ビジネス
2014年2月12日
1つ3000円のガトーショコラの「レシピ」が公開されているワケ
『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』より
  • はてなブックマークに追加

真似されても平気! レシピを公開


 私のガトーショコラのレシピは、「ぐるなびレシピ」というサイトで公開しています。

 知り合いからは、「レシピを公開して大丈夫なの?」と心配されます。レシピには特許のように知的財産権を守る仕組みが事実上ないので、真似されても文句はいえません。

 私としては、レシピを公開して真似されるのは折り込み済みです。実際、私のレシピをそっくり真似て作っているスイーツ店が数軒あるようです。なかにはケンズカフェ東京の公式サイトのテキストまで流用している強者もいます。

 けれど、レシピを真似しても、それを1本3000円では売りづらく、ブランド力では先行する本家にかないません。かといってガトーショコラで3000円以上の値段にするとマーケットはかなり小さくなりますから、先行していてブランド力も高いケンズカフェ東京に太刀打ちできないのが実情です。

 またレシピを真似しても、1品主義というビジネスモデルを真似しないとコストが高くつきます。レシピを真似しようにも同じレベルの材料は使いたくても使えないのも実情。ブランド力でも使っている材料でもかなわないとしたら、本家を超えられる要素はありません。そんな計算もあって、堂々とレシピを公開しているわけです。

 私がレシピを公開しているのは、もっと前向きな理由からです。私の店とガトーショコラの存在をもっと広く知ってもらいたいのです。

 グーグル検索で「ガトーショコラ レシピ」と入れると、最初に日本最大のレシピサイト「クックパッド」のレシピが出てきます。でも、クックパッドは素人さんのレシピ集ですから、その通りに作ってもプロのレベルにはなりません。

 そこで注目が集まるのが、私のガトーショコラのレシピ。実際、バレンタインデーの前後は1日2万件以上のアクセスがあります。レシピを検索して、はじめて私が作るガトーショコラの存在を知る方も多く、それが将来の購買につながる可能性も高いのです。公開しているレシピは次の通りです。

★☆★ケンズカフェ東京のガトーショコラのレシピ
●材料(8人前)
クーベルチュールチョコレート...200g、無塩バター...160g、卵(Lサイズ)...全卵3個、グラニュー糖...80g

●作り方
(1)ガトーショコラの主原料となるチョコレートを包丁で刻み、ボウルに入れる。
(2)無塩バターも同じように包丁で刻み、チョコレートと同じボウルに入れる。
(3)ボウルを湯煎にかけて、よく混ぜながらチョコレートとバターを溶かす。そこでグラニュー糖を加えて混ぜ合わせる(グラニュー糖はまだ溶けきらない)。
(4)ボウルは湯煎をしたまま、あらかじめ溶きほぐしておいた全卵を漉しながら少しずつ加えて、混ぜ合わせる。
(5)グラニュー糖が溶けきり、ツヤと粘りが出るまで混ぜ合わせる。これでガトーショコラの生地が完成。
(6)クッキングシートを敷いたパウンドケーキ型(長方形型)またはデコレーションケーキ型(丸型)に生地を流し込む。
(7)180度に熱したオーブンで18分くらい焼き上げる。上部の焼き具合が「中央のあたりがまだレアな感じ」で取り出す。
(8)あら熱を取ってから、型から取り出し、ガトーショコラの完成。
----------------------

 このようにレシピをネット上で公開するだけではなく、私は定期的にガトーショコラの料理教室を開いて、参加者に作り方を丁寧に指導しています。

 こうした料理教室もガトーショコラの愛好者を増やす小さな試みです。

 ガトーショコラの真の美味しさがわかる人が増えたら、必ず私のガトーショコラが 選ばれるという自信があるのです。


1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ
4倍値上げしても売れる仕組みの作り方
氏家健治 著



【著者】氏家 健治(うじいえ けんじ)
1968年東京生まれ。「ケンズカフェ東京」オーナーシェフ。ホテルオークラ東京、赤坂アークヒルズクラブ、レストランマエストロ等、高級店で修業を重ね、調理および製菓・製パンの技術を体得する。98年29歳で独立。新宿御苑前にケンズカフェ東京を開店。テレビや専門誌等で、調理指導や料理解説をするほか、プロ向けの講習会・講演会も日本全国で多数行っている。



  • はてなブックマークに追加