ビジネス
2014年6月11日
ビジネスを成功に導く「独創的なコンセプト」「商品メッセージ」「コミュニティ化」
文・染谷昌利
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商品やサービスをどのように売っていけばよいのかが見えづらい時代になっています。ごく一部の商品は爆発的に売れるものの、多くの類似商品は埋もれて陽の目を見ることはありません。この二極化する時代、どのようにして自社製品を販売していけばよいのかを解説していきます。


ユニークであることの重要性


 最も大切なのは、ユニークで独創性あふれるコンセプトです。陳腐(ありきたり、どこかで見たことのある)な商品やサービスでは他の類似品との比較になり、いちばん安いお店から買っていきます。結果として資本力勝負になり疲弊を招きます。「あなたからしか買えない」、あるいは「あなたから買う意味を商品に込める」ことで、価格やスペック勝負ではない立ち位置で活動できます。

 コンセプトを創り出すためには、以下の順序で考えるとよいでしょう。

1. 自分がどうしたいのか
2. 誰が得をするのか
3. そのためになにができるのか


 1.は当たり前のことで、あなた自身のやりたいことを世界に提示しなければなりません。これは自分自身のできること・やりたいことを言語化して、独創的なメッセージを生み出す必要があります。

 続いて2.です。これは、相手の求めている価値を察するという行為です。コンセプトは自分と相手の環境を合わせて考えなければいけません。自分がいくらよいと思っていても、あなたのメッセージに同調してくれる人がいなければ意味がありません。ユニークでも、世間に求められていなければ単なるイロモノで終わってしまいます。

 3.は1.と2.が固まった後に構築すればOKです。あなたの持っている能力(生み出した商品)で、他者に対してどのような貢献ができるのかを考えましょう。

 この3つが揃ってはじめて有用なコンセプトとなり、価値として認識されます。自分がよいと思ったコンセプトでも世間に響かない場合は2.を疑ってみるとよいでしょう。世間の求めている価値とマッチしていない場合が多いです。次に疑うのは1.です。要は陳腐だということです。

商品に込めたメッセージを顧客に対して明確に伝える


 コンセプトが固まったら、それを明確に相手に伝える必要があります。いくら独創的なコンセプトができあがっても、そのメッセージが世界に伝わらなければ意味がありません。 あなたの商品(サービス)は、誰に、将来の生活の豊かさを約束するのかをわかりやすく伝えることが重要です。

 ライザップというトレーニングジムのコンセプトが非常にわかりやすいので、事例としてあげさせていただきます。

http://www.rizap.jp/concept/

 読んでいただけるとわかると思いますが、サービスの独自性を非常にわかりやすく読み手に伝えています。ここでのとくに大切な要素は、「お客様の将来の変化への約束」です。商品を使用することで発生する目の前のメリットを載せるのはもちろんですが、どのように豊かなライフスタイルを得られるのかという「期待感」を、紹介文の中に込めなければいけません。とくに美容関係のセールスページにはこの傾向が強く見られます。

 一昔前はさまざまなマーケティングメソッド(集客術や価格設定など)を学ぶ必要がありました。もちろん、その学び自体がすべて無駄になっているかというとそういうわけではありませんが、ビジネス自体がどんどんシンプル化しています。要は「高くても欲しいものは買うし、安くても必要ないものは買わない世の中になってきた」ということです。だからこそ、お客様が欲しがるものを提供する、あるいは欲しくなってもらう理由を明確に伝えましょう。

コミュニティを形成し、維持する


 最後に行うことがコミュニティの形成と維持です。独創的なコンセプトを創り出し、そのコンセプトを明確に開示することであなたの理念に共感してくれる人が集まってきます。その「場」がコミュニティです。そしてそのコミュニティを維持していくために、「楽しさ」と「成長」を継続的に提供していく必要があります。

 こちらもミニ四駆のショップを例にとって解説します。

 ミニ四駆のパーツを販売しているだけのショップAと、店内にミニ四駆のサーキットを作っているショップB、そしてサーキットがある上に驚くほどのスピードで走るマシンの作り方を教えてもらえるショップCがあったとします。お客様からしてみたらどのショップがいちばん魅力的に感じるでしょうか? 大半の人はCのお店に通うことでしょう。

 このように楽しみながら自分の成長(この事例ではマシンの性能向上と、早いマシンを作れるという自分の能力向上)という変化が期待できる場を提供することが、コミュニティ形成においていちばん大切な要素となります。

 あなたがリーダーとなり、お客様という仲間と一緒によりよい未来に向かって歩む場を提供し続けることで、安定したビジネスの展開が図れます。

    *    *    *

 これからの時代は理念を明確に伝え、あなたにしか提供できない価値を創り出し、その場を維持していくことでビジネスが成立する時代になっています。行政書士や司法書士でも同様です。書類を作るというサービスでは他の人と一緒ですが、得意分野の情報提供や勉強会の開催などといった独自の価値を付与することで、あなたにお願いする理由が生まれ、コミュニティ化できるわけです。

(了)


成功する ネットショップ集客と運営の教科書
染谷 昌利、鈴木 珠世 著



【著者】染谷 昌利(そめや まさとし)
1975年生まれ。大学卒業後、企業で12年間勤務し、のちにウェブサイト運営者として独立。月間100万PV、通算2,500万PV超のウェブサイト『Xperia非公式マニュアル』を運営。Googleでは「AdSense成功事例」として紹介されている。執筆や講演も精力的に行い、企業およびブロガー、アフィリエイター向けのコンサルタントとして活動中。分析力と提案力にはクライアントからの定評が高い。著作実績に『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』(2013年、インプレスジャパン刊)、『プロが選ぶ WordPress優良プラグイン事典』(2013年、MdN刊)がある。近著は『成功する ネットショップ集客と運営の教科書』。日本アフィリエイト協議会(JAO)理事。
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