スキルアップ
2017年4月28日
プレゼン当日は○○を食べるとうまくいく!──世界のピークパフォーマーが実践する最強食事術
文・石川 三知
  • はてなブックマークに追加

プレゼン当日に何を食べるべきか?


 ここからは、プレゼンに勝つために順を追って、何を食べるべきか具体的に紹介しましょう。

(1)朝
 目覚めたら、まず脳にスイッチを入れましょう。
 そのためにも朝食は必ず食べてください。本番で緊張すると、血管が収縮して血流が悪くなる恐れがあるので、タンパク質をとって体温を上げておくことも大切です。プレゼンが午後で、昼食の時間がとれないときは、鮭定食やエッグベネディクトなどをしっかり食べて、からだにエネルギーを多めに入れておくこと。

 食欲がないなら、チーズやナッツ、それからオレンジやグレープフルーツなどの柑橘類です。
 これらは、脳をリフレッシュする効果があるので、水分補給を兼ねてひと口でも食べておきましょう。

 飲み物は、末梢の血管を広げる作用のある紅茶がお薦め。ココナッツオイルを加えればさらにその効果が増します。朝あまり食べられない人は、前日少し多めに食べておくというのもひとつの手です。

(2)昼
 午後にプレゼンが控えているとき、昼食に脂っこいものは避けてください。
油分をとり過ぎると血液がドロドロになって、流れが悪くなります。血流が悪いと、脳にエネルギーであるブドウ糖や酸素がじゅうぶん供給できず、集中力や判断力が損なわれてしまうのです。

 「絶対勝つぞ!」と景気づけにカツ丼なんてもってのほか。もしカツ丼を食べるなら、プレゼンを終えた打ち上げのときにしましょう。

 「空腹のほうが、頭は冴える」と昼食を食べないというのはどうでしょうか。

 それは間違いです。
 じゅうぶんなエネルギーがなければ、脳を全力で働かせることはできません。かといって満腹では血液が消化に使われてしまうので、やはり脳はエネルギー不足になってしまいます。消化のいいものを腹八分目に食べて、プレゼン本番のときには、胃には何も残っておらず、脳はブドウ糖に満ちているという状態を目指してください。

(3)直前
 最もやってはいけないのは本番でのガス欠。そのためには開始20分前に、すぐにエネルギーになるものを食べておきましょう。

 栄養ドリンクを一気飲みする人もいるかもしれませんが、これだと砂糖の影響で、血糖値が急激に上がり、その反動でプレゼン中に低血糖を引き起こす恐れがあります。

 ドリンクなら果汁100%のオレンジジュース。部屋が乾燥していると感じたら、水分補給にもなるしリフレッシュ効果も期待できます。あるいはハニーラテとカカオ含有率の高いチョコレート。ただし丸々一枚は多すぎます。1~2カケでじゅうぶん。ここでは余計なカロリーも満腹感も必要ありません。

三時間以上のブレストは、ドライフルーツ


 長時間の会議やブレストは、途中になると、集中力が途切れて頭が働かなくなりがちです。プレゼンはどちらかといえば瞬発力が求められますが、ブレストはむしろ持続力がものをいいます。みんなが疲れてきても、ひとり最後まで粘り強く考えられる人ほど「ハイパフォーマー」と呼べるでしょう。

 では、午後三時からブレストが予定されている。しかも長丁場になりそうだ。
 そんなとき、どうすればよいでしょうか。

 まず、事前に炭水化物をじゅうぶんとって、からだの中にエネルギー源となるブドウ糖を満タンにしておきましょう。

 といっても、ランチをガツンと食べれば、消化に多くの血液が使われて、肝心の脳に回る分が減り、会議の最中に眠くなってしまいます。そこで、しっかり食べるのを朝にするのです。朝、炊き込みご飯、グラタンなど炭水化物とタンパク質をたっぷりお腹に入れておいて、昼はおにぎりで、午前中に使った分を補充するほうがいいでしょう。

 エネルギーをつくりだすクエン酸回路を回すのに不可欠なビタミンB群の入った野菜サラダや豆類なども一緒に食べるのを忘れないこと。また、脂質は消化に時間がかかるので、食べるなら朝のほうがいいでしょう。

 意外と重要なのがコーヒーブレイク。コーヒーと一緒にドライフルーツやナッツで栄養補給をします。

 これらは血糖値をゆっくり上げてくれるうえに、含まれるビタミンやミネラルが神経伝達系に働いて、疲れた脳をリフレッシュしてくれる効果も期待できるからです。
 ドライフルーツやナッツはどこでも簡単に食べられるので、オフィスに常備しておくことをおすすめします。
 ブレストや会議は、ビジネスパーソンにとって「戦場」。そこに丸腰で臨むような愚を犯してはいけません。

(了)


世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術
石川 三知 著



石川 三知(いしかわ みち)
Office LAC-U 代表。 Body Refining Planner。 病態栄養相談に携わった後、東京工業大学勤務を経て、スポーツ栄養指導を開始(専修大学アメリカンフットボール部)。これまでに、中央大学水泳部、トライアスロン(ナショナルチームを含む)、東海大学陸上競技部短距離ブロック、スピードスケート岡崎朋美選手、陸上男子短距離日本代表チーム、陸上短距離末續慎吾選手・佐野夢加選手、デンソーボート部、新体操日本代表チーム、全日本男子バレーボールチーム、フィギュアスケート荒川静香選手・髙橋大輔選手をサポート。現在は、都留文科大学陸上部、東海大仰星高校ラグビー部、競泳渡部香生子選手を始めとする多くのトップアスリートの栄養指導を行う。著書には、トップアスリートに学ぶ「勝負食!」実践編(講談社エディトリアル)、Dr.クロワッサン老化を遅らせる食べ方(マガジンハウス)、からだの中から美しくなるレシピ(永岡書店)、フィギュアスケーター髙橋大輔を支えてきた食事パターン『身体を引き締める食べ方1:1:2』(マガジンハウス)など。 ターザンの長友選手の食の連載の監修も務める。
  • はてなブックマークに追加