ビジネス
2017年4月5日
そもそも「IoT」で何が変わるのか
『IoTを支える技術』より
IoTを構成する3つの要素
従来から、パソコンやスマートフォンなどの情報通信端末はインターネットにつながっていましたが、IoTでいう《モノ》には、もっと広く人工物あるいは自然物を問わず、ありとあらゆる《モノ》が含まれます。
では、「何のためにつなぐのか、つなぐことで何かご利益があるのか?」といえば、個人の家庭生活や社会生活における利便性・快適性・経済性・安全性などの「生活の質」(QOL)を向上させるためです。
さらに、ありとあらゆる「業」──すなわち、農業・林業・水産業・鉱業、そして建設業、製造業、運輸・通信業、販売・飲食業、さらには金融・保険業、不動産業、サービス業から医療・介護・福祉に至るまで──それぞれの産業における効率向上、省エネ化、働く人の負担軽減、新たなビジネスチャンスの創出などを図るためです。
具体的にIoTの事例を挙げ始めると、スマート(賢い)という接頭語の付いた、「スマートホーム」「スマート農業」、「スマートカー(自動運転車やコネクテッドカーを含む)」「スマートヘルスケア(医療・介護を含む)」...など、枚挙にいとまがありません。
このように、IoTは私たちの生活や社会そのものを一変させる可能性を秘めた技術体系です。
ところで、IoTはいったいどのようにして、産業や社会の中でそれを実現するのでしょうか? IoTを技術的側面から見ると、大きく、「データ収集」「データ送信」「データ処理」の3つの構成要素があります。
1)データ収集
──モノの状態をセンサーにより素早く検知し、データを「収集」すること
2)データ送信
──収集したデータを「送信」によりインターネットに載せること
3)データ処理
──インターネットに上げられた膨大なデータ(ビッグデータ)に「処理」を施し、誰でも容易にアクセスし利用できる形のクラウドサービスとしてオープンにすること
IoTの技術全般を理解する上で、上記3つの構成要素それぞれについて理解を深めることが一番わかりやすく、また近道であると考えます。
実は、私自身はIoT前とIoT後の変化に対して、大きな期待感をもっています。それは、「これまでは一部の専門家がつくったものを一般ユーザーは使うだけにすぎなかったが、IoTの登場によって、使うだけでなく、誰でもつくる側に参加できるようになり得るのではないか」と感じていることです。
ぜひ皆さんも「IoTを使ってこんなことができないだろうか、どうすればできるだろうか?」と考えてみてはいかがでしょうか?
(了)
菊地 正典(きくち まさのり)
1944 年樺太生まれ。1968 年東京大学工学部物理工学科を卒業、日本電気(株)に入社以来、一貫して半導体関連業務に従事。半導体デバイスとプロセスの開発と生産技術を経験後、同社半導体事業グループの統括部長、主席技師長を歴任。(社)日本半導体製造装置協会専務理事を経て、2007 年8月から(株)半導体エネルギー研究所顧問。著書に『入門ビジュアルテクノロジー 最新半導体のすべて』『図解でわかる電子回路』『プロ技術者になるエンジニアの勉強法』(日本実業出版社)、『半導体・IC のすべて』(電波新聞社)、『電気のキホン』『半導体のキホン』(SB クリエイティブ)、『半導体工場のすべて』(ダイヤモンド社)などがある。
1944 年樺太生まれ。1968 年東京大学工学部物理工学科を卒業、日本電気(株)に入社以来、一貫して半導体関連業務に従事。半導体デバイスとプロセスの開発と生産技術を経験後、同社半導体事業グループの統括部長、主席技師長を歴任。(社)日本半導体製造装置協会専務理事を経て、2007 年8月から(株)半導体エネルギー研究所顧問。著書に『入門ビジュアルテクノロジー 最新半導体のすべて』『図解でわかる電子回路』『プロ技術者になるエンジニアの勉強法』(日本実業出版社)、『半導体・IC のすべて』(電波新聞社)、『電気のキホン』『半導体のキホン』(SB クリエイティブ)、『半導体工場のすべて』(ダイヤモンド社)などがある。