でウェブを担当するようになるかもしれません。

 しかし実際には、制作会社と一緒にコンテンツの構成を考えたり、サイトに掲載する原稿や写真素材を準備するといった作業が発生します。また、ウェブサイトへの意見を社内でまとめることも必要になります。さらに、実際にやってみないと意外と気づかないのですが、制作者の提案したサイトデザインのレビューや原稿のチェックなど、こまごまとした確認作業も発生します。これらのフィードバック作業は想像以上に時間がかかるものです。

 はじめての経験だと作業に要する時間を予想するのは難しいですが、どのような作業が発生するのかなどを制作会社に事前に相談することで、自分にかかる負担をある程度把握することはできます。もしかしたら、日常業務の合間にできる程度の作業ボリュームがではないかもしれません。進捗に遅れた場合はそのつど計画を見直して、無理のないスケジュールに予定を修正することが大切です。

    *    *    *

 もちろん、他にも重要なことは沢山ありますが、ここでは、最初に考えておくべき3点に絞ってお話ししました。技術的なことやデザインには目がいきやすいのですが、これら3点は意外と見落とされがちです。

 経験豊富なウェブ制作会社であれば、ここでお伝えした内容についてすでにカバーしており、制作するウェブサイトの目的や成果を明確にした上で、負担や手戻りが発生しないようリードしてくれるでしょう。しかし残念ながら、実際には正しく導いてくれる制作会社ばかりではありません。

 ウェブサイト制作を発注する際には、限られた予算と時間の中でなにが最適なのかを事前に考えておきましょう。クオリティの高いウェブサイトは、最適な制作環境から生み出されます。

(了)



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【著者】高橋 朋代(たかはし ともよ)
フリーランスのウェブデザイナー。楽しいことをカタチにするものづくりユニット「komorikomasha」のメンバーの一人として、おもにデザインや企画を担当。札幌在住。ニックネームはコモモ。

・komorikomasha
http://komorikomasha.info/

・個人ブログ「Cat Speak」
http://cat-speak.net/
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