ビジネス
2013年12月2日
みんなに愛される「おもてなし」のヒミツ(ディズニーの仕事術)
インタビュー・鎌田 洋
成功者に共通するウォルト・ディズニーの4つのC
───ディズニーの3部作が現在発売されていますが、次作もあるのでしょうか?
続編を執筆中です。楽しみにお待ちください。あと、ビジネスっぽいものや、若い人たちに対する啓発書なんかも書きたいと思っているんです。
成功した人に会ったり、話を聞いたりすると、共通点がやっぱりあるんですよ。それはウォルト・ディズニーの名言にある4つのCなんです。「Curiosity」という好奇心、「Confidence」という根拠のない自信、「Courage」という勇気、そして最後の「Constancy」という頑固なまでの一徹心。これはね、イチローにも当てはまるし、三浦雄一郎さんにも当てはまる。この世に名を残した人は、この4つ要素をすべて共通して持っているんですよ。最初のCuriosity、好奇心。これは、いろんなものにアンテナを張れということなんです。そうしないと、自分の引き出しが豊かにならない。アンテナを張って、いろいろと吸収することで、いろんな考え方に繋がる。それがいろんなアイデアにもなるわけ。企業にとっても、これはとても大事なことなんだよね。
───さっきの多様性ですね(※「ディズニーの仕事術。シンプルな目標と仕組みが大事」参照)
そう。多様性みたいなものを、自分の中に作り出すことができるわけ。そしてConfidence、自信。いま経営で、長期経営計画が流行らないと言われてるんですよ。もちろん計画も重要なんだけど、私に言わせれば言葉は悪いけど、最終的には「やる」か「やらない」かに行き着く。自信を持って「コレは成功する」と思い込んでやるだけなんですよ。これは3番目のCourage、勇気でもあるわけ。踏み出す勇気というのは、新しい市場を作っていくんですよ。ドラッカーだって、企業の発展は新しい市場を作っていること、今までにないことを作って発展していくって言ってるんだから。そしてConstancy、こうと決めたらやるという意志ですよね。ウォルト・ディズニーもそうだったし、スティーブ・ジョブズもそうだった。
そしてリーダーや上司が多様性を持つことは重要だけど、部下にも多様性があるということを理解してもらいたい。上司の人たちって「おれのことを分かれ」って、自分の考え方を押しつけがちなんですよ。でも、育ってきた環境が違うのだから、一人一人がものの見方が違うんだよね。
───世代も変わりますものね
年が離れるほど、考え方、見方が変わる。十人十色って日本の言葉があるじゃないですか。昔の人が言った、この言葉に集約される。多様性を本当に理解したいなら、いろんな突拍子もないアイデアを言う人間に対して、そんなことはないだろって、頭ごなしに卑下するのではなくて、「それいいね!」と言える【大人】になってほしい。そういうことを理解することで、いろんなアイデアが出てきて、今の若い人たちに受け入れられるような商品が開発できると思うんですよ。リーダーは、やはり多元的な目を持たないと。だから4つのCが大事なんです。Curiosity、やじうま的な好奇心を持て。そういうのを理解すると、もっと人生が楽しくなると思うんですよね。
あと若い人たちには、コミュニケーションについても伝えたいことがたくさんあります。たとえば、人の話を聞くとき。特に上司なんかがつまらない話をよくしますが(笑)、つまらなさそうな顔をしたり、何かいじってたりしないで、相手が的外れなことを言っても、聞いているフリをしろと。
───聞いているフリでいいんですか?(笑)
「すごいなー」という雰囲気を出して、うなずいておけば、特に上司なんかはいい気分になるんですよ。だって、私も講演をするとき、誰を見て話をするかというと、私のほうを見て笑顔でうなずく女の子だもの(笑) だって好感が持てるでしょ。その子は、どの会社入っても、きっとうまくいきますよ。逆に、いくら頭がよくても、よそ見をしている子は絶対にだめ。上司の受けが悪いし、お客さんの受けも悪いはず。
これはパワーコミュニケーションという流行語でもあるんだけど、そういうのを教えてあげたいんですよ。若いときは気がつかないんだよね。自分だけの世界だから。相手からどう見られるかということについては、まったく無意識だよね。
会社の中で、リーダーとしてつらいこともあるし、あるいは下に付いてつらいこともある。その中でどうやって生きていったらいいんだというコツ。ディズニーの世界ではTipsて言うんですが、そういうコツみたいなものを、さりげなく若い人たちに伝えられてたらいいかなって、思うんですよ。ちょっとしたコツで、人生が変わっていくような感じがするんですよね。
(了)
【著者】鎌田 洋(かまた ひろし)
1950年、宮城県生まれ。商社、ハウスメーカー勤務を経て、1982年、(株)オリエンタルランド入社。東京ディズニーランドオープンに伴い、初代ナイトカストーディアル(夜間の清掃部門)・トレーナー兼エリアスーパーバイザーとして、ナイトカストーディアル・キャストを育成する。その間、ウォルト・ディズニーがこよなく信頼を寄せていた、アメリカのディズニーランドの初代カストーディアル・マネージャー、チャック・ボヤージン氏から2年間にわたり直接指導を受ける。その後、デイカストーディアルとしてディズニーのクオリティ・サービスを実践した後、 1990年、ディズニー・ユニバーシティ(教育部門)にて、教育部長代理としてオリエンタルランド全スタッフを指導、育成する。1997年、(株)フランクリン・コヴィー・ジャパン代表取締役副社長を経て、1999年、(株)ヴィジョナリー・ジャパンを設立、代表取締役に就任。著書に『ディズニーそうじの神様が教えてくれたこと』『ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと』『ディズニーありがとうの神様が教えてくれたこと』(共に、SBクリエイティブ)、『ディズニーの絆力』(アスコム)がある。
1950年、宮城県生まれ。商社、ハウスメーカー勤務を経て、1982年、(株)オリエンタルランド入社。東京ディズニーランドオープンに伴い、初代ナイトカストーディアル(夜間の清掃部門)・トレーナー兼エリアスーパーバイザーとして、ナイトカストーディアル・キャストを育成する。その間、ウォルト・ディズニーがこよなく信頼を寄せていた、アメリカのディズニーランドの初代カストーディアル・マネージャー、チャック・ボヤージン氏から2年間にわたり直接指導を受ける。その後、デイカストーディアルとしてディズニーのクオリティ・サービスを実践した後、 1990年、ディズニー・ユニバーシティ(教育部門)にて、教育部長代理としてオリエンタルランド全スタッフを指導、育成する。1997年、(株)フランクリン・コヴィー・ジャパン代表取締役副社長を経て、1999年、(株)ヴィジョナリー・ジャパンを設立、代表取締役に就任。著書に『ディズニーそうじの神様が教えてくれたこと』『ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと』『ディズニーありがとうの神様が教えてくれたこと』(共に、SBクリエイティブ)、『ディズニーの絆力』(アスコム)がある。