スキルアップ
2017年4月13日
なぜ超富裕層は、現金があるのにローンを組むのか
文・加谷 珪一
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毎年100万円を30年投資した、驚くべき結果とは


 ちなみに過去50年のデータを分析すると、日本株は平均すると約6%の利回りがある。もちろんバブルの頂点など最悪のタイミングで投資してしまった場合にはどうしようもないが、平均すれば6%のリターンが得られている。先ほどの、毎年100万円を積み立てるケースに6%のリターンを当てはめてみると、その結果はさらに驚くべきものとなる。

 30年後の金額は何と8400万円を超え、億の単位の数字が見えてくる。富裕層が持つ資産規模が具体的な視野に入り始めるのだ。

 もっとも株式投資にはリスクというものがあり、確実に6%のリターンが保証されるわけではない。
 では実際にはどの程度の金額になるのだろうか。

 先ほど日本株は過去50年の平均で6%程度のリターンがあると説明した。一方、日本株の過去の平均的なリスクは±25%程度である。

 リスクというと一般的には危険性という意味で使われているが、投資理論の世界では少しだけ定義が異なっている。投資理論におけるリスクという概念は、1年間のうちに株価が上下に変動する幅のことを示している。厳密には統計学上の1σ (約68%)の確率で株価は上下25%の範囲内に収まることになる。基本的に株価は毎年6%ずつ上昇するものの、毎年25%のブレが生じる可能性があるという意味だ。上にブレれば、期待収益よりもさらに大きな金額になるし、下にブレれば、期待収益を下回ることになる。

 また投資した時期によって上ブレが続くこともあるし、下ブレが続くかもしれない。投資する期間が長ければ長いほど、こうした株価のブレを回避することができるので、平均的なリターンに近づいていくことになる。

 最終的に金額がどのような分布になるのかは、パソコンを使ってシミュレーションするとよりはっきりしてくる。

 ここでは、パソコン上で一定の確率分布で乱数を発生させ、何千回も試行を繰り返すというモンテカルロ法という手法を用いた。これによっていくらの資産になるパターンがどの程度の頻度で発生するのかが分かる。実際にシミュレーションした結果を見ると、6%の利回りで単純計算を行った場合の金額である8400万円を超える確率は30%ほどになる。

 また、何もしないで貯蓄だけした時の金額である3000万円を超える確率ということになると、こちらは70%に達する。一方、3000万円を下回ってしまう人も30%ほど出てくることになる。

 整理すると、

「約3分の1の人が損をして、3分の1の人は億近い資産となり、3分の1の人は想定通りの儲けになる」

という図式だ。
 70%の確率で損せずに済み、場合によっては億の資産に手が届くということであれば、やってみようと考える人が多いのではないだろうか。
もちろん、このシミュレーション方法にもいろいろと難点がある。ここには税金や手数料が加味されていないので、現実にはもっとパフォーマンスが悪くなってしまう。投資信託が多かったり、売買頻度が高かったりすると、手数料分だけでもかなりの金額となってしまうだろう。また、この計算では正規分布を用いたが、実際の確率分布はもう少し違った形になるとも言われる。

 ただ、複利の効果を狙って長期で投資をすることのメリットが大きいことは間違いない。長期投資でリスクが減るわけではないが、前向きに検討する価値はありそうだ。

(了)
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最強のお金運用術
最強のお金運用術 富裕層だけが知っている 1%の金利の魔法
加谷 珪一 著



加谷珪一(かや・けいいち)
著者略歴、経済評論家。1969年仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、金融、経済、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っており、ニューズウィーク日本版(電子)、現代ビジネスなどで連載を持つ。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。著書に「ポスト・アベノミクス時代の新しいお金の増やし方」(ビジネス社)「新富裕層の研究 日本経済を変える新たな仕組み」(祥伝社新書)「お金持ちはなぜ、『教養』を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)「お金は「歴史」で儲けなさい」(朝日新聞出版)「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)「株で勝ち続ける人の常識 負ける人の常識」(KADOKAWA)などがある。