ビジネス
2013年11月6日
人気アニメ『NARUTO』やAKB48に学ぶ理想のリーダーシップ像
『バカと笑われるリーダーが最後に勝つ』より
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トリックスター・リーダーシップは、「コトあれイズム」!


「リーダーシップ開発」のステージを大きく分けると、次の2つです。

「マインドセット」&「スキル・ノウハウ」。

 「スキル・ノウハウ」は、「コミュニケーション」「プレゼンテーション」「コーチング」など、リーダーシップを発揮するうえで必要となる「ノウハウ・スキル」を具体的に獲得していくステージです。

 これに対して前者の「マインドセット」は、「考え方」「物の見方」「思考様式」など、いわば「リーダーとしての心構え」を確立するステージです。そのために、ドラッカーなど経営学者の説くリーダー論を読むこともあれば、松下幸之助、本田宗一郎、稲盛和夫の書籍、司馬遼太郎、藤沢周平の時代小説、西欧の哲学書などからリーダーとしての大切な「心構え」を学ぶこともあるでしょう。

 「マインドセット」は、「リーダーとしてどうあるべきか」の「Be」であり、「スキル・ノウハウ」は「どうするか」の「Do」です。「Be」と「Do」を意識的に学び続けるプロセスが、リーダーとして自らを高めていくことであり、それは同時に、リーダーシップを強化していくことになります。

 「画竜点睛を欠く」の故事を比喩にとれば、竜の体が「Do」であり「Be」は竜の目です。筆者が「マインドセット」がより大事だと考えるのは、「スキル・ノウハウ」に偏重してしまうと、「仕事はできるけれど、人望がない」という肝心の一点が抜けたリーダーになってしまうからです。

 リーダーシップ論とは「Be」に重心があり、「愚の徳」に着目する「トリックスター・リーダーシップ」もそのひとつです。筆者は、コーチングやリーダー研修の場で「完璧な人などいないのだから、完璧なリーダーになんてならなくていいのです」とよく口にします。「嫌いな部下がいれば、嫌いなままでいいじゃないですか」とも...。なぜなら、「完璧になること」「部下から好かれること」は、リーダーシップを発揮するための「手段」であり「目的」ではないからです。

 そうして、うまくいかない・できない自分の「愚かさ」を肯定する地点からリーダーシップは再出発し、無意識の内に「手段」をゴールに設定していたリーダーが、より「目的」を意識するようになります。その目的とは、人によって仕事の内容によって違うものです。ただ、「次の世代に仕事を残す」「仕事で社会貢献する」など、何かしらより大きな「事」を意識することになるでしょう。

 仕事とは「事に仕える」と書きます。自分にとっての「事」は何なのか。その本来の目的を常に意識するのが、「トリックスター・リーダーシップ」で筆者がいう「コトあれイズム」です。「コトあれイズム」は、組織の病である「事なかれ主義」の反意語であると同時に、仕事の目的をより強く意識して行動していくリーダーの「マインドセット」に他なりません。

 常識を打ち破り、会社で社会で新しいコトを始めるリーダーには「バカだ、アホだ」と批判や悪口がセットメニューになっています。しかし、「愚か」だと言われてもその愚かさを自らに引き受け、自分の成すべきコトに焦点をあわせて闘い続ける人たちが、会社や社会をよりよく変えているのです。

 闘う人を笑うより、闘って笑われるリーダーになってください!

(了)
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バカと笑われるリーダーが最後に勝つ
トリックスター・リーダーシップ
松山 淳 著



【著者】松山 淳(まつやま じゅん)
1968年 東京都生まれ。リーダーシップ・スタイリスト/コンサルタント/MBTI認定ユーザー。 約9年間広告代理店に勤務後、アースシップ・コンサルティング設立。世界の企業が活用するMBTI(R)メソッドで自己分析を行い、リーダーたちがその人らしいリーダーシップを発揮できるようにサポートする。「リーダーの自己成長を支援し 人と組織を元気にすることで 世界の家族にたくさんの笑顔をひろげる」を使命に、リーダー層(経営者、起業家、管理職)を対象とした個別相談、コーチング、研修、講演、執筆活動など幅広く活躍中。
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