カルチャー
2017年7月3日
ベストセラー創出のカギはAI!?
「ツギクル」のAIを活用した本づくりとは
AIを活用してビジネスの効率化を進めようと考えている企業は多いだろう。AIの活用というと、囲碁や将棋、車の自動運転など、ある程度の規則性がある分野でないと難しいと考えがちだが、実は、これまで経験やカン、直感などが重要視されてきた分野にも活躍の場を広げ始めている。ここではAIを使った本のベストセラー創出に取り組んでいるツギクル株式会社の、AIの活用方法をみていこう。
本の編集にAIを活用する「ツギクル」
ツギクル株式会社は、作家などを目指すクリエイターが自身の作品を投稿できるWebサイト「ツギクル」を運営している。投稿された作品は、投稿者が希望すればAIを使って分析され、ジャンルや作品の構成要素が表示されるほか、アクセス数などの人気指標でランキング化される。人気が高い作品の中には、「ツギクルブックス」レーベルとして、書籍化されたものもある。
ツギクルでは、AIの分析結果を、こうした人気作品を書籍化する際に参考にするのはもちろんだが、実は、書籍として刊行するまでの編集業務にも活用しているのだという。
「ツギクル」に投稿されている小説作品の場合、テキスト解析エンジンが事前に学習したデータを基に、下記の項目について分析が行われ、スコア付けされる。
・小説作品に対する総評
・カテゴリーとの相性
・構成要素
・文章の読みやすさ
・文章の傾向
・文章の構造
・相性のよい作品に関する分析
6月10日に刊行された『カット&ペーストでこの世界を生きていく』(咲夜 著)を例に、作品投稿時と、書籍刊行時の分析結果を比較してみよう。
図1~2が、作品投稿時の分析結果だ。
ジャンル構成要素分析を見ると、「ファンタジー、恋愛、SF」が50%を占めている。ストーリー展開や世界観の設定において改善点があるかどうかの判断材料にすることができそうだ。
文章構成分析結果を見ると、「句読点の間隔が長い」「改行までの文字数が多い」など、一文あたりの文章量が多く、読みやすさにおいて改善できそうな箇所が散見される。