スキルアップ
2017年4月12日
まわりの人がぐうの音も出ない「予測」のやり方
『予測の技術』より
世界の数学者たちが考えた、誰にでもできる「予測のやり方」
ではどういう「やり方」ならまわりの人と合意できるのでしょうか?
それはまわりの人が「ぐうの音も出ないやり方」です。まわりの人が「こういうやり方の方がいいんじゃないの」という代替案が絶対に出せない「やり方」です。
そんな「ぐうの音も出ないやり方」を一生かけて考えた人たちがたくさんいます。それが数学者とよばれる人たちです。彼らはこの「やり方」だけを議論して(「当たるかどうか」ではなく)、まわりが「まいった」というまで続けて、結論を出しました。
数学者たちはまわりからの反論をすべて抑えるのに苦労してきました。そのため「やり方」は簡単なのですが、「なぜこれがベストなのか(これを証明といいます)」をキレの良い数式を使って解いていきました。ただあまりにもキレが良すぎて、凡人にはこの数式が「難しい」と感じてしまいます。
しかし一般ビジネスパーソンはそんな難しい数式を使った証明(=反論を抑え込むこと)をする必要がありません。もうすでに人類はこのやり方に合意しているのですから、反論など出るはずもありません。というより天才数学者たちの考えた「やり方」よりもっと良い「やり方」が一般人に思いつくはずもありません。
予測はそのやり方さえ理解できれば、誰にでも簡単にできます。たしかに予測は数字を扱うので、その数字をややこしい"式"にあてはめて計算しなくてはなりません。しかし大切なことは「予測式」を覚えることではありません。というより、覚えようとしても複雑すぎて一般人には覚えられるわけがありません。大切なのは"式"ではなく、その意味を理解することです。意味を理解していないと、予測の結果としての"未来の数字"を、まわりの人に説明することができません。
理解さえすれば、この式を使った計算自体は、エクセルというビジネスツールが"すべて"やってくれます。エクセルという万人向けのビジネスツールに「予測のやり方」が入っているということは、それを人類が合意したことの証です。
もう1つ予測において大切なことは、実際に自分でやってみることです。やってみて「自分でもできる」という自信を持つことです。拙著『予測の技術』では、ビジネスでよく見られるシーンをケースとして数多く挙げました。そして、ケースごとに、その解決策としてエクセルを使った手順を別記しました。連動したWebサイトでは、そのエクセルのデータがダウンロードできるのに加えて、操作の手順が動画で見られるようにしました。
自分ならどうするのかを考えて、解決策を読んで理解し、実際にエクセルを操作して予測してみる。この体験を通じて、「自分でもできる」という自信が持てるはずです。そして、この自信が、あなたの仕事を変えてくれるはずです。
さらに、こうした体験をしていくことで、数学アレルギーも改善できます。実際、数学に苦手意識を持っているビジネスパーソンが多いのには驚かされます。数学という学問は、きちんと理論立てて整理されており、もっともわかりやすいものです。そしてすべての学問の基盤となっているものです。それは数学が極めて汎用性が高いからです。だから「仕事」という分野にも数学は活用することができます。
予測ができるようになってくると、数学がどれほどビジネスに使われているかを実感できるはずです。数学はいつの間にかビジネスのインフラになっているのです。それに気づけばあなたはもうビジネスエリートです。
(了)
内山 力(うちやま つとむ)
1955年、東京都生まれ。1979年、東京工業大学理学部情報科学科にてトポロジー(位相数学)を専攻。卒業後、日本ビジネスコンサルタント(現日立システムズ)入社。その後、退職してビジネスコンサルタントとして独立。現在、株式会社MCシステム研究所代表取締役。中小企業診断士、システム監査技術者、特種情報処理技術者。
1955年、東京都生まれ。1979年、東京工業大学理学部情報科学科にてトポロジー(位相数学)を専攻。卒業後、日本ビジネスコンサルタント(現日立システムズ)入社。その後、退職してビジネスコンサルタントとして独立。現在、株式会社MCシステム研究所代表取締役。中小企業診断士、システム監査技術者、特種情報処理技術者。