ビジネス
2013年11月7日
オタクの財布をねらえ! 『艦これ』から見るオタクビジネス
文・寺尾幸紘
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市場規模3兆円とも言われる“オタク市場”。最強の購買欲を持つ彼ら「オタク」をどのように自社のビジネスに取り込めばよいのでしょうか。(株)秋葉原総合研究所の代表取締役社長で『オタクの心をつかめ』の著者である寺尾幸紘が、流行の「艦これ」を例にオタクの特性を解説します!


年間3兆円の市場規模! 一般的な存在へと変化してきたオタク

 毎年、日本のオタク市場規模を調査している矢野総合研究所の発表によれば2010年度のオタク市場規模は7931億円、2011年度は8920億円、2012年度は9522億円(予測)になるという。しかも、この市場規模にはトレーディングカードゲームや国内家庭用ゲーム、コミックの市場規模などが含まれていない(なお、全ての市場規模を合算すると日本のオタク市場は約3兆円と推定される)。日本銀行の黒田総裁が行った量的金融緩和政策によって多少緩和されつつあるものの、日本はこの10年デフレ下にある。そのデフレ下において、日本のオタク市場は毎年成長を続けているのである。

 近年、このオタク市場の成長とオタクの変化に目を付けてオタクビジネスに参入する有名企業が増えてきた。Googleは2012年12月にGoogle ChromeのCMとして初音ミクを起用し、Schickは毎年Schick×ヱヴァンゲリヲンキャンペーンを開催している。「ザクとうふ」や米袋にかわいい女の子のイラストを描いた「萌え米」などが成功例だ。

 オタクの変化というのは、発表される作品数が増え、世代が進むことで皆の知識が広く浅くなってきていることを指す。そのため、深い知識がなくてもオタクとして認められる機会が増え、オタクがより一般的な存在へと変化しているのだ。このような層を顧客として迎え入れることは企業にとって新しい取り組みとなり、新しいチャンスを生むことになるだろう。

 しかし、オタクの特性を十分に理解しないままオタクビジネスに乗り出すことは非常に危険な冒険となってしまう。事実として、オタクの祭典と呼ばれる「コミックマーケット」に意気揚々と出展し、致命的な間違いを犯して失敗してしまう企業や団体が後を絶たない。では、どのようにしてオタクの特性をつかめばよいのだろうか。


オタクの心をつかめ
最強の購買欲をもつ顧客たち
寺尾幸紘 著



【著者】寺尾幸紘(てらおゆきひろ)
株式会社秋葉原総合研究所の代表取締役社長。TVチャンピオン「アキバ王選手権」(2005年)で優勝。同社は東京・秋葉原の情報サイト「アキバOS」を運営するほか、秋葉原を舞台としたテレビ番組やイベントなどの企画・監修も手掛ける。



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