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2014年4月8日
プレゼンの9割は冒頭で決まる!「TEDトーク」に学ぶプレゼンの極意
『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』より
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自己紹介や謝罪、ジョークはダメ! すぐれた「TEDトーク」に共通したプレゼンの「冒頭の型」


 カリアは200以上の「TEDトーク」から、その構成、話し方、内容などを詳細に分析し、いくつかの共通点を挙げている。
 ここでは、そのなかでも重要な「冒頭から聞き手の関心を引きつける」方法を簡単に紹介しよう。

 プレゼンは自己紹介や関係者への感謝などから始まることが多い。だが、これでは聞き手の関心を必ずしも引きつけることにはならない。

 また、プレゼンをジョークで始めるのはあまりよくない。ジョーク本などから拾ってきたネタでは聞き手を感心させられないし、ジョークのせいで伝えたいメッセージから聞き手の関心がそれてしまうこともあるのだ。

 すぐれたTEDトークには、聞き手の心を捉える「冒頭の型」というものがある。

(1)ストーリーで始める
 「初めてキャンプに参加したとき、母親がスーツケースいっぱいに本を詰めてくれた」。
 内向的な人が秘める力について語ったスーザン・ケインは、冒頭をストーリーから始めている。ストーリーには人々の関心を呼び起こし、聞き手と語り手を結びつけ、話の内容を記憶に残りやすいものにする力がある。

(2)疑問や質問で始める
 サイモン・シニックはプレゼンを、いくつかの質問を連発することで始めている。疑問や質問は聞き手が知っていることと知らないことの区別を明確にする。それにより、聞き手はそのギャップを埋めたいという欲求にかられるのだ。

(3)引用で始める
 「アインシュタインは、想像力は知識よりも重要だと言った」。
 このように、自分が伝えたいことを強調することができる力強い引用で始めるのも効果的だ。

(4)興味深い言葉かショッキングな言葉で始める
 「マクドナルドのクオーター・パウンダー・チーズを食べると、体重が瞬時に4分の1キロ増える」。
 ファストフードの危険性を訴えたプレゼンでは、このようなショッキングな言葉で始まっている。プレゼンの内容からはずれることなく、ショッキングな事実を伝えることで、聞き手の関心を得られることになる。

(5)記憶を呼び起こさせる(コールバック)
 あなたのプレゼン以前に起こったこと(聞き手がまだ記憶の残っている前の人のプレゼンなど)に言及するのもよい。

 どうだろうか。このように冒頭の「型」はプレゼンの内容にあわせて、聞き手の関心をいちばん引きやすいものを選ぶとよいだろう。

 ここでは「冒頭の型」を取り上げたが、カリアはすぐれたTEDトークの特長をほかにも挙げている。

・繰り返し使える強力なフレーズをつくる
・スピーチにスパイスを与える修辞法を用いる
・「おおっ」と言わせる部分をつくる
・自分の個性に活気を与える
・たとえ話や比喩を用いる


 詳細については『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』で解説しているが、聞き手を魅了するTEDトークには、このような共通する要素が必ずある。これらを明日からのプレゼンやスピーチに活かさない手はないだろう。

 最後に、すぐれたTEDトークを3つほど紹介するので、実際に動画で極上のプレゼンを体験してみてほしい。

・ジル・ボルト・テイラー「パワフルな洞察の発作」
http://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_s_powerful_stroke_of_insight?language=ja
脳科学者のテイラーが、脳卒中の発作を起こしたときの体験を語る。

・ダニエル・ピンク「やる気に関する驚きの科学」
http://www.ted.com/talks/dan_pink_on_motivation?language=ja
作家のダニエル・ピンクが、金銭的な報酬は必ずしもやる気をもたらさないことを語る。

・リチャード・セント・ジョン「成功者だけが知る、8つの秘密!」
http://www.ted.com/talks/richard_st_john_s_8_secrets_of_success?language=ja
どんな人が成功するのか? 長年のインタビューをもとに語る。

(了)


TED 世界を魅了するプレゼンの極意
How to Deliver a Great TED Talk : Presentation Secret of the World's Best Speakers
アカッシュ・カリア 著/月沢李歌子 訳



アカッシュ・カリア(Akash Karia)
香港出身。香港のバンカーからタイのヨガ講師、ドバイのシニアエグゼクティブまで数千人を指導してきたパブリックスピーキングコーチ。アジア太平洋地域でTop10に数えられる講演家として知られる。香港科技大学(HKUST)のスピーチコンテスト優勝や、世界中に支部を持つパブリック・スピーキング、リーダーシップの上達を目的とする非営利団体「トーストマスターズ」のコンテスト優勝を始め、40以上の賞を受賞。著書に『PUBLIC SPEAKING MASTERY - Speak Like a Winner: Public Speaking Techniques to Make You Twice the Speaker in Half the Time』などがある。
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